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突然失礼しました。あなたがヘッダーに選んでくださった画像の作者( https://note.com/thekingofmouse )です。 みんなのフォトギャラリーからイラストを… もっと読む
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#小説

プロットを書いて、また書いて

プロットを書いて読み、また別に書き出しては読んで訂正し、また書く。 そして徐々に話をまとめていく作業をくり返しています。 プロットとは物語の要約であり、ストーリーのおおまかな流れ 物語の原型でもあります。 編集さんにプロットを提出しているため必要だから書いているわけですが、プロットを募集するコンテストや企画が徐々に増えていることもプロットを書く理由のひとつです。 募集先は様々なので一概にどこで募集してるの?とは言えませんが プロットを各編集部が審査して(企画によっては編集

【短編小説】後から来た人のために

 雨玉ポツリは中堅ジャンルの同人物書きである。  定期的に新規参入者がやってきたり、一時的に別ジャンルで活動していた人が戻ってきたりと、バランス良く人の出入りがある。pixivのランキングを占拠する程の力はないが、オールジャンルのイベントでそれなりにスペースが埋まるくらいの人口だ。  そんなジャンルで物書きをやっている雨玉ポツリだが、そろそろ過去に書いた作品を消そうかと考えた。  技術が拙いのもそうだが、ブクマも評価も平均以下。ブクマに関しては無いものもちらほらとある。  い

彼女たち、わたしたち、あたらしい家族①

1 松村さんはいつも淡いパステルカラーの手編みのセーターを羽織っていて、しゃんと伸びた背筋を庇うようふんわりと纏う姿は、いかにも上品な印象を与えた。 「フランスの毛糸で編んだの」 自作の羽織りを褒められると、いつも必ずそう返答した。 「だからちょっと、いいでしょ?」 ウフフ、と照れながら笑う。90歳を超えても決してだらりと椅子に腰掛けたりせず、遥かに歳下の職員たちにも丁寧に受け応えするので、こちらも妙にしゃんとしてしまう。 そのパステルカラーのセーターも、松村さんが亡くな

松岡圭祐の『小説家になって億を稼ごう』を読んでみた

松岡圭祐の『小説家になって億を稼ごう』を読んでみた。 なんで本書を手に取ったのか、経緯は覚えてない。だけど本書を読んで、とりあえず9月末締切のガガガ大賞に投稿してみようと思った。 本書いわく、小説を書く前にまず「想造」をしなければならないらしい。「想造」を簡単に説明すると、まずはキャラ設定を用意し、そのキャラを頭の中で動かすことでストーリーを作っていくというものだ。肝は、それまでの過程で、ストーリーを文字に一切起こさない点にある。つまり、頭の中だけでストーリーを組み立てる

感想:ヨルガオ殺人事件

いやいや、凄かったです。 『ヨルガオ殺人事件』(アンソニー・ホロヴィッツ)が。 多方面に手を出しているせいで(ボカロとかVtuberとか……)、これまでのメイン趣味だった読書もとんとお留守になってます。SF、ミステリ、ファンタジーなど……本当は万遍なく趣味を網羅したいですが、可処分時間がそれを許しません。将棋やTRPGやアニメや漫画などに手を出すとね。そりゃ動画も倍速で見ようってもんです。さすがに音楽は等速で視聴してますが。 話がそれました。そう、『ヨルガオ殺人事件』の

短編小説の裏話(#11~15)

この企画も無事二度目を迎えることができました。嬉しいです! noteで短編小説を5本書くごとに、その制作裏話を書き残す企画です。 前回(3/24の記事)は6~10本目の5作について語りましたが、今回は最近までに書いた11~15本目までの5作について、関連するエピソードや思い入れなどを記録します。興味が湧いたものがありましたら、ぜひリンクから飛んでお読み頂けると嬉しいです。 *** ところで、noteにはダッシュボードというものがあり、自分が書いた記事のビュー数やスキ数

『時間が無いからできない』じゃなく、『時間が無いからどうやる』と考えるべき。

どうも皆さん、未完(みかん)です。 今日は時間について話していこうと思います。 よろしくお願いします。 皆さん、毎日時間に余裕のある生活を送っていますか? この質問に対して『毎日余裕ありあり』です。 と、答えられる人は多くないと思います。 いかがでしょう? 僕は『時間がないない』と毎日言っている人間の一人です。 何で毎日こんなに忙しいのか? 自分でもよく分かりません。 そのわりに、やりたいことは多くて、もうイヤになっちゃいますよね。 そして同じセリフを繰り返

