【レビュー】『変化と継続の激突』~第7節ファジアーノ岡山VSいわきFC~

試合結果

2023 J2 第7節
4/2 14:03K.O. @シティライトスタジアム
岡山(1-1)いわき
10分 宮本英治
90+4分 櫻川ソロモン

スタメン

マッチレポート

変化と継続の対決は岡山が土壇場で追いついてドロー決着

前節から変化を加えた岡山と積み重ねてきたものを継続するいわきの一戦は、1-1の引き分けに終わった。

3試合ぶりの勝利を目指す岡山は、前節から先発6選手を入れ替え、システムを[4-4-2]から[3-4-3]に変更。ボールを中心に人数を掛けて守備を行う相手に対し、幅を取るWBの本山と高木を起点にしつつ、今季初出場のGK堀田も含めて後方から前線の櫻川へロングボールを送りながら縦に早く攻めた。

対するいわきはボールホルダーを囲い込むこと、こぼれ球を回収することを徹底して主導権を握り、10分に先制する。自陣左サイドでボールを奪うと、勢いよくゴールに向かっていく。永井が左サイドから切れ込んでゴール前にパスを送り、谷村が落として宮本がシュートを流し込んだ。

3試合連続で先制を許した岡山は、いわきの圧力を受け止めながら反発していく。ヨルディ・バイスが左右にロングボールを蹴り分ける中、左サイドから高木が推進力を発揮し、佐野が好機を演出する。42分には佐野のスルーパスに抜け出した櫻川がGKと1対1を迎えるも、シュートはポストに当たった。

後半は追い掛ける岡山が積極的に選手交代を行う。61分に河井と田中を投入し、71分には木村とルカオを加えてシステムを[3-5-2]に変更した。前線にターゲットを並べ、両サイドからクロスを放り込み、セットプレーを獲得しながら相手を押し込んでいく。76分に木村、77分にも佐野がミドルシュートを放ったが、ゴール前を固める相手のブロックに遭う。80分には途中出場の高橋が上げたクロスに田中が飛び込むも、GKに防がれた。

試合は攻め込む岡山と耐えるいわきの構図のまま終盤に突入する。岡山の得点を願うサポーターが大声援での後押しを続ける中、90分+2分に右サイドを突破した木村が倒されてPKを獲得。これを櫻川が冷静に決めて、土壇場で同点に追いついた。

岡山は選手起用、システム、戦い方に手を加えて難局を乗り越えようともがいている。3試合未勝利の現状を打破するには、自分たちを信じてやり続けていくしかない。いわきは押し込まれた中でも勝点3を取れるしぶといチームを目指して次節に向かっていく。

コラム

チームの窮地を救うPK獲得。右サイドを突き進んだ木村太哉の強い想い

岡山が1点ビハインドで迎えた90分+2分、右サイドを縦に突破した木村がPA右で相手選手に倒された。PKを示す主審の笛がスタジアムに鳴り響く。背番号19は雄叫びを上げながら力強いガッツポーズを見せ、盛り上がるバックスタンドをさらに両手で煽った。

木村は第2節から第5節まで先発に名を連ねた。しかし、佐野がU-20代表から戻ってきた直近の2試合ではベンチスタートが続いた。第3節の水戸戦ではヘディングシュートで今季初得点を決め、ドリブル突破とハードワークという持ち味を発揮していただけに先発から外れることへの悔しさを募らせていたのだろう。全体練習後もグラウンドに残ってボールを蹴る木村の姿があった。

だからこそ、71分から木山監督に送り出されて右サイドに入ると、ゴールに向かうことだけを考えた。両手を大きく広げてボールを要求し、果敢に縦への突破を狙っていく。そしてPK獲得のシーンは相手が2人掛かりで対応してくる中で強気に縦に突き進み、身体を相手の前にグイっと入れて中に切れ込む力強さが光った。

チームのために、自分のために結果を残す。木村の強い想いが土壇場でのPK獲得を生み出し、チームの窮地を救った。



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