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文学フリマ東京38 感想3


『ナビカトリア物語』
 ちしまももこ 様

 ナビカトリアに行ってみたい、あわよくば住みたい!、一言でまずそう言いたいです。

 とても優しい語りで物語が始まり綴られています。敢えて終わりのない物語、すごく惹かれました。区切りのない物語が、流れゆくナビカトリアそのもののようで。島に住んでいる人々の悠久の穏やかさを表しているようで。
 
 小さなエリィと頑固なトーヤの2人がとってもキュートです。女将と下宿人、家族みたいな近いようで遠くもある関係。距離があるようでそばに居る、絶妙な距離感でした。今後2人はどんな風に過ごしていくのだろうか、妄想も止まりません。そのほかにも魅力的な人物がいてもうワクワクです。
 昔話のようなしかし未来の物語にも感じられる。ナビカトリアは時を越えられる、越えて流れる島なのかなと思いました。

 そして装丁の幻想的な紫の色合い、グラデーションが美しい!会場の中、ひときわ輝いていました。
 
 少し離れていたファンタジー作品の素晴らしさ、物語に引き込まれる嬉しい感覚を思い出せました。ほわりとした物語に心があったかになりました。これからもナビカトリアの物語を楽しみにしています。ありがとうございます。

 文学フリマで購入させていただいた作品たち、どれも皆本当に素晴らしいです。まだ何冊か読んでいない作品が残っています。読むのがとても楽しみです。読んだ先にきっと良い出会いがある、そう感じています。

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