彼女たち、わたしたち、あたらしい家族④
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22時。夜勤者と申し送りをしていると、チャイムが鳴った。2人で慌てて松村さんの部屋に向かう。
「夫が帰ってくる!」
目尻を吊り上げて叫ぶ松村さんの姿は、昼間の上品なご婦人の姿からはかけ離れている。
「ご飯も作ってないのに!買い物もしてないし、どうしよう、殴られる、殴られる!」
「松村さん、旦那さんは今日帰ってきませんよ、今日はゆっくりおやすみになってていいんですよ」
「でも、早くしなきゃ!」
「大丈夫、私たちいるから」
2人がかりで両脇を支え、立ち上がって足をひきずりなが