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医療系の小説は読みますか?<泣くな研修医>

泣くな研修医 著者:中山祐次郎さん

医療系の小説は読みますか?

私自身は人間ドラマが壮絶というイメージがあり、手に取るのを躊躇してしまいます。実はドラマと違って、文字で病名や症状があらわになると怖いのです。

特に最近は医療従事者の大変な思いが報道されているので、あえて小説で読まなくてもと思ってしまうことも。それでも、本作は2021年のドラマ化されたことと、タイトルに惹かれて手に取りました。タイトルから想像すると、主人公となる人は「素朴で純情な人、そして泣き虫なのかな?」でした。

主人公の雨野隆治は25歳で研修医1年生。東京下町の総合病院に勤務して病院に泊まり込む日が多く疲弊の日々。しかし、医療への熱き想いとエネルギッシュな若さで患者と接しています。

ここでの見どころは、研修医という立場であるが、ひとりの人間であることが順を追って問いかけるように書かれていること

医師の国家資格には合格していますが、まだ医学用語にも慣れておらず、患者の対応もままならない。上位の医師の指導や助言を受けて行いますが、対応に疑問を感じる隆治。
そこに医者となったきっかけと、同期の荒々しい直球が加わり、医師への新たなる歩みと隆治の人間性に厚みが帯びていきます。

大病院、開業医を含めて様々なタイプの医師がいますが、どのような医師に出会うのかはある意味、”運”かもしれません。
しかし、医師にも戸惑いや悩みながらも業務に励んでいる人がいることを知り、その人を信頼することで少し距離が縮まるのではないでしょうか。

医療を行うのはひとりの人間であり、医師も祈ることがある。

とぐっと感じた1冊でした!

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