東野 咲

紡ぎ手。音楽と本に救われた人生。

東野 咲

紡ぎ手。音楽と本に救われた人生。

記事一覧

"本を読む"ということ

僕は本と、本屋さんが好きだ。 昔から紙の本にこだわって読んでいることもあって、電子を利用したことなんて片手で数えるくらいしかない。 アナログ人間というよりも、こだ…

東野 咲
1年前

"偉い"だの、"立場が下"だの。

「お客様は神様だ」という、ひどく個人的な信念のもと、こちらの融通の度を越えたサービスを求めてくる人を、書店のアルバイト時代に何人も見た。 中には、「お前らのバイ…

東野 咲
2年前
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決意の夜に

ドロドロでぐちゃぐちゃで、尖りまくってて刺さりまくってて、それなのにどこか暖かい。 あの人が、あの人が紡ぐ言葉が大好きなんだ、と思う。 きっとあの文章が自分の理…

東野 咲
3年前

少年のままのキミで

いつもと同じ風景。でも昨日までとは『なにか』が違う。 でも、その『なにか』がわからない。その違和感に僕は首を傾げる。 あらためて、よく目を凝らして周りを見る。す…

東野 咲
3年前

「自分らしく」なるために。

学生の頃、「そういう子どもっぽい考えは社会では通用しないぞ」と言われたことがある。その言葉の意味を僕は何度も咀嚼した。しかし、ついぞ今の今まで飲み込めてはいない…

東野 咲
3年前
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"本を読む"ということ

僕は本と、本屋さんが好きだ。
昔から紙の本にこだわって読んでいることもあって、電子を利用したことなんて片手で数えるくらいしかない。
アナログ人間というよりも、こだわりが強いだけだろうなあ、なんて考えてはいるけれど、紙の本を読み終わった後につく読み跡、紙とインクの匂い、目だけでなく、手で触れて感じる紙の本の質感に魅せられているのは確かだ。

とはいえ、最近は電子書籍のシェア率があがり、紙の本を買う人

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"偉い"だの、"立場が下"だの。

「お客様は神様だ」という、ひどく個人的な信念のもと、こちらの融通の度を越えたサービスを求めてくる人を、書店のアルバイト時代に何人も見た。

中には、「お前らのバイト代は俺のこの金から払われてるんだぞ!」と、実際に言われたこともある。

それに対してこちら側は、申し訳ございませんでした、とただ謝るのみ。"お客様"に対して、えらく立場が下だなあ、なんて漠然と頭を下げながら思っていた。

それでも、僕が

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決意の夜に

ドロドロでぐちゃぐちゃで、尖りまくってて刺さりまくってて、それなのにどこか暖かい。
あの人が、あの人が紡ぐ言葉が大好きなんだ、と思う。

きっとあの文章が自分の理想。
澄んでいて、とても綺麗で、柔らかい。なのに温かさと冷たさをはらんだ、真っ直ぐな武器。

自分は弱い、それを自覚してなおも藻掻く。
今も足掻き続けている1人のただの人間。

辛さ、痛みを知らない人には刺さらない。でも、知ってる人には嫌

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少年のままのキミで

いつもと同じ風景。でも昨日までとは『なにか』が違う。

でも、その『なにか』がわからない。その違和感に僕は首を傾げる。

あらためて、よく目を凝らして周りを見る。すると一つの変化に気付いた。

昨日までいたはずの少年がいないのだ。部屋の人数を数えると、たしかに昨日まで6人いたのが5人になっている。冷静になってみると、なぜこんな大きな変化に気付いていなかったのか、不思議でたまらない。

僕は隣の席の

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「自分らしく」なるために。

「自分らしく」なるために。

学生の頃、「そういう子どもっぽい考えは社会では通用しないぞ」と言われたことがある。その言葉の意味を僕は何度も咀嚼した。しかし、ついぞ今の今まで飲み込めてはいない。

この世界、というと大げさだが、「新人らしく」だの「若者らしい」だのと曖昧な言葉が多すぎる。そのくせ、言った本人はその言葉を自身では咀嚼せずにただ「常識」として強要してくる。

おおかた「自分も若い頃に同じことを言われたから」と相手を思

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