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お父さんが白血病になりました。〜ある家族看護の記録

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13歳と10歳の子どもたちを残して、お父さんが急性骨髄性白血病で入院しました。親族の僕が、家族看護に入っての記録集。
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2019年9月の記事一覧

どこ行ったのかなーー保険証

どこ行ったのかなーー保険証

カーテンのカビ事件とPTAの下校パトロール、登校時の横断誘導、あと7-8件のものごとが、どさーーーっと降ってきた翌週と翌々週の今日。

お姉ちゃんと弟君の保険証の、新旧さしかえ準備をしていて……

あれ? 僕の保険証、ないぞ?

梅雨のころに、パパさんの保険証をどさくさでどこかへやって、
再発行してもらったな。

今度は僕か?

…まいった。まいったなあ……

泣きそう。

夏空クジラ ーー夏休みの思い出からーー

夏空クジラ ーー夏休みの思い出からーー

「理科と社会の夏休みの宿題は、早めにな~」
と、さんざん言っておいたが、一向に動きの見えなかった8月第一週。
僕らの世代には当然あると思っていた、「夏休みの計画」を書くフォーマットは、お姉ちゃんの中学と弟くんの小学校であたかも配られなかったかのように、彼らから僕への報告・連絡・相談は無音だった。

報告・連絡・相談がこないとき。
それは「仕事うまくまわってないぞー」というサインである。

そんな日

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家庭科の宿題――夏休みの思い出から――

家庭科の宿題――夏休みの思い出から――

お盆頃の事だったな。

「茄子、買っていい?」

中2のお姉ちゃんが、僕に急に訊ねた。

「いいよ」

お姉ちゃんのごはん作り。
家庭科の宿題。
献立を立て、献立表に材料を書き、買い物と調理と食事をした感想を書いて提出。

なぜか、お姉ちゃんのつくるごはんは

「茶色い、盛りつけ好きそうに見えない、めんどくせー感そこはかとなく漂い気味」

…なのだ。

折り紙や彩色や木工品は緻密で華麗なものを作れ

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学校行ってほしいのは、ほぼこっちの都合。

学校行ってほしいのは、ほぼこっちの都合。

昨日の夜、弟くんが

「学校行きたくない」

と言い出した。

今かよ!8月26日の始業式前後はそういうそぶり、なかったのによー。

実は、中2のお姉ちゃんの方が、内申点を高校受験向きにするには作文と面接で小細工をしなきゃまずそうな欠席数をダンクシュートなみにたたき出し続けてて、一学期皆勤だった弟くんの方は、学校は楽しいのだろうと思いこんでいたんだ。

今日の僕の「学校行ってほしいなあ」は、ほぼ大

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自由研究ーー夏休みの思い出からーー

自由研究ーー夏休みの思い出からーー

今日は、弟くんの自由研究の記録を。

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記憶というのは、アウトプットして「記録」に変えておかないと、すぐに事実からねじ曲がって、はるか遠くへ行ってしまう。
そもそも、脳の記憶のしくみが「物語記憶」であって、事実を体感覚からインプットして、解釈や価値観やそれに伴う感情をつけて保存し、いくたびか咀嚼する中で付帯解釈・価値観・感情を塗り替えていく有機システムだからだ。

--芥川の『藪の中』は

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