「それぞれのおうちごはん」第1話~ポテトサラダが食べたいけれど
「ねえ、ポテトサラダ作ってよ」
彼のなにげない言葉を聞いて、わたしはちょっといらだった。
「やだ」
「どうして」
「わたしがさあ、糖質制限してるの知ってるでしょ」
そういうと、彼はわたしのベッドに寝ころんだまま、怪訝な顔になる。
「え? だってサラダだよ」
そうなのだ。彼は食べる専門。料理にはまったく興味がない。だから、じゃがいもは野菜だけど穀物で、糖質が高いということに気付いていない。
彼がこの部屋に来るようになって、三年余りたつけれど、料理を作るのはいつもわたしの役