見出し画像

短編小説の裏話(#11~15)

この企画も無事二度目を迎えることができました。嬉しいです!

noteで短編小説を5本書くごとに、その制作裏話を書き残す企画です。

前回(3/24の記事)は6~10本目の5作について語りましたが、今回は最近までに書いた11~15本目までの5作について、関連するエピソードや思い入れなどを記録します。興味が湧いたものがありましたら、ぜひリンクから飛んでお読み頂けると嬉しいです。

***

ところで、noteにはダッシュボードというものがあり、自分が書いた記事のビュー数やスキ数が確認できる機能があります。

読んでくださった方がどの記事をスキと思われているのかが気になるので、私も時々確認するようにしています。そして私の場合、ビュー数よりも、その中でどれくらいの方々にスキを押していただけるかというスキ率を重視しています。

書いていて「これはスキ率高めかな?」と感じるものは、エッセイの場合はだいたい予想通りなのですが、短編小説は外れることが多いです。

まだまだ自分の書いたものを客観的に見ることが出来ていないのかもしれません。自分がいいと思うものと、世間がいいと思うものがかけ離れていることを数値で確認して思い悩むこともあります。まだまだ修行が必要です。

今回は5本のスキ率も交えて、スキ率が高い順にご紹介します。最近書いた小説は不利なのですが、逆の結果が出ました。

それでは記録を始めます。

***

★スキ率1位(15.5%)

◆14本目「タオルの涙」

小説のネタを探す時に、私は自分の生活とか経験を思い出して物語として作り上げることが大半なのですが、これもそうです。

三年ほど前に仕事仲間の結婚式に出席して、お返しに桐箱に入ったペアのタオルを頂いたことが元ネタになっています。それ以外の部分は創作です。

桐箱の中のペアのタオルの片方が、もう一方のタオルに片想いしてたら面白いかもなぁというところからお話を膨らませました。物語の中で、片想いの相手である桜ちゃんの気持ちはハッキリと書いていないのですが、なんとなく伝わっていればいいかな、と思いぼんやりした書き方のままにしました。文学賞とかに出すなら、もっとキッチリ書いた方がいいのかな。でもタオル主人公の小説を文学賞には出さないですね……

このお話は人間ではないですが、男の子目線で物語を書くのは好きです。また人間の男の子でも書いてみたいです。

あと、この小説を書く前のタイミングでスランプのようなものを味わいました。

それまで毎週更新していたのが途切れたのも、このお話を書く前のタイミングです。小説をアップしないと、という思いで何本かのネタを抱えていたのですが、その時書いていたものが自分で納得できず、結局最後まで書けなかったのです。このお話とは別の物語です。

小説が書けないからnoteを更新できない、という状態になったのですが、一旦「積読本紹介」という日記でその場を凌ぎ、そのあと「別のネタで書こう」と思い、完成したのがこの物語でした。久々に小説を書きあげることが出来たので、本当に嬉しかったのと同時に安心したのを覚えています。納得できるものを安定して書けるようになりたいです。

余談ですが、この物語のタイトルを付けたあと、延々と「バナナの涙」が頭の中でループしたのは懐かしい思い出です。(「バナナの涙」、古くてすみません。でも、うしろゆびさされ組の曲は今でも好きです)


★スキ率2位(12.9%)

◆15本目「オペラグラスのアイドル」

これはいちばん最近書いたお話です。

そしてnoteを始めた今年の1月以降に書いた15本の小説の中で、自分自身がいちばん好きだなと思う作品です。アップしてから数日間は、物語に出てくるアイドルユニット「空色和音そらいろわおん」のことばかり考えてしまって、続編を書いてみたいと思ったのもこの作品が初めてでした。

私はnoteで短編小説を書く時、題材とオチとだいたいの登場人物の3つを決めて、2~3時間で書いて推敲してすぐにアップしています。ですが、この作品に関してはいつもと違いました。

3つを決めるのはいつもと一緒だったのですが、2~3時間でアップしなかったんです。アップする前日の夜に一通り書いて推敲まで済ませ、一晩寝かせて翌日にも隅々まで推敲してからアップしました。

「どう書けばより分かりやすくなるか?」「どう書けばアイドルユニットのひびきの魅力が最大限に出せるのか?」ということをいちばんに考えつつ、何度も読み返して、一文字だけ修正したり別の表現に変えてみたりして、感動を生み出すために試行錯誤しました。アップしてからもまだ推敲していました。おかげで自分の中では満足のいく作品になったと思っています。

ちなみにこれも、私自身が先月とあるライブに行った際にあったことを元にしています。ライブにいく前にオペラグラスを買ったことと、前から6列目の座席だったことが実体験です。ユーチューバーさんのライブだったので、その後YouTubeにアップされた彼らの動画に、6列目にいる自分が映ってて嬉しいやら恥ずかしいやら。でも、お陰で納得のいくものが書けたので、彼らの存在には感謝しかないです。


