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11月の観劇
今月は「碇知盛」「マハーバーラタ戦記」そして映像で「ヤマトタケル」と、戦を取り扱う歌舞伎を多く見た月でした。
平成中村座で観る「碇知盛」で印象的だったのは、勘九郎さんの知盛の大きさ。舞台が小さいのはもちろん、平家大将としての器の大きさ、天皇を守り義経討伐に向かう覚悟の強さが、彼をより大きく、より勇猛な武将に見せました。
加えて強さだけでなく、慈愛深さも印象的。共に闘った典侍の局を想う気持ち、そして天皇を託す義経への信頼には、平家ではなく人としての懐の深さを感じさせました。
碇と共に落ちていく最後の最後まで、平家のプライドと、人の愛情深さを兼ね備えた知盛。その立派な人柄に、生まれや時代が違っていたらと思わずにはいられませんでした。
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同様のことを口にしたのは、「マハーバーラタ戦記」のヅルヨウダ王女でした。
再演にあたり手直しが入り、全体的に人物の挙動がわかりやすくなりました。ただそもそもは神々が始め、気まぐれで介入する戦争。カルナの存在で戦争は防げず、戦争の規模は大きくなるばかり。神の代理戦争してるようで、別に神々はその結末に物凄く興味があるわけではなく。結局何だったろ…というのが正直なところ。人の世の無情の一端を神々のせいにしてる、そんな神話だと感じました。
初演から多くのキャストが変わりましたが、みな好演。米吉さんのクンティ姫は初々しい少女から、息子たちの行方を憂う母と劇中見事に成長。萬太郎さんのビーマは格闘ゲームに出てきそうな勇ましさ、隼人さんのアルジュラと好蝶さんの姫は漫画のような美男美女カップル。
芝のぶさんの王女は、生まれと世への憎しみを内に秘めて大きくなった過去が感じられる演技に、心を鷲掴みされました。そして丑之助さんのガトウキシャ/ガネーシャは、「お披露目この前だったよね??」と確認したくなる、達観した演技に驚き。成長が楽しみです。
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追悼として放送されたスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」を鑑賞。間違いなく現在の新作歌舞伎のきっかけとなった、エポックメイキングの作品です。
派手な衣裳と舞台セットに、当時は大きな衝撃だっただろうと察します。あと笑也さんをはじめ、皆さん美しい…ただ学者が原作を書いたこもあり、台詞劇の印象が強かったです。1シーン1シーンがやや長く感じるのは、現代の感覚か。
4時間これは、お尻が痛くなるだろうな…来年の上演はどうなるかな。
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