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雑食系演劇オタク。おもにミュージカルと歌舞伎。「演劇の力で社会はより良くなる!」と信じ…

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雑食系演劇オタク。おもにミュージカルと歌舞伎。「演劇の力で社会はより良くなる!」と信じ、きっかけづくりのために記事を書いています。「舞台を観てみようかな…」と少しでも思ってくれたら嬉しいです。

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結局「はじめての歌舞伎」は何を選んだらいいのか問題~歌舞伎初心者におすすめの演目~

「結局、歌舞伎初心者はどの作品から入ればいいんですか!」 永遠の問題です これがミュージカルだったら「劇団四季のディズニー作品とかは?『アラジン』は舞台もスゴイよ!」て勧められるし、劇団☆新感線だったら「まずは『髑髏城の七人』!!好きな役者が出てるバージョンで!」と、DVD渡しながら言うし、女王蜂だったら「『金星』とか『火炎』かな!」て胸張って言える、けど 正直上記3つは、ネットでキーワード検索すると上位に出てきたり、再生回数が高かったりで、目にしやすいため、初心者もとっ

    • 女王蜂15周年記念単独公演「正正正」~15年のその先へ

      4月20日、女王蜂のデビュー15周年を記念した単独公演が開催された。 場所は国立代々木競技場 第一体育館。 私が初めて行ったライブが4年前のNHKホール(3,600席)なので、「12,000席完売」という成長ぶりには恐ろしさすら感じさせる。 もちろん私を含めた観客の熱気は、夏を感じさせる強い日差しに負けないくらい熱い。 そんな気合の入ったライブを、私は前から1桁列目のドセンから見届けてしまった。席が分かった瞬間、笑うしかなかったし、周りも多くが同じ反応だった。これまでもコロ

      • ミュージカル「カムフロムアウェイ」~出会いの連鎖が生み出す物語

        昨日、ミュージカル「カムフロムアウェイ」を観ました。 2013年に初演され、トニー賞等の演劇賞を受賞した作品。9.11の影響で38機の飛行機、約7,000人の乗員・乗客が急遽カナダ・ニューファンドランドの小さな町に降り立ちます。12人の役者が約100人を演じ分けながら、町の人々と乗客たちの5日間を描きます。 日本初演に際して集められたキャストは、いずれも大型ミュージカルで主役を演じられる、指折りのキャストたち。「群像劇なのに、そんなに豪華である必要がある?」と思っていまし

        • 盛り沢山の原作要素×演出〜ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険」

          12日夜、ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」を観劇しました。 この日が唯一持ってるチケットでしたので、まずは無事に開演して、そして無事に終了して何よりです。 開演前に東宝の演劇本部長より謝罪の挨拶がありました。公演責任者が自ら謝罪したことは評価したいと思います。終演後の見送りもいらっしゃいました。 さてジョジョはアニメで履修済みだったので、舞台でどこまでやるのかな?と思いましたが、結論、全部やりました。 ジョジョとディオの対立がメインなので、後半(波

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          猿若祭二月大歌舞伎〜野崎村・篭鶴瓶花街酔醒〜

          昨日、歌舞伎座昼の部を観劇しました。今回は十八代目勘三郎さんの追善興行として、中村屋を中心とした座組です。 1本目は野崎村。田舎娘・お光を主人公に、お染・久松カップルを巡る物語。鶴松さんが歌舞伎座にて古典歌舞伎初主演を務めます。 ビジュアル写真でも可愛らしかったですが、鶴松お光ちゃんは出の時からかわいい!大好きな久松との結婚ということで、全身からウキウキが溢れていました。大根を切る手際がよくて、細切り大根を大量に生成していましたが、毎回どうしているんだろう… そこに児太郎さ

