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イマジネーションを信じているか〜ミュージカル「チャーリーとチョコレート工場」

先日、ミュージカル「チャーリーとチョコレート工場」を観劇しました。

この作品と言えば、ティム・バートンによる映画ですが、こちらはあのキッチュな世界観ではなく、子どもも楽しめるポップなファンタジーでした。それに一役買っているのが、ビジュアル公開時から話題になっていた、増田セバスチャンさんのアートディレクション。カラフルでキュートなデザインが本当に素敵!夢と不思議が詰まったウォンカの工場にぴったりでした。

工場体験をより面白くさせてくれるのが、個性豊かなキャラクターたち。モリクミさんはじめ両親ももちろん個性が強かったですが、子どもたちもなかなか。当日キャスト変更が生じたベルーカを除き、どの子役もパワフルで歌も上手。この先の成長が楽しみになりました。

一方で引っかかったところも。まず時代がちぐはぐ。チャーリーの母の夜の仕事は洗濯屋、衣装やマイクのゲームは一時代前の印象を受けるのに対し、バイオレットの人気の尺度はSNSのフォロワーで、子どもたちはスマホをガンガン使うと、現代的。ここの違和感がどうにも拭えませんでした。

あとは観客のイマジネーションをあまり信じてないと感じたことです。チャーリーの母が、夫との思い出を懐古して歌うシーン。舞台前に紗幕を張り、舞台内でダンサーが踊る姿を後ろから照らして、紗幕に映す演出がありましたが、夫が影である必要あったのかな。観月さんとその夫のデュエットダンスも少しだけありましたが、それも投影。観月さんにダンスまで求めるのは難しかったとは思いつつ、リアルに見せたいのか、それとも映像で見せたいのか、どっちつかず。

また同じように、ラストシーンでチャーリーとウォンカが空を飛ぶシーンも、紗幕で映像を被せました。席位置の問題もあったかもしれませんが、肝心な2人の表情が見えにくくて、すごく勿体なかった。

作品のキーワードとして「イマジネーション」がたびたび出てくるのに、状況を説明しようとし過ぎて、結果的に観客のイマジネーションを奪ってしまっている状況です。

役者の表現力やダンス、からくり演出など、優れたところが多く、オリジナリティに富んだ舞台ただけに、ここはかなり残念でした。

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