★スキ率3位(12.2%)

◆11本目「タイムマシンにのる前に」

このお話は、今回の5本の中ではいちばんビュー数が少なかった作品です。他の作品の半分くらいしかビュー数がありませんでした。noteは、実際にビューされた数だけではなく、画面におススメとして表示された場合もビュー数にカウントされると聞いたのですが、noteさんからあまりおススメされなかったのかもしれません。この頃に何か悪いことしたかな……。

題材に「ビーズアクセサリー作り」を取り入れているのですが、私も結構前にこれを趣味にしていた時期がありました。

当時、漫画を描いていた頃にコミックの同人誌即売会に出店していました。自作の漫画作品やイラスト集を売り出すスペースの片隅で、自作のビーズアクセサリーも販売していたんです。単価が高かったからというのもあるのですが、金額的には漫画本以上に売れました。男性のお客さんは漫画関連のグッズに、女性のお客さんはアクセサリーに興味を示してくださいました。

またこの物語では、主婦を主人公に書くのが初めてだったので新鮮でした。小説は、色んな立場の人物を描くことができて本当に楽しいです。漫画では自分の画力が伴わず描けない世代もあったので、今後も文章で色々な人物を描いていきたいです。


★スキ率4位(11.8%)

◆12本目「紙袋の旅立ち」

この物語も現実の出来事が元になっています。

実家にいた頃、私がとあるブティックでもらった紙袋がキラキラのギャル系の物で、私が持つのも年齢的・キャラ的に合わないくらいだったのですが、ある日、父が自営業の取引先回りに行く時にそれを使っているのを知って戸惑った、という出来事です。

その時両親はなんの疑いもなく普通にその紙袋を使っていたのですが、あまりにマッチしないその組み合わせに私はハラハラしていました。でも「使わないほうがいいよ」とは言えませんでした。言っても多分、うちの父は使ってたと思いますが……

この物語は、自分の中では「オペラグラスのアイドル」に次ぐ、二番目に好きな作品です。ちなみに元々は「紙袋の旅」というタイトルでしたが、なんだかしっくりこなかったので「紙袋の旅立ち」に変更しました。

それまでは本当にショートショートとして、必要最低限のことしか物語には描いていなかったのですが、この少し前から登場人物の心情表現にも力を入れて書くようにしてみました。その影響で最近の短編小説は以前よりも長めの物語になっています。これに情景描写ももっと入れていったら、長編小説になっていくかな?そろそろ公募用の長編小説も再び書きたいところです。


★スキ率5位(6.7%)

◆13本目「七十五日の噂」

この物語は、スクールカーストが書いてみたくて考えたお話です。

私の好きな作家さんである村田沙耶香さんがスクールカーストを題材にした小説をいくつか書かれているのですが、それが本当にすごくて。「あったあった、そういう思い!」という表現が盛りだくさんで、いつも感心しています。スクールカースト自体は好きじゃないし、無いほうがいいと思っていますが、あのモヤモヤした感情をそこまで明確に書けるなんて!という面で素晴らしいと思っています。

私自身、子供の頃、噂には悩まされました。

小学生の頃から恋愛系の噂を立てられることが多く、中学に入学してそれが終わったと思っていたら、中3の時にも75日以上続く噂を立てられたので、実際はそうではないのに、自分が恋愛のことしか考えてないような人間に思えてきてとても気持ち悪かったんです。周りに冷やかされることによって、元々嫌いではなかったのに、一緒に冷やかされている相手のことも憎くなったりして負の感情のループでした。今思えば、冷やかしていた人達はそれくらいしか楽しみがなかったんだなぁ、と可哀想に思えます。

そんな思いがこの物語に出てしまったのか、スキ率は非常に低い結果となってしまいました。今読むと、もうちょっといい感じの物語に変換出来たような気もするので、このお話には申し訳ないことをしたなと反省しています。

最初にアップした時は主人公が非常にイヤな子に思えて、しばらく経ってから、ラストの方にあった二行を削除したら少しはマシな子になったような気がします。でももうちょっとうまく書きたかったなぁ、といったところです。

***

以上が最近までの5本の小説の裏話でした。

前回の裏話で書いたのですが、以前読んだ本の中に「小説家になりたければ原稿を一万枚書けば誰でもなれる」という一節がありました。

なので、前回同様、私がこれまでに書いた原稿の枚数を計算しておきます(おおよその数値です)。

①2021年に文学賞に応募した長編小説……209枚

②note創作大賞応募小説「憧れのグランデ」……13枚

③noteで書いた短編最初の10作合計……30枚(1作品辺り3枚と考えて)

④タイムマシンに乗る前に、オペラグラスのアイドル……18枚(各9枚)

⑤紙袋の旅立ち、タオルの涙……12枚(各6枚)

⑥七十五日の噂……7枚

全ての合計は289枚でした。

まだまだ道のりは長いです。どんどん書きます。


この記事が参加している募集

私の作品紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?