短編小説/水たまり行きの切符
雨が降りそうな気配がする。空気が湿ってきた。当たり前か、梅雨の季節だ。道端には、紫陽花が密やかに咲く。時折アガパンサスがにょきり、顔を覗かせる。まさに梅雨の景色だ。
天気予報はやっぱり雨。どうやら今日の雨はしとしと、降るらしい。梅雨は不思議な時期だと思う。涼やかな雨が降りしきっていたと思ったら暑い暑い晴れ間が除く。雨の日はまるで晴れの日なんか無いみたいに空が曇るのに。晴れの日は雨の日が嘘みたいに雲が姿を消す。
今日は日曜日だ。私は散歩をしている。通勤時にはうっとうしい雨