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結局「はじめての歌舞伎」は何を選んだらいいのか問題~歌舞伎初心者におすすめの演目~

「結局、歌舞伎初心者はどの作品から入ればいいんですか!」
永遠の問題です

これがミュージカルだったら「劇団四季のディズニー作品とかは?『アラジン』は舞台もスゴイよ!」て勧められるし、劇団☆新感線だったら「まずは『髑髏城の七人』!!好きな役者が出てるバージョンで!」と、DVD渡しながら言うし、女王蜂だったら「『金星』とか『火炎』かな!」て胸張って言える、けど

正直上記3つは、ネットでキーワード検索すると上位に出てきたり、再生回数が高かったりで、目にしやすいため、初心者もとっつきやすい
でも、歌舞伎は「巷で有名」=「とっつきやすい」の方程式が当てはまりにくいです。

例えば「歌舞伎といえば!」で挙げられる『勧進帳』

実は言葉が難しかったり、スローテンポだったりで、個人的には「初歌舞伎には向いてない」と考えています。

せっかく高いお金を出した「初歌舞伎」で「つまらない」「寝ちゃった」は1番避けたいところ。でも相談できるオタクが身の回りにいない。
なので今回は、作品を選ぶヒントを3つ紹介したいと思います!

①舞踊はとっつきやすさNo.1

歌舞伎は大きく分けて、2つのジャンルがあります。
「お芝居」と「舞踊」です。

「初歌舞伎」に舞踊は特におすすめです。
なぜなら、物語の筋がほとんどないから

長唄(三味線と語り。いわゆる伴奏)はありますが、一言一句理解する必要はないし(なんなら私も殆ど理解してない)、あらすじはチラシやHPで確認するだけで十分。

華やかな踊り以外にも、色鮮やかな衣裳や小道具も見応え抜群。「すごいなぁ、綺麗だなぁ」て思うだけでも、十分観た価値があると思います。

私としては、人間国宝の坂東玉三郎さんが出演する舞踊は是非観てほしいです。ブームから数十年経った今でも、国内外を魅了する玉三郎さんの舞踊は、惚れ惚れとする美しさです。

舞踊かどうかは、歌舞伎総合公式サイトの「見どころ」から確認できます。

画像1

※「舞踊劇」は舞踊+お芝居。メインは舞踊
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/698/

②歴史上の人物より、市井の人

歌舞伎には歴史上の人物が登場・関連する作品がいっぱいあります。
源義経、木曾義仲、明智光秀etc…劇中では別の名前のことも多いです。

このような作品を画像検索すると、一見華やかな衣裳で、日本史の知識が使えそうな気がしますが、これらもおすすめできません。『勧進帳』と同様、言葉が難しく、スローテンポだから。皆さんが想像する「言葉が難しく、ゆっくり動いてるのが歌舞伎」のイメージは、ここから来ています。

やっぱり、地位や名誉といった高貴な方々のお話は堅苦しい!なら、市井の人々の話はどうでしょうか?

見た目は全然映えないけど(映えるのは遊女ぐらい)、恋にお金にと、今も昔も考えることは同じ。特に江戸時代に歌舞伎は市井の人が観るもので、ゴシップニュースの役割もあったので、観客にとって身近な話が多いのも特徴です。

台詞も落語とかに近くなるので、とても分かりやすいです。
歌舞伎を全く見ない私の親が、TVでやってた歌舞伎に、真面目に見ながら「さすがに江戸時代が舞台だと、わかるもんだねー」て言ってたぐらいなので

これも「見どころ」を読んでいただくしかないのですが、「義太夫狂言」「時代物」の語句が出たら『勧進帳』パターン。逆に遊女が出てきたり、金や恋、酒絡みの話だったりしたら、狙い目の可能性が高いです。

③困った時は「テレビで見る人」で

昨年「半沢直樹」を放送してた頃、Twitterで「ドラマをきっかかに、歌舞伎座に初めて来ました」というツイートを何件か見ました。

テレビ効果は高いもので、ドラマ以外にもドキュメンタリーの放送直後は、売れ行きが良くなることが多いです。特に海老蔵さんや勘九郎さんのは、定期的に放送されるので、お茶の間の人気も高いですね。

メディアへの出演について、多くの歌舞伎役者は「自分たちが出ることで、歌舞伎に足を運んでいただけたら」と話します。

やっぱり知らない人より、知ってる人が出てる方が興味が湧きますよね
ドラマではいかつい顔をしてた伊佐山部長も、歌舞伎では可憐な姫や、忠誠心の熱い"狐"を演じてて、ドラマとは違う顔が観られます。

「ドラマで見た、あの人が観たくて」
それぐらい些細なきっかけでも全然構いません!むしろ嬉しい!ありがとう!もはや抱きしめたい(やめて)


ここまで作品を選ぶ3つのヒントを書きましたが、1番の方法は「自分が『面白そう』と思った作品を選ぶこと」だと思います。
自分の好奇心を信じて観に行く舞台は、かけがえのない思い出になります。実際観て、例え面白くなかったとしても、それはそれで「面白かった思い出」になると思います。

ちょっとでも気になる作品に出会ったら、その時が観に行くチャンスです!




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