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名曲名盤紹介 クラシック編

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ブラオケ団員がおすすめしたい、至極の名曲や名盤の数々を紹介しています。 ここではクラシックを特集しています。 お気に入りの一曲が見つかるかも!?
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#名曲

ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #12『ジョリヴェ:エラート録音集成』

 作曲家「アンドレ・ジョリヴェ」と聞くと、難解な作品を作曲する人というイメージを持つ人が多いようだが、実際には前衛的な音楽から、分かりやすいCM音楽まで、様々な作品を作曲しており、必ずしも全ての作品が難解という訳では無い。ジョリヴェは、1905年に生まれ、1974年に没したフランスの作曲家であり、同じくフランス生まれの作曲家ヴァレーズの影響を大きく受けている。故に、十二音技法や実験的音響に対して特

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #11 『序曲「南国にて(アラッショ)」 作品 50』

イギリスの作曲家、エルガーと言えば『威風堂々』を思い浮かべる人が多いだろう。他にも、『愛の挨拶』や『ニムロッド』、『チェロ協奏曲』あたりを思い浮かべる人が多いと思われるが、『南国にて(アラッショ)』を思い浮かべる人はなかなか居ない。エルガーは、イギリスでは超有名人ではあるが、日本においては、日本語の伝記が2023年1月時点では電子書籍(水越健一著:「愛の音楽家エドワード・エルガー」他)でしか販売さ

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #10『21世紀のチューバ協奏曲』

 協奏曲と言えば、ピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲などをイメージする人が多いと思われるが、当然のことながら、ある程度認知度が高い楽器であれば、その楽器専用の協奏曲を作曲する作曲家も現れてくる。例えば、アホが作曲したコントラファゴット協奏曲、パーシケッティのイングリッシュホルン協奏曲、エワイゼンのテナーサクソフォン協奏曲やバストロンボーン協奏曲、ラヴィ・シャンカールのシタール協奏曲など、多岐に渡る。

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #9 『マーラー:交響曲第9番(バーンスタイン & ベルリンフィル)』

 マーラーの交響曲第9番を聴くと、たとえ初めて聴く人であっても、誰しもが重々しく感傷的な雰囲気を感じ取ることが出来るだろう。マーラーは「死」を非常に恐れた作曲家だからである。当時、9番目の交響曲を作曲すると死ぬというジンクスがあり、実際に、ベートーヴェン、ドヴォルザーク、ブルックナーなど、何人かの著名な作曲家は、9番目の交響曲を作曲した後に亡くなっているのだ。勿論、マーラーの「死」に対する意識は、

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #8 『マーラー:交響曲全集』

 今回は、名盤紹介として、DECCA社から発売されたリッカルド・シャイーとロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団によるマーラーの交響曲全集を紹介したい。

 シャイーによるマーラーの交響曲は、1986年から2004年に掛けて録音されており、第1番から第9番までがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)、第10番がベルリン放送交響楽団(現在のベルリン・ドイツ交響楽団)による演奏となっている。シャイー

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #7 ニルス・ゲーゼの作品

 今回は、デンマークの作曲家、ニルス・ゲーゼの作品をご紹介したい。

 ゲーゼ(1817-1890)は、北欧諸国の音楽界の近代化に貢献したと言われる、音楽史上、非常に重要な作曲家のひとりである。ゲーゼと聞いてピンと来る人は相当なマニアだが、グリーグやニールセンなどに影響を与えた作曲家であり、北欧音楽における功績は大きい。なお、グリーグのピアノ作品集『抒情小曲集』のゲーゼという小品があるが、これは作

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #6 『交響曲 第4番『ロック交響曲』 / I.カルニンシュ』

 今回は、イマンツ・カルニンシュの『ロック交響曲』を紹介したい。

 ところで、クラシック音楽の変遷というのを、これまで考えたことがあるだろうか。小学校や中学校の音楽室を思い起こしてみると、大抵の学校では、左から順番に古い作曲家の肖像画が飾られており、通常はバロック初期に活躍したヴィヴァルディの写真が一番左に飾られていることが多いであろう。『いやいや!私の出身校は先生がマニアックだったので…』とい

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #5『サンベリーナ組曲 / A.パヴロワ』

今回は、ウクライナ出身のロシア女流作曲家、アラ・パヴロワの『サンベリーナ組曲』を紹介したい。

アラ・パヴロワは、1952年にロシアで生まれた現代音楽作曲家であり、モスクワで作曲を学んだあと、1983年からブルガリアでオペラ作曲を中心に活躍した。1990年からはアメリカを拠点にしながら活動しており、現在Naxos社から出版されている作品の多くは、アメリカに拠点を移してから作曲された作品である。パヴ

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #4交響曲 第1番『巨人』/ G.マーラー

今回ご紹介するのは、ルツェルン祝祭管弦楽団が2009年に演奏した、マーラー交響曲第1番の動画です。ルツェルン祝祭管弦楽団とは、スイスのルツェルンで開かれる「ルツェルン音楽祭・夏の音楽祭」において臨時編成されるオーケストラであり、主に、ヨーロッパの有名楽団のメンバーや、著名なソリストを招いて演奏する楽団です。トランペットの1stはラインホルト・フリードリヒで、オケのラッパ吹きならば知らない人はいない

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ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #3『交響曲第7番第2楽章 / L.v.ベートーヴェン』

ブラオケ的クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #3『交響曲第7番第2楽章 / L.v.ベートーヴェン』

●はじめに
ベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章は、何故冒頭の和音がAmの第2転回なのだろうか。今回は、この冒頭の和音について考えてみたい。

 第2楽章はイ短調から始まり、第2転回は基本形よりも不安な響きを持つものであるが、何も知識が無い状態で考えれば、ベートーヴェンは第2楽章で暗い何かを表現したかったのだろうと考えるであろう。しかし、緩徐楽章でありながらAllegrettoという指示を出してい

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クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #1 交響詩『夜明け』/H.エッレル

クラシックの『名曲名盤紹介』のコラムとして、まず最初にご紹介したいのは、エストニアの作曲家、ヘイノ・エッレルの交響詩『夜明け』。敢えてのマニアック路線からスタートしようと思う。

私がこの曲に出会ったのは、2003 年 6 月 1 日に東京オペラシティにて開催された、東京フィルハーモニーの午後のコンサートであった。指揮者は、エストニアの女流指揮者アヌ・タリで、エストニアの作品を紹介するということで

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