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ベンゾの減断薬に関心を持つ医師たちの情報 いろいろ

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ベンゾジアゼピンについて医師の考え方を集めたり、取材していきます。
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ChatGPT習作「精神科医と患者の間での理解と信頼構築:信頼関係と治療協力の重要性と方法論」[Free full text]

ChatGPT習作「精神科医と患者の間での理解と信頼構築:信頼関係と治療協力の重要性と方法論」[Free full text]

精神科診療における医師と患者の関係は、有効な治療を実現する上で極めて重要です。患者が心理的な問題に直面し、治療を求める際に、医師との信頼関係と治療協力は、ポジティブな結果をもたらすために不可欠な要素となります。本記事では、精神科医と患者の間で理解と信頼を構築し、信頼関係と治療協力を高める重要性とその方法論について考察します。

【I. 序文】
精神科診療における医師と患者の関係は、心の健康を回復す

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ベンゾジアゼピン減断薬 - 日本人はジアゼパムを服用すべきではないのか - ネット情報の取捨選択の困難さの一例として -

ベンゾジアゼピン減断薬 - 日本人はジアゼパムを服用すべきではないのか - ネット情報の取捨選択の困難さの一例として -

短時間作用型のベンゾジアゼピンの服用によって依存が起こり、減薬・断薬したいのだが、離脱症状のために減薬が進まず困っていると訴えられる方からのオンライン医療相談で、最近複数回、同じようなやり取りがありました。

こうした事例における対応法として一般的な、長時間作用型のベンゾジアゼピンであるジアゼパムへの置換法(置換してからの漸減法)があることを一例として紹介したのですが、何人かの相談者様が口を揃えて

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ベンゾジアゼピン減断薬 -「薬漬け」の精神科医療 - その責任は精神科医のみにあるのか -

ベンゾジアゼピン減断薬 -「薬漬け」の精神科医療 - その責任は精神科医のみにあるのか -

僕はTwitterでもブログでもnoteでも、ベンゾジアゼピンの負の側面についてしばしば言及していますが、睡眠薬・抗不安薬としてのベンゾジアゼピンの使用に絶対反対の立場ではありません。

使い方さえ誤らなければ、良い薬であるとさえ思っています。
その使い方の中には、「どのような患者さんに使い、どのような患者さんには使うべきではないか」という、処方以前の判断も含まれます。

今回は、睡眠薬としてのベ

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ぼくがかんがえたさいきょうの精神療法 [Free full text]

ぼくがかんがえたさいきょうの精神療法 [Free full text]

筋悪な精神科医が、「ぼくがかんがえたさいきょうの精神療法」を駆使して処遇困難患者を量産することがしばしばあります。

開業してオーナー院長になってからやるなら結構。
非常勤や、医局人事で年限付き派遣されている立場でそれをされると、その医師が去った後に残されたスタッフの負担は甚大なものになります。

そうした医師には、治療契約や治療構造の枠設定といった、精神疾患の治療を開始する時点で行うべき「清潔操

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僕が漢方薬を処方しない理由(わけ)

僕が漢方薬を処方しない理由(わけ)

僕は、漢方薬を処方しません。
処方の仕方がわからないから。
精神疾患に著効を示す漢方薬が無い、というのもあるけれど。

心身医学会などで漢方専門医の先生方と話すのは好きで、しかし話を聞くほど漢方薬は僕の手に負える薬物ではないように思えてくる。
まず「証」とやらを診る技術が無いし、修得しても診察時間やスペースの問題で臨床に導入するのは多分無理。

症状は同じでも処方される漢方薬は違ったり(同病異治)

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ベンゾジアゼピン減断薬 - 分服回数増は減薬・断薬成功に寄与するか?

ベンゾジアゼピン減断薬 - 分服回数増は減薬・断薬成功に寄与するか?

