【短編小説】ばあちゃん、鳩になる
鳩になったばあちゃんがベランダにやってきたのは、妻が家を出ていって2週間ほど経った頃だった。
結婚して3年。1LDKの賃貸マンションでの妻とのふたり暮らし。すぐに子どもはつくらず夫婦の時間をしばらく楽しもう、と言ったのは妻。悪くない新婚生活だった。
ずれ始めたのはいつからか。
「たまには、しょうちゃんも凝った料理を作ってよ」と、ある日妻が言った。
負担が偏らないように料理は交互につくっていた。妻に比べると、たしかに俺の料理は幅が狭かった。だいたい見た目は茶色いし、ソース