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幸福論

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幸せになるために生まれてきたのではなく、美しく生きるために生まれてきた私たちの、だからこそ目指すべき幸福のために書いていきます。不定期。
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記事一覧

6/25 かいじゅうの冷凍庫

6/25 かいじゅうの冷凍庫

世界のどこかに今、ある、あるワン・シーンに向けて僕は祈る、発光するように眼をとじる、君の繕うあらゆる拒絶を凌駕するほどきみとの間をあらかじめ満たしておこう、どこを掬っても愛しかないさ。安心して。安心して。たったひとつだよ。僕は錯乱していない。何にも騙されていないさ。この世界を調べ尽くしたってそよ風にさえ傷つくほど冴え渡って君をほんとうにすきだと言える。愛には段階があるんだ。どこかの誰かがとっくの昔

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5/19 偽悪たち 

5/19 偽悪たち 

日記(2024.5.19)

今日はさみしい天気です
きみは深く眠って、あるいは眠れなかったりして
ぼくは知らぬ間になにもかもを指の隙間からこぼしてしまい
すべてを失った後からそれを振り返り微笑むきみの作法をまさか正しいなんて思ったりする、まだ死んでいないのに
どんな装丁にしますか?と問われて、好きな絵もすきな色も好きな字体もあんなに鮮明なわたしが口籠る。なにが好きか聞かれる瞬間に逃げてしまう天使

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5/8 Resistance & The Blessing

5/8 Resistance & The Blessing

 今日はおかしな天気で、祝福されているのか叱られているのか解りませんね。どちらもそう変わりないことなのかもしれないと、今は思います。あるのは視座だけで、わたしの役目はわたしの視座そのものなのでしょう。あの星座がわたしたちのいるこの惑星の位置から見てようやくあの星座になるように、わたしの視座であなたがあなたの輪郭の光になる。だからわたしがあなたを光だと言うとき、誰から見てもそうってわけではないのだか

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僕の文章は常に僕が未熟であるという一点を避けて綴られている

僕の文章は常に僕が未熟であるという一点を避けて綴られている

日記(2022.4.11)

欲しいものが一つもないのにつまらなそうな顔をしている自分に気がついたとき、本当はなにか欲しいものがあるんじゃないか?と訪ねてみる。
 応答はない。なにもいらないよ。と言い切る。だけどその目って君の、すっごく生きてるって感じのときとぜんぜん違うじゃないか。慣れているはずなのに、鏡に写った自分と会話するのは未だ難しい。こいついみわかんない。目をそらすのも終えるのも眼球の位

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私は100年生きるのだから

私は100年生きるのだから


今、私のインタビューが少しバズっている。
(と、書いている間にあまり跳ねないまま忘れられているかもしれないけれど)

宗教3世とか、毒親とか、そんな感じの生い立ちを語る内容だけれど、正直そんなことはどうでもいい。
近しい境遇の人がいたらその人に届くといいなと思うし、想像すらしたことない人が読んで他者への想像の一助になればいいなと思うけれど、そんなことは実際、今の私の人生の本題ではない。

無邪気

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親友みたいになろう

※Instagramに投稿した文章の完全版です

2022年もお世話になりました!

昨年末にアダルト女優業の引退を表明してから、みなさんとの思い出づくりに明け暮れた一年でした。

1月から12ヶ月連続刊行ZINEシリーズを始めたり、FALENOさんから毎月新作を出すたびに店舗さんでサイン会を行ったり、これまでで一番頻繁にオフ会を開催したりもしました。
引退を決めたからこそ自分のやりたいことをぎゅ

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わたしの身体は一枚の皮膚でつながっている

わたしの身体は一枚の皮膚でつながっている

8月の末に、「神画(こうが)」という写真集を出版しました。かみさまの画と書いて、神画。わたしの最後のヌード写真集であり、自らが書いた著書と同じ感覚で手渡す事のできる、初めての写真集となりました。現在は9月18日まで、新宿御苑前のPlace Mというギャラリーで写真展を行っています。

