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NCニュースの読み方

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日経コンピュータ連載の「前川徹のニュースの読み方」です。
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NCニュースの読み方 #26 「ITを使いこなす組織能力を高め、積極的なIT投資を」 (2006年5月8日)

NCニュースの読み方 #26 「ITを使いこなす組織能力を高め、積極的なIT投資を」 (2006年5月8日)

 5月1日、経済産業省から『これだけは知っておきたいIT経営』と『IT経営気づき事例集』が公表された。これは中堅・中小企業経営者向けに作成された「IT経営」の手引き書で、「IT経営応援隊」のWebサイトから無償でダウンロードできる(http://www.itouentai.jp/kyoukasyo/)。

 「IT経営」とは、情報技術(IT)を積極的に活用した経営のこと。今年1月にIT戦略本部が公

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NCニュースの読み方 #25 「拡大するインターネット広告とGoogleの戦略」 (2006年4月24日)

NCニュースの読み方 #25 「拡大するインターネット広告とGoogleの戦略」 (2006年4月24日)

 米国のインターネット広告の業界団体IAB (Interactive Advertising Bureau) は4月20日、2005年の米国インターネット広告市場規模を発表した。これによれば、2005年のインターネット広告市場は、前年の96.3億ドルから30.3%増加して125.4億ドルに達した。ネットバブルが頂点に達した2000年(80.9億ドル)の1.5倍以上である。

 この5年間のインター

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NCニュースの読み方 #24 「ウォーターフォール・モデルから脱却する時期がきている」 (2006年4月10日)

NCニュースの読み方 #24 「ウォーターフォール・モデルから脱却する時期がきている」 (2006年4月10日)

 「数年にわたりソフトウェア開発コミュニティの一部から非難されてきたウォーターフォールが力強く復活しました」。

 Waterfall 2006というカンファレンスの宣伝文句である。そのWebサイト(http://www.waterfall2006.com/)には、いくつものチュートリアルやワークショップが紹介されているのだが、講演者がほとんどアジャイルソフトウェア開発の提唱者ばかりである。開催日

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NCニュースの読み方 #23 「巨大プロジェクトの失敗と契約方式」 (2006年3月27日)

NCニュースの読み方 #23 「巨大プロジェクトの失敗と契約方式」 (2006年3月27日)

 3月20日、米FBIは「センティネル(Sentinel)」と呼ばれている情報管理システムの開発プロジェクトの実施者として、ロッキード・マーチン社を選定したと発表した。FBIは90年代半ばから情報システムを刷新するプロジェクトをいくつも実施しており、このプロジェクトは、これまで紙ベースで扱われてきた犯罪捜査資料を電子化し、ウェブベースで簡単に検索・管理できるようにしようというものである。

 セン

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NCニュースの読み方 #22 「GoogleによるWritelyの買収は何を意味するのか」 (2006年3月13日)

NCニュースの読み方 #22 「GoogleによるWritelyの買収は何を意味するのか」 (2006年3月13日)

 2006年3月9日、Googleはウェブベースのワープロ「Writely」を開発しているUpstartleを買収したことを明らかにした。

 WritelyはInternet ExplorerやFireFoxなどのブラウザ上でワープロ文書を作成、共有できるサービスで、昨年の8月に公開されてからまだ半年あまりだが、口コミでインターネット利用者に広がり、ベータテスト中にもかかわらず、既に多くの利用者

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NCニュースの読み方 #21 「企業のスパイウェア対策は十分か」 (2006年2月27日)

NCニュースの読み方 #21 「企業のスパイウェア対策は十分か」 (2006年2月27日)

 2月16日MM総研は、「スパイウェア対策の取り組み状況アンケート調査」の結果を発表した。1月中旬に実施されたWebアンケート調査で、国内企業582社の情報システム部門が回答している。この調査結果によると、社内のパソコンすべてに何らかのスパイウェア対策ソフトをインストールしている企業は36%しかない。大半のパソコンにインストールと答えた企業を含めてやっと半数を超えるというありさまだ。この結果をみる

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NCニュースの読み方 #20 「電子政府・電子自治体構築がもたらすもの」 (2006年2月13日)

NCニュースの読み方 #20 「電子政府・電子自治体構築がもたらすもの」 (2006年2月13日)

 電子政府・電子自治体構築は手段であって目的ではない。当たり前のことだが、2月2日に千葉県市川市で開催された「情報化シンポジウム・イン・市川」に参加して、改めて痛感した。

 このシンポジウムのテーマは「市民の暮らしに役立つ電子自治体を目指して」。韓国ソウル特別市江南(カンナム)区副区庁長の金相敦氏が「電子自治体で世界をリードするソウル特別市江南区」という演題で、西宮市情報政策部長の吉田稔氏が「市