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          24年1月観たものまとめ

          遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。 今年もゆるゆると綴っていこうと思っています。Xでリアルタイムに感想を書くのもよいのですが、個人的に頭の中にある散文をここでしっかりまとめないともったいないなと思っています。思考も定期的に筋トレしないと、ただ観て終わりになっちゃうからね。 1月に観た作品は以下の通り。 新春浅草歌舞伎 第1部 劇団四季 ミュージカル「ウィキッド」 女王蜂 全国ホールツアー2023-2024「十二次元+01」 舞台「オデッサ」 ※女王

          24年1月観たものまとめ

          2023年観劇まとめ

          先日のアヴちゃん聖誕祭の興奮が抜けきっていませんが、2023年すべての観劇が終わりましたので、まとめたいと思います。 【観劇記録】 観劇回数 計44回(昨年比+14回) ミュージカル 11作品11回 演劇 7作品7回 歌舞伎 22回(1公演1回カウント) ライブ 4回 コロナが落ち着いたこともあり、ミュージカルと歌舞伎が昨年のほぼ倍に。ただチケット代が高騰したことで、コロナ前までは行きませんでした。 【2023年総合ベスト】 作品:新作歌舞伎「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」 演

          2023年観劇まとめ

          11月の観劇

          今月は「碇知盛」「マハーバーラタ戦記」そして映像で「ヤマトタケル」と、戦を取り扱う歌舞伎を多く見た月でした。 平成中村座で観る「碇知盛」で印象的だったのは、勘九郎さんの知盛の大きさ。舞台が小さいのはもちろん、平家大将としての器の大きさ、天皇を守り義経討伐に向かう覚悟の強さが、彼をより大きく、より勇猛な武将に見せました。 加えて強さだけでなく、慈愛深さも印象的。共に闘った典侍の局を想う気持ち、そして天皇を託す義経への信頼には、平家ではなく人としての懐の深さを感じさせました。

          11月の観劇

          イマジネーションを信じているか〜ミュージカル「チャーリーとチョコレート工場」

          先日、ミュージカル「チャーリーとチョコレート工場」を観劇しました。 この作品と言えば、ティム・バートンによる映画ですが、こちらはあのキッチュな世界観ではなく、子どもも楽しめるポップなファンタジーでした。それに一役買っているのが、ビジュアル公開時から話題になっていた、増田セバスチャンさんのアートディレクション。カラフルでキュートなデザインが本当に素敵!夢と不思議が詰まったウォンカの工場にぴったりでした。 工場体験をより面白くさせてくれるのが、個性豊かなキャラクターたち。モリ

          イマジネーションを信じているか〜ミュージカル「チャーリーとチョコレート工場」

          傾聴を望んだ子どもたちとそれを拒否した大人たち〜スクール・オブ・ロック/桜の園

          今月心に残ったのは新作2本、ミュージカ「スクール・オブ・ロック」とPARCOの「桜の園」でした。 ミュージカル「スクール・オブ・ロック」 2020年の公演中止から3年を経て、ようやく上演できた作品。もとは同名の映画で、音楽は(実は)アンドリュー・ロイド=ウェバー。私立の子どもたちが、元バンドメンバーでロックを愛するダメ男・デューイにより、ロックバンドを結成するお話。 ブリリアということで音響はイマイチ・歌詞もちょっと聞き取れなかったですが、子どもたちが自らの殻を破り、グ

          傾聴を望んだ子どもたちとそれを拒否した大人たち〜スクール・オブ・ロック/桜の園

          花形役者がつなぐ古典歌舞伎の系譜〜新作歌舞伎「刀剣乱舞」

          FFXにつづき、2次元×歌舞伎になったのは「刀剣乱舞」。FFXは菊之助さんはじめ、中堅の役者が中心でしたが、こちらは松也さんを中心に20~30代と、歌舞伎界の中でも若い役者が集まりました。 日曜日に行きましたが、原作人気もあり、客層は若め。私もとうらぶオタクの友人と一緒に観に行きました。 ゲーム原作ということもあり、開演前には世界観の説明がありました。固有名詞はありますが、FFXよりはシンプルな世界観です。幕に説明を書くことで、耳だけでなく、文字でも理解できるのもありがたい