写真展では、出版時にどうしても載せたいのに載せられなかった写真を中心に、多数展示しています。
その理由は[アンダー

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2022年の8月31日

2022年の8月31日

日付はただの数字。
季節は途方もない昔からずっと巡り続けているもの。
今が世界の終わりじゃないし、日付が変わる瞬間に決定的な何かが変わることは無い。やり損ねた夏の課題はそのまま君の人生になだらかに続くもので、少しずつ駒を進めればいいし、花火もプールも夏祭りも行く友達も恋人もいなかったとか全部どうでも良くなった大人の頃に逆に余裕であたらしく青春をはじめるのだ。
人生は長い。その長さをわすれて今この手

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写真集『神画』が8月29日に発売します。

写真集『神画』が8月29日に発売します。

「神様になるための旅をしようかな。」

 初監督した映画の上映が一息ついたとき、帰りの車の中で、街の灯りを見ながら思いました。
 ちょうど、AV女優の戸田真琴として肌を晒して活動するのも、来年の1月で終わりにすると決めていました。丸6年以上の間、私は主に男性の性的好奇心をそそるための作品に出続け、ほんとうに様々な言葉を聞きました。その中には、私のことをすでに穢れているという前提で発せられる言葉もあ

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賛歌/上映最終日の夜に

賛歌/上映最終日の夜に

2019年に監督した、『永遠が通り過ぎていく』という映画が、昨日まで吉祥寺の映画館でかかっていた。3週間。もともと仕事が入っていた日以外は毎日劇場に行って、ゲストを招いて、話した。そのあと物販を買った人にサインをして、ひとりひとりと更に話した。人と出会って対話をすることは、自分の銀河とは別の銀河を覗き込む行為だから、ずっと脳がチカチカした。みんなぜんぜん違うんだ。しかも、それがそれぞれすごくよくて

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映画『永遠が通り過ぎていく』に寄せて

映画『永遠が通り過ぎていく』に寄せて

あらゆる再生への道のりは構造が似ている。
小さな破壊を繰り返し、プロセスなら幾度となく知っていた。たとえこれが命の質を変えてしまうような悲しみでも、目だけは見えている。空気を読まずにラメ入りの、この糸を正しく辿りさえすれば、たった一瞬、叶うことがある。
それは億千光年の片想いが一度だけ、届いたような朝だった。
 
君の目は黒く、君以外のすべては最悪で眩しい。あと何度傷付いたら神様の気持ちがわかるの

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私のエピソード・ゼロが終わった──映画『永遠が通り過ぎていく』監督・戸田真琴と振り返る3年間

私のエピソード・ゼロが終わった──映画『永遠が通り過ぎていく』監督・戸田真琴と振り返る3年間

2022年4月1日より、映画『永遠が通り過ぎていく』が、東京・アップリンク吉祥寺のほか全国の劇場でロードショーされます。上映を前に振り返る、制作スタートからの約3年間。幾度も編集が施されてきたのは、作品だけではありませんでした。監督を務めた戸田真琴も、一時は自信をうしない、また再生しつつある心で、次なる光を手にしつつあります。

「これまでが、私のエピソード・ゼロでした」──“戸田真琴”の変化を今

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あと1年でAV女優を引退します。

あと1年でAV女優を引退します。

タイトルの通り、本日発売の「FLASH」にて掲載のグラビア内にて、AVメーカー「FALENO」への移籍と、1年後にAV女優としての活動を引退する旨を発表させていただきました。

先月、デビューから丸5年以上お世話になった元いたメーカーの専属を卒業するという発表があってから、メーカーを移籍することはお察しの方も多かったと思いますが、これから丸1年間、FALENOの専属として月に1本のペースで作品を1

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ブランニューオペレッタ

ブランニューオペレッタ

「Cape jasmine」10/7 18:30-の公演を観劇しました。iphoneのメモからそのまま忘れないうちに張り付けてここに置いておきます。



  声を出して笑わないよう注意することにも慣れた日々の中で「むふっ」と変な声が漏れるほど笑い、キャストひとりひとりの存在の破壊的面白可愛さに幸福を貰い、あんなに楽しかったのに気付いたら泣いていて、終演後もずっとラストのシーンの地続きに続く暗く

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