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潮田クロ
2023年11月29日 17:52
昼休憩の声がかかると、やれやれと道具を1箇所に集め、座り込む。「弁当、買ってきます。いる人、手を挙げてください」 高校生の田中くんが、注文を取る。五人中僕を含めた四人が手を挙げた。吉田さんは、俺は弁当、と言う。他はみんな同じ物を食うので、何弁かは聞かない。毎日"のり弁大盛り"である。ない時は、それ相当のもの。班長の片山さんが田中くんに2000円渡す。後でレシートを見て昼食代は、アルバイト代か
2023年11月25日 14:36
ーーはい。心と命の〇〇ほっとラインです。ーー・・・ーーもしもし。どうされましたか。ーー・・・ーーもしもし。ーー・・・あの。ーーはい。どうなさいましたか。ーー・・・。ーー大丈夫ですよ。わたし、板倉と言います。あなた、女の子ですよね。ーー・・・はい。ーーどうしたの。ーーうまく言えなくて。ーーいいのよ。思いついたことからで。ーーあの、お金、かかりますか。ーーああ、この電話はお
2023年11月18日 22:34
世に怪しい商売は山ほどあるが、怪しいは怪しいなりに場所柄をわきまえて欲しい。シャッターが多く降りてる暗いアーケード街の奥に、ぼんやり灯りがついている。そういう場所に、例えばタロット占いの婆さんが、ひっそりと店をやってて欲しい。ギイっとドアを開けると、ジプシーの格好をした婆さんが、こっちを暗い目をして見ていて欲しい。そう、そんな場所を、駅裏の、通りから外れた雑居ビルの三階に、僕はやっと見つけたの
2023年11月15日 14:01
「突然ですが、今日は悲しいお知らせがあります」 帰り学活の終わりに、先生が言った。みんな早く帰りたくて準備万端だったのに。後は机の上のランドセルを背負って駆け出すだけだったのに。"悲しいお知らせ"ってなんだ。興味半分イラつき半分で、先生の言葉を待つ。「西野くんと、今日でお別れなんです」 みんな一斉に西野を見る。西野は固くなって下を向いている。 転校か。察しがついて、急激に興味は薄れていく。
2023年11月6日 12:01
日曜日はよく晴れたが、さほど気温は上がらなかった。私は空色のセーターを着ていくことに決めた。 喫茶店は空いていた。私ほどの年齢のものは誰もいない。入って沙也加が見渡せば、なんなく私がわかると思った。それでも目につきやすいように、入り口から近い席を選んだ。コーヒーを注文して、沙也加を待つ。11時までには、まだ15分あった。私は何度も冷水を口に運んだ。「あの、失礼ですが香山さんでしょうか」 言