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NCニュースの読み方 #25 「拡大するインターネット広告とGoogleの戦略」 (2006年4月24日)

 米国のインターネット広告の業界団体IAB (Interactive Advertising Bureau) は4月20日、2005年の米国インターネット広告市場規模を発表した。これによれば、2005年のインターネット広告市場は、前年の96.3億ドルから30.3%増加して125.4億ドルに達した。ネットバブルが頂点に達した2000年(80.9億ドル)の1.5倍以上である。

 この5年間のインターネット広告市場の変化を、広告の種類別にみると面白いことがわかる。
 2000年のインターネット広告を種類別に見ると、47%はバナー広告、28%がスポンサーシップ広告であった。つまり、約80億ドルのインターネット広告の4分の3にあたる60億ドルがバナー広告とスポンサーシップ広告だったことになる。ところが、2005年のでは、バナー広告(Display Advertisingと名称変更されている)は20%、スポンサーシップ広告は5%しかない。金額に換算して31億ドル強である。この2つの広告市場は5年前より縮小していることがわかる。逆に大きく伸びたのが検索連動型広告(Keyword Search)、つまり検索エンジンに入力されたキーワードやフレーズに対応して検索結果のページに表示される広告である。2000年時点では、広告のターゲット配信の一方法として注目を浴びていたものの、検索連動型広告のシェアはわずか1%だったが、2005年には41%を占めている。

 検索連動型広告は、関心をもつ利用者にのみ表示されるため広告効率がよく、また、その広告がクリックされた回数に応じて広告料金を支払えばよいものが多く、費用対効果を重視する広告主に歓迎されたと考えてよいだろう。

 周知のとおり、この検索連動型広告を大きな収入源にしている企業がGoogleである。Googleの2005年の売上高は前年比92.5%増の61.4億ドル、この55%に相当する33.8億ドルを直営サイトにおけるインターネット広告、つまり検索連動型広告によって得ている。(残る45%のほとんどは、提携するウェブページにそのコンテンツと関連の深いテキスト広告を表示するアドセンス広告である)

 さてGoogleはどこまで成長を続けるのだろう。
 所詮、Googleはインターネット広告を収益源とした企業であり、そこに成長の限界があると考えている人が多いのではないだろうか。だが、今年の1月にGoogleがラジオ放送向けに広告配信を行うdMarc社を1億200万ドルで買収した事実を忘れてはいけない。dMarc社は、ラジオ局に対して広告枠と放送スケジュールの設定、広告主に対して配信実績レポートを配信するという機能をもつプラットフォームを提供している。Googleは、このプラットフォームに広告のターゲット配信技術を組み合わせ、ラジオ放送の広告主の支持を得る計画なのだろう。

 そしてさらにその先にはテレビがあり、放送と通信が融合した世界が広がっている。関心を持つ人に広告を効率的に配信し、新しいメディアのインタラクティブ性を生かして広告主の費用対効果に対する要求に応える。
 Googleの広告における革命の本質はここにある。世界で50兆円とも100兆円とも言われる広告市場全体をターゲットにするGoogleを過小評価してはいけない。

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