誰かがこの町で

 弁護士岩田喜久子の事務所の調査を行っている真崎は、岩田の旧友望月良子の娘と名乗る女性の依頼を受け、望月一家の失踪事件を調べることになる。  真崎が望月一家が住んでいた住んでいた美しが丘ニュータウンを訪ねるがどうもニュータウンの住人は何か隠しているようで…  また、このニュータウンでは望月一家の失踪のほか、男児の殺人事件も起きており、いったいこのニュータウンには何があるのか。  失踪事件の謎を追うスピード感がよく最後まで失速することなく一気に読みました。閉鎖的なニュータ

invert ~城塚翡翠倒叙集~②

先日の記事の続きです。 2 泡沫の審判   小学校教師である末崎絵里は、生徒を守るために殺人を犯す。翡翠は、じわじわ末崎を追い詰めていく。どんどん追い詰められていく末崎の気持ちを考えると苦しくなります。ただ、末崎も殺人という犯罪を犯す以外にも子供を守る手段があったのではと思いました。 3 信用ならない目撃者  冷酷に殺人をやり遂げる犯人の雲野泰典。彼に対峙する翡翠は、いつになく後手後手に回ってしまう。果たして翡翠は犯人を追い詰めることができるのか?   ああそうきましたか

invert ~城塚翡翠倒叙集~①

 前作の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』は、いろいろなところで評判がよかったのですが、特殊設定のミステリはどちらかというとあまり好みではなく、霊媒探偵というところがひっかかってずっと読んでいませんでした。 が、読んだらとても面白くなぜ早く読まなかったのか後悔しました。完全な食わず嫌いです。一度読んだらもう一度読みたくなりました。感想を書くのが難しい本です。       ただ、この物語は前作で完結したと思っていてまさか続編がでているとは思っていませんでした。 こち

【エッセイ】「春眠暁を覚えず」の感性がほしい

「春眠暁を覚えず」という言葉が、なんか好きです。 日々のあたりまえも感性次第で美しいものにできる、ということを、この言葉は示してくれている気がするんです。 意味は、「春の夜は短い上に寝心地良く、暁になってもなかなか目が覚めない」(大辞林より) 要するに、「春の朝って眠いよね」ということ。それだけの詩。(個人の見解です) 詠んだのは唐の時代の孟さんという方。 ここからは想像です。普段は夜明けと共にしっかり起きる孟さん。でも、ある春の朝に目を覚ますと、外は天気が良く、気持

短編小説の裏話(#6~10)

先日アップした「天敵届」という小説で、noteを始めてから書いた短編小説が合計10作品となりました~! noteを始めて3ヶ月で10本ですので決して多くはないのですが、「小説書きたいなぁ」という気持ちを実際に形にして残せたことに対して喜びがあります。 そもそも短編小説と書いていますが、私が書いているものは1本辺りだいたい800字~1500字くらいですので短編でもなく掌編小説とかショートショートとか呼ばれるものなのかもしれません。ですが、短い小説ということには変わりないだろ

医療系の小説は読みますか?<泣くな研修医>

泣くな研修医 著者:中山祐次郎さん 医療系の小説は読みますか? 私自身は人間ドラマが壮絶というイメージがあり、手に取るのを躊躇してしまいます。実はドラマと違って、文字で病名や症状があらわになると怖いのです。 特に最近は医療従事者の大変な思いが報道されているので、あえて小説で読まなくてもと思ってしまうことも。それでも、本作は2021年のドラマ化されたことと、タイトルに惹かれて手に取りました。タイトルから想像すると、主人公となる人は「素朴で純情な人、そして泣き虫なのかな?」

「砂上」 桜木紫乃

「人に評価されたいうちは、人を超えない」   「砂上」 桜木紫乃 これは本当なのだろうか? 嘘なのだろうか? 虚構の中に真実があり、真実であるかのように見えて、フィクションであるという。 さらさらとした砂丘の砂の上を歩いていると、不意に足をとられ、不安定で あるにもかかわらず、しっかりと歩いてきた足跡があることを振り返り、見つめる。 刹那、風が砂をふわりと撫でて、その記憶の痕跡を風紋に・・・・・・ そんな乾いた砂の模様を一枚めくると、中から湧き出るように溢れ出す水