ベンゾジアゼピンの減薬過程で、1日の中での離脱症状の変動に苦しまれている患者さんが、服薬間隔を短くする(1日の総服薬量は変えずに服用頻度を増やす)ことでそのコントロールを図ろうとすることがあります。

これは場合によっては有用です。
総服薬量は変えずに服薬間隔を短くする(例:分3⇒分4)ことでトラフ値が上昇するからです。

ベンゾジアゼピンも含めて多くの薬物は反復投与することで「定常状態」に達しま

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めまい、何科に行けば良いですか?②

めまいには、さまざま感覚(クラクラ、グルグル、フワフワ)があることは①でお伝えしました。それほど強く、長く持続するものでなければ、「疲れているのかな?」「貧血気味かな?」「気圧のせいかな?」くらいで、すませることもありますね。(それで良いのです)でも、ちょっと気になって調べてしまうと、「脳神経領域の怖い病気が隠れていることもある」などと出てきます。脳腫瘍や脳梗塞などの症状としてめまいが現れることは

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めまい、何科に行けば良いですか①

めまいと一口に言っても、様々な状態があります。クラッ(立ちくらみ)、グルグル(回転性眩暈)、フワフワ(浮遊感)などなど。
多くの人は、まずは耳鼻科に行くようです。耳鼻科では、耳に原因があるかどうかを調べてくれます。良性発作性頭位めまい(耳石か関与する)や、メニエール病は、耳鼻科での治療対象となります。耳鼻科では、アデホスコーワ、メリスロン(成分名=ベタヒスチンメシル酸)、メチコバールの3種類を出さ

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各論07 減薬:Step 1-2

ものすごく単純化して申し上げれば、最初の減量後、その次の受診時までに小袋を一度も使わなかった患者さんはA群に属している可能性があり、小袋を何度か使った患者さんはB群に属している可能性があります。

「A群に属している」、「B群に属している」と断じずに、「可能性がある」というスペーサーを挟むのは、まだ減量の初期段階に過ぎないからです。A群だと思っていたのに減薬が進んでみると離脱症状が現われてB群あ

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各論07 減薬:Step 1-1

さて、0.1mgの減らし方です。

デパスを1日1回服用されている患者さんであれば、その1回分を減らして下さい。1mg服用されていれば0.9mgに、0.5mg服用されていれば0.4mgに服用量を変更します。

[デパス (1) 3Tab/3×毎食後]で服用されている患者さんであれば、1日量を2.9mgに減らします。[デパス細粒 2.9mg/3×毎食後]でも良いですし、[デパス (1) 2Tab

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各論06 0.1mgずつ減らす

減断薬のメリットとデメリットを理解し、同意を得られた患者さんのデパスの1日用量を、0.1mgずつ減らしていきます。 

その患者さんが就寝前にデパスを0.5mg服用している場合でも、3食後に1mgずつ(計3mg/日)服用している場合でも、0.1mg減らして下さい。 ちなみに、0.1mg減らしても離脱症状が認められないことが確認されたら、もしくは離脱症状が現われた後にそれが消失したら、また0.1m

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総論01 ベンゾジアゼピン離脱症状

総論01 ベンゾジアゼピン離脱症状

ベンゾジアゼピンの離脱症状について定義しておきましょう。 

毎日服用していたベンゾジアゼピン系の睡眠薬を中止したら眠れなくなった。 

これは、必ずしも離脱症状ではありません。 

睡眠薬ですから、不眠に対して処方されていたはずです。睡眠薬は対症療法に過ぎませんから、服用を中止すれば、服用開始前と同レベルの不眠が現われます。これを離脱症状とは呼びません。 

服薬中止によって、服薬開始前よりも

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総論02 個人差

総論02 個人差

前述のような機序でベンゾジアゼピンの離脱症状が起きるのであれば、一定期間、一定量の睡眠薬なり抗不安薬なりを服用した後に中止した患者さんの全員に、離脱症状が起きそうなものです。 

しかし実際にはそうではありません。 

デパスを含むベンゾジアゼピンの減薬・断薬を実行に移す際に留意しなければならないのは、離脱症状の出やすさには大きな個人差があるということです。 

例えば、ある患者さんが長期に渡って

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総論03 減薬・断薬の技法 - 一気断薬、漸減法、隔日法、置換法

総論03 減薬・断薬の技法 - 一気断薬、漸減法、隔日法、置換法

当然、僕とは異なる立場をとる医療者もいます。 

例えば「一気断薬派」は断薬(彼らには減薬という概念がありません)における1つの極と言えるでしょう。ベンゾジアゼピンを「一気に身体から抜くのが理想的」と唱える医師達がそのように形容され、それを支持する識者や患者さんもおられます。 

上述したA群や、B群でもA群よりの患者さんは一気にベンゾジアゼピンを中止してもダメージは大きくはないですから、時間とい

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