【レビュー】『悔しさ滲む今季初の逆転負け』~第20節ファジアーノ岡山VS東京ヴェルディ~

試合結果

2023 J2 第20節
6/12 19:03K.O. @シティライトスタジアム
岡山(1-2)東京V
53分 仙波大志
65分 齋藤功佑
90+7分 山越康平

スタメン

マッチレポート

両者の堅い守備で拮抗した一戦。セットプレー2発を沈めた東京Vが逆転勝利

互いに球際を激しく戦った90分だった。ファウルで試合が止まるシーンも多く、両者が判定に異議を示す場面も散見された。集中を保つのが難しい状況の中で、最終的には数的優位を生かした東京Vが逆転で試合を制した。

前半は両チームの粘り強い守備が光った。まずは東京Vがバスケス・バイロンと加藤蓮のサイド突破からゴール前に入っていく。7分、バイロンのクロスを加藤蓮が合わせたが、枠を外れた。26分にはゴール前でこぼれ球に反応した山田が右足を振り抜くも、身体を投げ出した柳のブロックに遭った。岡山は最前線のルカオを起点にセットプレーを獲得するも、タイトに寄せられてなかなかシュートを打つことができない。U-20W杯から帰還した佐野が左サイドを突破して蹴り込んだクロスは相手CBに跳ね返された。37分にはCKからルカオが放ったシュートがGKの正面に飛んだ。前半は互いに譲らずにスコアレスで折り返す。

後半も両チームのゴール前で見応えのある攻防が展開される中、試合を動かしたのは岡山だった。57分、敵陣の低い位置でボールをキープしたルカオが右サイドに展開すると、河野が中央に切れ込んでから左足でゴール前に鋭いパスを打ち込む。これが相手ブロックを切り裂くようにして仙波大志に届くと、背番号44は冷静にネットを揺らした。

先制を許した東京Vは62分に齋藤と北島を投入すると、その3分後のCKだった。森田が素早く始めると、深澤のクロスをバイロンが折り返して最後は齋藤が押し込んだ。岡山の準備が整う前にプレーを再開し、虚を突く形で同点に追いついた。

試合はオープンな展開になっていく。68分はバイロンがPA右で左足を強振したが、GK堀田が力強く弾いた。71分には途中出場のチアゴ・アウベスが右サイドから抜け出して強烈なシュートを放つも、GKマテウスが止めた。互いにチャンスを作る中で、78分に冷静さを欠いたアウベスが2度目の警告を受けて退場。岡山が10人になったことで拮抗した展開が破れた。数的優位の東京Vが幅を使って起点を作り、サイドの深い位置に抜け出す動きを繰り出して押し込む。そして90+7分の左FK、北島のボールに山越がニアで合わせた。これが決勝点となり、東京Vが3試合ぶりの勝利を飾った。一方の岡山はセットプレーで2失点を許し、今季初の逆転負けは後味の悪いものとなった。

コラム

判定が不安定でも、見つめ直すべきは自分自身

ピッチで戦う選手、ベンチで戦況を見つめる監督、スタンドから声援を送るサポーターが審判の判定に異議を唱える場面が多かった。特に試合終了後に控室へ戻るレフェリーに対して、ブーイングの嵐が起こったのは異様な光景だった。普段は温厚なCスタが殺伐とした空気に包まれたことからも、今節におけるジャッジの不安定さがあったことは否めない。

ただ、敗因はそれではない。もちろん選手のメンタルも含めて影響がゼロだったとは言わないが、セットプレーからの2失点が逆転負けという結果を引き起こした。

特に1失点目は反省が必要だ。65分、田中がクロスをクリアしてCKになる。相手キッカーがすぐにボールをセットする中、岡山はボールから目をそらしている選手がいて陣形を整えるのが遅れた。そして相手のリスタートに対して後手に回り、ゴール前で選手の足が止まってしまい、跳ね返すことができず。この試合で初めてのCKの守備だったからこそ、相手の出方を確認する意味でも隙を見せてはいけなかった。リードしていたにもかかわらず、非常にもったいない失点となった。

試合を通して互角以上に渡り合い、リーグで2番目に失点の少ない東京Vを相手に先制する力強さを示した。それでも、勝ち切れなかったのは、足りない部分があるということ。悔しい逆転負けだったが、まだまだ成長する必要があると痛感させられた試合でもあった。

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