クラシック名曲名盤紹介 〜オケ好きの集い〜  #1 交響詩『夜明け』/H.エッレル

クラシックの『名曲名盤紹介』のコラムとして、まず最初にご紹介したいのは、エストニアの作曲家、ヘイノ・エッレルの交響詩『夜明け』。敢えてのマニアック路線からスタートしようと思う。

私がこの曲に出会ったのは、2003 年 6 月 1 日に東京オペラシティにて開催された、東京フィルハーモニーの午後のコンサートであった。指揮者は、エストニアの女流指揮者アヌ・タリで、エストニアの作品を紹介するということで、500 円の学生チケットを購入して、とても楽しみにしていたことを記憶している。当時、エッレルは、日本ではまだ殆ど演奏されたことが無く(今でも殆ど無いが…)、この交響詩『夜明け』も日本初演であった。

どんな曲なのか、固唾を飲んで待っていると、オケから発せられたサウンドは、非常に澄んでおり、まさに北欧の冷たい空気を彷彿される美しい響きが空間を染めていた。この時点で完全にノックアウトされたのだが、その美しい響きと和声の流れの中から、突如オーボエが大変に美しいソロを奏で始め、今まで聴いたことのない響きで、最後まで度肝を抜かされたのを今でも鮮明に覚えている。

演奏会を終え、その後は、当時クラシック CD が日本で一番揃っているとされていた渋谷のタワレコに直行し、音源を探し回った。しかし、エッレル自体、日本では全くの無名な作曲家であったため、残念ながら、CD は全く置いていなかった。そこで、Amazon の各国のサイトをネットサーフィンし、ついに、どこかの国の Amazon で 2 枚を発見した。勿論、両方とも輸入した。そのうち、私がオススメしたいのは、Chandos から出版されている、ネーメ・ヤルヴィ指揮の、スコットランド・ナショナル管弦楽団の音源である。今では廃版となっており、下記 CD がその録音を継承しているものと思われる。是非、皆様にも一度は聴いて頂きたい音源ではあるが、やはり、コンサートホールで聴く生音には到底勝てないため、もし今後、エッレルの夜明けを日本で演奏することがあれば、是非聴きに行って頂きたい。

(文:マエストロ)


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