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NCニュースの読み方 #19 「労働時間でははなく達成した仕事で評価すれば残業は減る」 (2006年1月30日)

NCニュースの読み方 #19 「労働時間でははなく達成した仕事で評価すれば残業は減る」 (2006年1月30日)

 1月19日付けの日経産業新聞によれば、新日鉄ソリューションズは深夜残業(午後10時以降の残業)と休日出勤を全面的に禁止した。もちろん、深夜や休日の勤務が避けられないシステム監視担当者などは除外されるが、それ以外の管理職と一般社員の約2100人は原則としてこのルールを守らなければならない。仮に、顧客との関係で深夜残業や休日出勤をせざるを得ない場合には、上司の事前許可が必要となる。

 狙いは、長時

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NCニュースの読み方 #18 「e-Japan戦略の評価結果を考える」 (2006年1月16日)

NCニュースの読み方 #18 「e-Japan戦略の評価結果を考える」 (2006年1月16日)

 IT戦略本部の評価専門調査会は2005年12月、日本のIT戦略に関する取組みに対する評価をとりまとめた最終報告書「評価専門調査会報告書-先端から先導へ-」を公開した。評価専門調査会は、e-Japan戦略及びe-Japan戦略Ⅱの取り組み状況を評価するために、2003年12月に設置された民間有識者からなる委員会である。委員会は、この2年間に5次に渡る中間報告書をIT戦略本部に提出してきているが、こ

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NCニュースの読み方 #17 「人材不足と女性と労働環境をめぐる問題」 (2005年12月21日)

NCニュースの読み方 #17 「人材不足と女性と労働環境をめぐる問題」 (2005年12月21日)

 2005年12月中旬、インドのバンガロールで殺人事件が起きた。犠牲になったのは現地のヒューレット・パッカードに勤務するインド人女性である。彼女は深夜勤務をした後、家に帰ろうとしてタクシーの運転手に殺されている(犯人はすでに逮捕されている)。

 別に彼女は残業をしていたわけではない。インドでは米国からのオフショア開発(海外アウトソーシングの受託ビジネス)が盛んで、米国企業とのやり取りをするために

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NCニュースの読み方 #16 「統計調査にもっとインターネットを活用すべき」 (2005年12月14日)

NCニュースの読み方 #16 「統計調査にもっとインターネットを活用すべき」 (2005年12月14日)

 日本ではあまり報道されていないが、韓国統計庁が2005年11月に実施した
人口住宅総調査で、インターネットを利用した調査方式が導入された。この
調査は日本の国勢調査に該当し、5年に一度実施される。これまでは日本と
同じ、調査員が直接家庭を訪問する方式で実施されてきた。今回も10万7000
人の調査員を投入した上で、インターネットによる調査を採用した。後者を
希望する人は統計庁のWebサイトでイン

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NCニュースの読み方 #15 「キーロガー対策の決め手は何か」 (2005年12月5日)

NCニュースの読み方 #15 「キーロガー対策の決め手は何か」 (2005年12月5日)

 米iDefence社は11月15日、キーロガーを用いた攻撃件数が急増しており、このペースが続けば2005年は前年比65%増の6191件になるとの見通しを発表した。

 キーロガーはスパイウェアの一種で、パソコンのキーボード入力を監視して記録するソフトウェアである。記録したデータをインターネットを通じて外部に送る機能を持つものもある。iDefence社は、キーロガーが組織的にばら撒かれるようになっ

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NCニュースの読み方 #14 「ソフトウエアの二重化を検討すべき」 (2005年11月21日)

NCニュースの読み方 #14 「ソフトウエアの二重化を検討すべき」 (2005年11月21日)

 東京証券取引所は11月1日、売買システムが正常に立ち上がらないという
障害が発生したために、午前中の全銘柄の売買を停止した。この3日後、今
度は名古屋証券取引所で相場報道システムに障害が発生し、午前中の取引が
中止された。証券取引所のシステム障害は以前にもあったが、今年は特に多
い。ジャスダック証券取引所に至っては、システム障害によって3回も取引
を一時中止している。

 言うまでもなく、我々の

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NCニュースの読み方 #13 「コンポーネントの再利用とオープンソース」 (2005年11月7日)

NCニュースの読み方 #13 「コンポーネントの再利用とオープンソース」 (2005年11月7日)

 10月25日、「EJBコンポーネントに関するコンソーシアム」の活動が終了した。このコンソーシアムは、イーシー・ワンやNTTコムウェアなどITベンダー6社が発起人となって2000年10月に設立されたもの。5年の間に七つの規約と13のテクニカル・レポートを発表してきた。すべての規約とレポートはWeb(http://www.ejbcons.gr.jp/)上に公開され、ダウンロード数は10万件を超えてい

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