心躍る春の支出
世間では、生活環境や季節の変化で物入りな年度初め。
環境の変化などない私も、世間と足並みを揃えるように予定外の出費をし、数字とにらめっこをする毎日を最近は過ごしている。
ここ数ヶ月は衣類も購入していなければ、旅行といえる程の遠出もしていない。コンビニスイーツもぐっと我慢をし、これといった贅沢はしていないつもりだ。
こんな生活を継続出来ればお金も貯まっていきそうなものだが現実はその逆で、大変厳しい経済状況に身を置いている。
温かく快適な冬の住環境と引き換えに高額な光熱費を支払い、そんな私に追い打ちをかけるようにガソリン代は上がり続ける。
贅沢などしていられない状況故の節約生活真っ最中にあって、後先考える事なく財布の紐が緩む瞬間が春には起こる。
一年草が役目を終え、スカスカになった我が家の花壇。
【隣の芝生は青い】の類語に【隣の花は赤い】ということわざがある事を今日始めて知ったのだが、比喩でもなんでもなくよく手入れされた近隣の花壇は赤い、青い、黄色い。
宿根草(多年草)が今後の開花を控えているし、毎年あちこちから出てくるフリージア(水仙だと思っていた)も咲いてはいるのだが、好みの花で花壇を飾りたい欲が最高潮に達した時、【節約】の言葉を頭の片隅に追いやってホームセンターへ向かった。
今、何かに疲れたり、元気をなくしてしまっている人は花売り場へ行くことをオススメする。
植物の活力を目一杯感じられるのが春の花売り場だと思う。
沢山の植物に囲まれながら目を閉じると、自分がターシャ・テューダーにでもなった気分に浸れるかもしれない。
3件のホームセンターを回って花苗から元気をもらった私は、たったの一つも買わずにその日は帰ることにした。けっして私の理性が衝動に勝ったわけではない。私の興味を引く背丈の大きい花が見つからなかっただけの話だ。
コンビニスイーツは我慢出来ても、湧き上がる好奇心を抑えつける事はなかなかに難しい。昨年植えたお気に入りの花の名と購入場所を思い出した私は、翌週いそいそと隣町のホームセンターまで出掛けていって、その花を色違いで購入した。(色違いに弱い。なんでも色ち買いをしがちだ。)
まだ購入したばかりの、まだ植えてもいない蕾もない苗カゴの苗には、私の中では既に花が咲いていた。
私が苗を買った時点で、私はこの花が咲いた世界を既に手にしているのと同じなのである。
この状況において2千円の出費は正直痛手だが、心を豊かにしてくれる支出がある事に小さな幸せを感じながら楽しむ春。
(花を植え足した事で水道代が上がる懸念はこの時の私の頭にはないのであった)