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だから僕は、アウトプットを続けていく。村井満さん「天日干し経営」を読んで

村井さんの著書、「天日干し経営」を読んだ。

僕が新卒で入社し9年間働いたリクルートでは、
どれだけオープンマインドでいられるかってことが、
とても重要なことだったのだと改めて感じた。

先輩や上司のなかにも、自らをさらけ出し、
体当たりでぶつかってきてくれる人たちがいた。

リクルートでリーダーになった時、独立している今、
自分をさらし、天日干しすることができているだろうか。

改めて自分に問う、大切な機会をいただいた。

*

2007年、僕はリクルートエージェントへ入社した。
当時、リクルートエージェントの社長が村井さんだった。

入社1年目、同期の鶴と一緒に社内の「あした製作所」という新規事業コンペに応募した。決勝プレゼンまで進んだ際、目の前には審査員の役員と社長の村井さんがいた。

僕らは「芸人のセカンドキャリア」を支援する事業を提案した。
当時は、マーケットが小さく、売上を作ることが難しいとの判断で
新規事業として選ばれることはなかったが、決勝まで進み、
村井さんの前でプレゼンできたことが嬉しかった。

 入社して6年目、会社の連休を使って同期の啓士郎と香港に旅に出ることにした。
「せっかく香港に行くなら、村井さんに連絡してみよう」という話になった。
当時、村井さんはリクルートグローバルファミリー(RGF)の社長として香港にいた。

思い切って村井さんにメールすると、僕らのことを覚えてくれていた。
香港にやってきた僕と啓士郎を2泊も自宅に泊めてくれた。

自分たちからメールしておきながら、「僕らのことは気にしないでください!」と気を遣う僕らを連れて、村井さんは香港の街を案内してくれた。

香港で働く社員さんたちと一緒に中華を食べにも連れて行ってくれた。リッツカールトンみたいな、いいところのバーに連れて行ってもらったこと、僕らの話をウンウンと聞いてくれたこと、質問にも真剣に答えてくれたことを、今でも鮮明に覚えている。

振り返れば、リクルートエージェントに入社した時も、香港で泊めてもらった時も、村井さんはいつでもオープンマインドで接してくれた。


 その後、村井さんはリクルートを離れ、Jリーグのチェアマンになった。
そこからは村井さんに連絡したことはない。

でも最近、村井さんの著書「天日干し経営」を読んで、改めて、
リクルートでの経験や自分自身を振り返った。

村井さんは、本の中で言っている。

「考えてみれば自らをさらす「天日干し経営」は、緊張をともない、勇気もいることではあるが、単なる精神論ではなく、この手法を身につけた組織は、大切なものが入り続け、できることが増えて、成長が約束されているとも言えるのだ。」

 つぶだてるにも僕以外の社員が入り、まだ小さいけれど組織になってきた。しかも僕らの組織は、フルリモートだ。昔から知っている仲とはいえ、お互いの思いや考えを意識的に共有していかないと、行動の背景が見えなくなってしまうことがある。それは不信感にもつながる。

だから、日頃から感じたことを溜め込まず、伝えるように意識している。
時には正面からぶつかりあって、組織の血管を詰まらせていたものを取り除く作業をすることも必要だ。フルリモートで距離があるからこそ、気持ちの読み合いをするよりも、ストレートに言葉をぶつけ合っている方が心地よい。

テルと僕のSlackのやり取りを見た彩乃ちゃんが、「ケンカしてますか?笑」と、よく聞いてくるがケンカはしていない。


この本を読んで、改めて僕も自らをさらし、「天日干し経営」を行っていきたいと思った。

自らも、組織も、天日に干すことで、僕も組織も強くなって旨みを増していきたい。

自らをさらす、「天日干しの面談」

お客さんにも自らをさらしていきたい、
本音で向き合っていきたいというスタンスは前から変わらない。

最近では、スカウトメールでも本音を伝えるようにしている。

いい事ばかりは書かない。

お客さんが登録サイトに入力してくれた限られた情報ではあるけれど、
経験や希望を見て、僕が感じたことを率直に伝えるようにしている。
すると、返事をくれる方もまた、本音で返してくれることが多い。

「あ、心が通いあった」という瞬間がある。

提案した求人に応募してくれるということではなく、
この人と根っこのところでつながることができたなと思えるのだ。

根っこのところでつながることができた人は、
複数のエージェントに登録していても、
僕にサポートして欲しいと言ってもらえることが多い。

面談でもその人のルーツを辿っていく。

いろんな話を聞いていくなかで、
「そこに対する興味関心があるのはなぜなのか?」
「どんなシーンでそう思うのか」
その人の根っこにあるものを知りたくて、話を聞く。

例えば、今日面談をした人は「フェアネス」をとても大事にされているように感じた。
それがどこからきたものなのかを一緒に見にいった。
フェアネスを大切に思う背景には、
その人がこれまで体験してきたことや、
仕事を通して感じてきた違和感があった。

一緒に根っこを見にいけたことで、
これからどんな花を咲かせたいのかを、
一緒に考えていくことができると思っている。

面談もまさに、天日干しの行為だと思った。

話を聞かせてもらうことは、
相手に自分をさらけ出してもらうことだ。

これは、とても勇気がいることだ。
否定されないか、受け止めてもらえるか、不安に思う人もいる。

僕は受け止めることも、否定することもしない。
出してくれたものを一緒に見る。

自分のなかにあるものを外に出してみると、
客観的に自分のことを振り返ることができる。

面談では、その天日干しの行為を、
ひとりではなく僕と一緒に行う。

自分から出てきたものを並べてみて、
どう料理していったらおいしくなるのかを一緒に考える。

つぶだてるは「人生にスパイスを」と、ビジョンに掲げている。
スパイスというと、香りづけや辛味としての役割をイメージする人も多いのではないか。

でも実は、スパイスには本来、もっと大事な役割がある。

素材の旨味を引き立てることだ。

素材を知ることで、その旨みを引き立てる。
だから僕は、その人の根っこを知りたい。

その人の根っこを知りたいから、
僕も自分の根っこをさらけ出す。

これまでも、これからも。

今まさに、こうして自分の思いや考えをさらしていることも、
村井さんが言う「天日干し」なのではないか。

僕が自分をさらすことで、
経営者としての未熟さや人としての弱さを感じる人もいるだろう。

今年3月に人生ストーリーのインタビューを受けた時、
生い立ちから今に至るまでをあらいざらい話した。

最初はとても怖かった。
自分の弱さや未熟さを外にさらしてしまうことが。

でも、記事を公開してみると、たくさんの温かい言葉や応援メッセージをいただいた。
一緒に事業を作っていきたいと、入社してくれる仲間までも現れた。

村井さんが言うように、自分をさらすことで、大切なものが入り続け、できることが増えて、成長していくことができると、僕も信じている。

12月22日、僕は40歳になった。

これから先の未来も、未知の世界でしかない。
まさに、「天日干し経営」が力を発揮する世界なのだと思う。

だから僕は、日々の体験や気づきをアウトプットし続けていきたいと思う。

自分自身を、天日に干していく。

緊張するほうへと、向かっていく。

                   (インタビュー・文=さおりす


僕の自己紹介はこちらを読んでいただけると嬉しいです。

最後に
キャリア相談も、お気軽にどうぞ!


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