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ち あ き
2024年2月14日 06:02
エメラルドの瞳、白い肌、栗色にカールのかかった髪。ひとりの青年と、すれ違いました。パリの街は曇り空。風はなく、穏やかで過ごしやすい気候です。カフェのテラス席では人々が、おしゃべりと軽食を楽しんでいるそんな午後のことでした。青年は細いフレームの丸眼鏡をかけ白シャツに黒のニット、それからネイビーのオーバーコートを重ねています。個性のあるお店が立ち並ぶ鮮やかな通りで、
2024年2月4日 18:19
深い瑠璃色の空に一、二粒の星が音もなく点る如月の早朝。私は、パジャマにあたたかい上着を羽織ってひとり、キッチンに立ちます。それから携帯電話を片隅に置き、液晶の上の再生ボタンを押して昨晩の続きをリクエストします。ナレーターの方の声がシンとしていた空気の中に、しっとり響きゆくのを聞きながら私は、朝食の支度にとりかかります。流れるのは川端康成作「伊豆の踊子」。ナレー