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土鍋で炊いたら峠の“どなめし”

ことしの秋はカレンダー上では終わりが近づいているというのに、夏日が続いたり。かと思うとそれから半月ほどで真冬のような寒さになったりと、なんだか秋の行楽シーズンという言葉が空回りしていたような気がします。

なんとなく感じてるんですけど、年々春と秋の気持ちいい季節が短くなってるような…。1年のほとんどが、暑いか寒いかどちらかに偏ってしまっていて、爽やかな気候を堪能できる期間が減ってますよね。


🍚人気の駅弁食べてみた

とはいえ、暑かれ寒かれ、個人的な趣味というか習慣というか、休日のお散歩は続けてまして、そんな中で思わぬ人気メニューを食べる機会がありました。

これ。この容れ物を見ただけでピンとくる人も多いでしょう。そう、峠の釜めしです。ネットはもちろん、テレビや雑誌でも駅弁やご当地グルメ系の特集の常連。そんなひと品が食べられるアンテナショップを見つけたんです。

実はまだ食べたことがなかったので、これはチャンスと、さっそくいただいてきました。うん、具だくさんでなかなかの満足感。人気にもうなずける、ひと品でした。ちなみに夜は居酒屋的になるみたいで、この釜めしのトッピングだけを、おつまみとしてオーダーできるというところには、おおいに魅力を感じました。

🍚再現の設計図

というわけで満足しての帰り道。こういうとき頭に浮かぶのは、いつもおなじ。そう、アレンジしつつ再現したいという思い。

まず、ラインナップを設計図にしてみます。

ほんとに具だくさんですね。

あらためてメーカーさんの公式サイトを見てみると、具材へのこだわりを丁寧にひと品ずつ紹介されてました。これはありがたい。こちらでじっくり再確認。よし、いけそうだ。ハードルになるのはおそらく、次の3点くらい。

  1. 具だくさんなので手間がかかる。残りそう

  2. 杏ってシウマイ弁当のときも見つからなかった

  3. 釜めしの釜がない

まず手間に関しては、トッピングの種類の多さから
、つくろうと思った時点でわかってたことなので気にしません。煮物やきんぴらが、ひと釜ぶんだけつくれるわけもなく、残るのは織り込み済み。むしろ作り置きおかずができてありがたいかも。

そして杏。あのシウマイ弁当にも入ってますよね。お弁当界では定番なんでしょうか。

ただ、このシウマイ弁当再現のとき、かなり探したんですが、スーパーや輸入食材店をめぐっても、結局見つけられなかったんですよね。そもそも煮物やきんぴらと違って、残ったときにも持て余しそうだし…。というわけで、今回は豪快にパスします。

さて、これで具にからむハードルはクリア。残るお釜の問題はちょっとした考えもあるので、いったん置いて、具を準備してしまいます。

🍚アレンジ再現してみよう

ラインナップはこうなりました。杏は代役もなしですが、うん、これでも十分すぎるくらいに具だくさん、豪華です。

🔴しょうがの梅和え

まずは具の中でも渋めの脇役から。しょうがは千切り、梅干しは種を取ってたたきます。

🔴材料
・しょうが
・梅干し
・酢
・みりん

あとはお酢とみりんで和えるだけ。しばらく漬けておきます。

🔪きんぴらごぼう

お酢を入れた水を用意して、ささがきにしたごぼうを浸けてあく抜きします。

🔪材料
・ごぼう
・ごま油
・鷹の爪
・醤油
・みりん
・酒
・砂糖

鷹の爪を小口切りにしてごま油で炒めて、香りが出てきたら、水気をしっかりしぼったごぼうを投入。

しんなりしてきたら、醤油、みりん、砂糖、酒を入れます。

よくからめて、水分が半量を切るくらいまで煮詰めて、冷ましておきます。

🍗鶏肉と椎茸

煮物的なおかずは、このほかにたけのこも入ってますが、ここはまず鶏肉と干し椎茸。

🍗材料
・鶏もも
・干し椎茸(軸は取り置いておく)
・干し椎茸の戻し汁
・水
・醤油
・みりん
・砂糖

干し椎茸の戻し汁を使って、甘辛いしっかりめの味付けで煮含めます。

🫛彩りはスナップえんどう

彩りに飾られているグリーンピースは、水煮缶とかを買ってしまうとはてしなく余るので、スナップえんどうで代用します。さっと茹でて、冷めたらさやを開いて、なるべく大粒な子がいますように、と祈りながら実を取り出しました。

さあ、具は揃ったも同然。

🍲ごはんとたけのこ

そしてここで、お釜問題の最終解決案を提示します。そう、これからの季節の我が家のスーパーヒーロー、1人サイズの土鍋。これで炊くことにします。

出汁になるのは昆布と煮物のときに取り置いておいた、干ししいたけの軸、そしてもちろん具にもなるたけのこ。

🍚材料
・お米…1カップ
・水…2カップ
・昆布…1枚
・干し椎茸の軸…2個
・たけのこ…適量
・醤油…大さじ1
・みりん…大さじ1

お米を洗ったら昆布と干し椎茸の軸と一緒に30分ほど水に浸けて、たけのこと調味料を合わせます。

土鍋ごと強火にかけます。

沸いてきたら中弱火に落として、蓋をしてそのままことこと。

🍚ごはんが炊けたよ

10分ほどたったらこのとおり。

火からおろし、昆布、椎茸の軸、たけのこを取り出します。

底から返すように混ぜます。このあと、蒸らしの工程にはいるのですが、その前に。

🍚完成まであとひと息

ここで具の配置第1段階。本家の配置を思い浮かべつつ、自筆の設計図も再確認。煮物系をひととおり並べます。

そして今一度、蓋カモーン。ごはんを柔らかくふっくら落ち着かせるこの工程で、作っておいたトッピングも温め直すナイスアイディア。しっかり蓋をして15分ほど蒸らします。

そして蓋をパカッ。立ち上る湯気の中、持ち場についてスタンバイした煮物ときんぴらが、完成間近を訴えかけてきます。

🍚峠を超えてどなめしできた

あらためて設計図を確認して、たけのこの上にしょうが。

真ん中に栗とうずら、そしてスナップえんどうの実をちょんちょん。

できました。これが峠の釜めしリスペクトバージョン、でも釜じゃなくて土鍋で炊いたので…“どなめし”です。

釜もなく、峠も関係ないとはいえ、ここは今回のアレンジ再現の発想のもとになった峠の釜めしさんに敬意を表してあえて“峠のどなめし”と呼ばせてほしいです。

どこに峠があるのよ、と訊かれたら、こう答えます。

釜めしを炊くのに釜がない、という厳しい峠を乗り越えて生まれたのが、この“どなめし”なのです、と。

あつあつを土鍋のままいただくのもいいのですが、お茶碗に取り分けた姿も美しい。

1杯分だけよそっても、トッピングは、その縮小された面積に全部載せ。なんだか、峠の釜めしのミニチュアみたいです。

冷え込みのどんどん強まる、これからの季節。土鍋の蓋を取った瞬間立ちのぼる湯気と香りが、絶対間違いない冬のごちそうがここにあることを教えてくれます。

炊きたてほかほか、峠を乗り越えた“どなめし”この冬、1杯いかがでしょう。

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