東野 咲

紡ぎ手。音楽と本に救われた人生。

東野 咲

紡ぎ手。音楽と本に救われた人生。

最近の記事

"本を読む"ということ

僕は本と、本屋さんが好きだ。 昔から紙の本にこだわって読んでいることもあって、電子を利用したことなんて片手で数えるくらいしかない。 アナログ人間というよりも、こだわりが強いだけだろうなあ、なんて考えてはいるけれど、紙の本を読み終わった後につく読み跡、紙とインクの匂い、目だけでなく、手で触れて感じる紙の本の質感に魅せられているのは確かだ。 とはいえ、最近は電子書籍のシェア率があがり、紙の本を買う人が減った、という側面もあって、「若い人は電子を選び、一定以上の年齢の方は紙を選ぶ

    • "偉い"だの、"立場が下"だの。

      「お客様は神様だ」という、ひどく個人的な信念のもと、こちらの融通の度を越えたサービスを求めてくる人を、書店のアルバイト時代に何人も見た。 中には、「お前らのバイト代は俺のこの金から払われてるんだぞ!」と、実際に言われたこともある。 それに対してこちら側は、申し訳ございませんでした、とただ謝るのみ。"お客様"に対して、えらく立場が下だなあ、なんて漠然と頭を下げながら思っていた。 それでも、僕が働いていた某大手チェーン書店の社員さんたちは、決して版元の営業の方に対して横柄な

      • 決意の夜に

        ドロドロでぐちゃぐちゃで、尖りまくってて刺さりまくってて、それなのにどこか暖かい。 あの人が、あの人が紡ぐ言葉が大好きなんだ、と思う。 きっとあの文章が自分の理想。 澄んでいて、とても綺麗で、柔らかい。なのに温かさと冷たさをはらんだ、真っ直ぐな武器。 自分は弱い、それを自覚してなおも藻掻く。 今も足掻き続けている1人のただの人間。 辛さ、痛みを知らない人には刺さらない。でも、知ってる人には嫌というほど刺さる。 致命傷になるほど刺さった自分は、嫌なことを思い出しつつも痛み

        • 少年のままのキミで

          いつもと同じ風景。でも昨日までとは『なにか』が違う。 でも、その『なにか』がわからない。その違和感に僕は首を傾げる。 あらためて、よく目を凝らして周りを見る。すると一つの変化に気付いた。 昨日までいたはずの少年がいないのだ。部屋の人数を数えると、たしかに昨日まで6人いたのが5人になっている。冷静になってみると、なぜこんな大きな変化に気付いていなかったのか、不思議でたまらない。 僕は隣の席の少年に声をかけた。その少年もこの違和感の正体に気付いているようで、お互いに顔を見

        "本を読む"ということ

          「自分らしく」なるために。

          学生の頃、「そういう子どもっぽい考えは社会では通用しないぞ」と言われたことがある。その言葉の意味を僕は何度も咀嚼した。しかし、ついぞ今の今まで飲み込めてはいない。 この世界、というと大げさだが、「新人らしく」だの「若者らしい」だのと曖昧な言葉が多すぎる。そのくせ、言った本人はその言葉を自身では咀嚼せずにただ「常識」として強要してくる。 おおかた「自分も若い頃に同じことを言われたから」と相手を思って言っているのだろう。そこに悪意はない。し、社会人としてどう振舞えばいいのかわ

          「自分らしく」なるために。