          花形役者がつなぐ古典歌舞伎の系譜〜新作歌舞伎「刀剣乱舞」

          設定変更の是非〜舞台「パラサイト」

          アカデミー賞受賞作「パラサイト 半地下の家族」が舞台化され、実力のあるキャストにより上演されています。脚本・演出は鄭義信さんです。 今回の上演にあたり、映画からいくつか変更されています。金持ち家族の弟は実際には出てこず(暴れる声だけ)、家政婦の息子が登場する、冷蔵庫の件は全カット、などなど… なかでも1番の変更が、物語の舞台が「90年代の関西」になったこと。バブルがはじけた後の閉塞感のある空気が、主人公一家が暮らす集落を覆います。 その重い空気を跳ねのけるように、物語は笑い

          設定変更の是非〜舞台「パラサイト」

          今月見た作品

          今月はあまりいい作品に巡り合えなかったので、見た作品を一気に。 ・ミュージカル「美女と野獣」 新演出になってからは初めて。前回と比べて、大道具がシンプルに、衣装が華やかになったのが目を引きます。冒頭の「貧しいけれど〜」の歌詞と整合性が合わないのは、いいのかな笑 平木ベルはくりくりとした目がかわいい。新曲のソロも伸びやかでした。金本ビーストの「愛せぬならば」は絶品。第1幕のラストを美しく且つ哀しく歌いあげました。 ・舞台「The Bee」 野田秀樹の代表作「THE BEE」

          今月見た作品

          現代社会で「生きる」ということ〜エンジェルス・イン・アメリカ

          新国立劇場にて、「エンジェルス・イン・アメリカ」を観劇しました。第一部「ミレニアム迫る」・第二部「ペレストロイカ」、2本で6時間半に及ぶ大作を、通しで観ました。 舞台は1985年〜1990年のアメリカ。冷戦とエイズを軸に、混沌とした世の中で生きる1組の夫婦と1組のゲイカップル、そして実在した政治家を描いた作品です。 レーガンによる「強いアメリカ」が押し進められる一方で、政府に軽視されたエイズは「ゲイの病」として恐れられ、差別を引き起こします。また移民の国であるからこそ、肌

          現代社会で「生きる」ということ〜エンジェルス・イン・アメリカ

          老舗が本気で2.5次元やってみた〜FFX歌舞伎とSPY×FAMILY〜

          3月は新作舞台が目白押し。その中でも演劇ファン”以外”にも注目を集めたのが、「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」とミュージカル「SPY×FAMILY」でした。いずれも松竹(歌舞伎)と東宝(ミュージカル)と、日本を代表する老舗興行会社が手掛ける”2.5次元”。それぞれ観たので、感想を書いていきたいと思います。 再現度100点満点。みんなが楽しめるエンタメに仕上げたスパミュ 漫画もアニメも絶好調の「SPY×FAMILY」がミュージカルに。しかもアーニャ役は歌えて踊れる幼稚

          老舗が本気で2.5次元やってみた〜FFX歌舞伎とSPY×FAMILY〜

          歌舞伎の世界を支えるエロス〜2月観劇記録

          2月は歌舞伎座で「三人吉三」、木ノ下歌舞伎で「桜姫東文章」と、歌舞伎を代表する二大劇作家、河竹黙阿弥と鶴屋南北、それぞれの代表作を観劇できました。 片方はあまり上演されない幕を上演、もう片方は古典作品の再構築と、舞台の趣向は異なりましたが、2作続けて観た(マチソワ)ことで、歌舞伎の世界を支える”エロス”の奥深さに気づけました。 「桜姫〜」は、桜姫の没落と恋模様を描いた破天荒な作品。2年前の歌舞伎上演時のポスター(復刻)が示すように、この作品でよくクローズアップされるのは、

          歌舞伎の世界を支えるエロス〜2月観劇記録