薬学大学院生

博士2年 学振DC1 日常体験する"感覚"について深く考えてみませんか? 痛みとは?かゆみとは?これらの存在意義を考える http://www.pha.u-toyama.ac.jp/phapha2/index.html

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博士2年 学振DC1 日常体験する"感覚"について深く考えてみませんか? 痛みとは?かゆみとは?これらの存在意義を考える http://www.pha.u-toyama.ac.jp/phapha2/index.html

マガジン

  • 医学・薬学研究コラム

    医学薬学関連の研究やニュースについて解説します。

  • かゆみと脳

    かゆみは「不快な感覚」と定義されていますが、その実態や存在意義は未解明です。感覚でありながらも感知する脳での神経回路は分かっていないのです。このマガジンではかゆみと脳に関する最新の論文をまとめます。

  • かゆみ学雑談

    自分の研究分野についてだべってます。結構面白い研究だと思いますよ??

  • 薬学大学院生日記

    アンナコトからコンナコトまで…!!

  • 【自分用】勉強メモ

    最近読んだ論文の備忘録。完全に自分用。。。

最近の記事

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【blog】博士課程に上がって2ヵ月が経ちました

みなさんお久しぶりです。お元気でしょうか。まちょです。 私の最近は比較的余裕がある暮らしをしていますね。 ほどほどに実験をしつつすきま時間に論文を書き、土日は必ずどっちか休んでいます。 というのも、再来月くらいから爆発的に忙しくなるんですよね。 2つの国際学会に新しいテーマの立ち上げ、学生実習のTA(今年はカリキュラム変更により2回もある)、複数の新規共同研究… そして気づけばきっと12月になっている予感がします。 そのために今はあえて抑えています。が、の割にNoteを

    • 【初心者向け】脊髄後角における痒み神経回路について

      先日、研究始めたてのラボの後輩に向け、脊髄後角における痒み神経回路のレクチャーを行いました。 脊髄後角介在ニューロンに関しての記事はコチラ↓ 自分で言うのもアレですが笑、講義録として後世のために残しておこうと思います。 ※今回は、レビュー論文を基に話を進めていますが、私個人の主観も入っていますのでご了承ください。 Peripheral and Central Mechanisms of Itch, Neuron, 2019 末梢で発生した痒み情報は、DRGニューロン

      • MS GABAergic ⇒ ACC

        Introduction・内側中隔(MS)は前脳基底部の構成要素である。 ・MSは主にGABA、コリン、グルタミン酸作動性ニューロンの3つのサブポピュレーションから構成されている。 ・MSへのGABAAアゴニスト投与は炎症性疼痛を抑制する。 ・MSは脊髄SP陽性ニューロンから直接投射を受ける。 ResultsC57BL/6にchloroquine、compound 48/80を皮内投与し、MSにおけるc-fos発現を確認した。 MSにAAV-hSyn-GCaMP6sを注入

        • Prl ext ⇒ NAcC

          ResultsSDラットにCompound 48/80、5-HTを皮内投与した後のPrlのc-fos発現を確認した。 Prlの興奮性ニューロンにhM4Diを発現させると、48/80、5-HT、chloroquineの掻き動作が抑制された。 NAcCに投射するPrl興奮性ニューロンにhM4Diを発現させると、同様に各種掻き動作が抑制された。またCPAテストを行うと、急性掻痒によって誘発されたCPAがCNO投与によって抑制された。 さらに、その経路の抑制はAITCによる疼痛

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        記事

          PrL ext ⇒ MD/BLA

          Results1. PrL(前辺縁皮質)では選択的に痛みと痒みが表現される PrLにAAV9-CaMK2a-GCaMP6fを注入し、in vivo Caイメージングを実施した。Chloroquineまたはcapsaicinを投与すると、それぞれにより活性化するニューロンの集団は選択的であった。 2. PrL(前辺縁皮質)では選択的に痛みと痒みを調節される FosTRAPラベリングによりchloroquineまたはcapsaicin反応性ニューロンにDREADDを発現さ

          ZI ext

          Introduction・ZI(不確帯)は主に抑制性の視床下核である。 ・細胞構造に基づいて腹側(v)、尾側(c)、吻側()r、背側(d)に分類され、ZIcに関しては唯一興奮性ニューロン優位とされている。 ・神経障害性疼痛においてはZI GABAニューロン活性が低下しており、その薬理学的活性化により疼痛を抑制する。 ・近年、痒み処理におけるZI PV(パルブアルブミン)ニューロンの新たな役割が示唆された。 Results1. ZIc グルタミン酸作動性ニューロンは急性掻痒

          LHb ext

          Introduction・LHb(外側手綱核)は"anti-reward center"として知られていて、主にグルタミン酸作動性ニューロンで構成されている。 ・一般的には嫌悪感情報を処理しているハブである。 ・functional MRI研究では、嫌悪感のある痒み刺激はLHbを活性化させた。 ・慢性疼痛状態ではグルタミン酸作動性ニューロンの活動が亢進する。 ・NAc(側坐核)からPAG(中脳水道周囲灰白質)への下行経路の中継地点でオピオイド鎮痛にも関与している。 Res

          CeA Pdyn+ ⇒ PBN

          Introduction・CeA(扁桃体中心核)には抗侵害受容機能を持つ2つの亜集団がある。1つはソマトスタチンとプロダイノルフィン(Pdyn)を発現する。もう一つは全身麻酔薬により活性化する。 ・CeAからPBN(橋結合腕傍核)へ投射する、大部分がダイノルフィンを発現する経路もまた疼痛シグナルを調節する。 ・CeAへのGABAAアゴニスト投与は急性および慢性掻痒を抑制する。 Results1. CeA Pdyn+ ニューロンの光遺伝学的活性化は痒み行動を抑制する Pd

          かゆみ学#14 ~βアラニンフラッシュ~

          最近、私のラボでは「筋トレ男子」が急増しています。 事の発端は昨年、ラボに筋肉隆々の学生が新しく入ってきたんですね。その子はボディビルの大会に出るほどのガチ勢で、かつコミュ力も高いのですが。。。 以来、触発されたのか知らないですがいつの間にか筋トレブームが到来していました。そのせいで最近非常にラボが暑苦しいです。 そんなことはどうでもいいのですが笑、彼らが話しているのがふと耳に入ってきました。 弟子G「ゴニョゴニョ、あのサプリ飲んだらすごい全身かゆくなってきてん」 筋肉隆々

          かゆみ学#14 ~βアラニンフラッシュ~

          AICext ⇒ PrL

          Introduction・ACC(前帯状皮質)とPrL(前辺縁皮質)はセロトニン作動性掻痒と48/80作動性掻痒を別々に調節する。 ・IC(島皮質)は痒み刺激中に前部および後部が活性化する。 ・AICはPICを介し内部感覚入力を受け取る。 ・ICへの突起をもつ背側縫線核もまた掻痒刺激中に活性化する。 Results1. 各種起痒物質によりICにおけるcfosが上昇する C48/80または5-HTにより掻き動作を誘発すると、AICおよびPICでcfos発現が増加した。また

          LH ORX neuron ⇒ PAG

          Introduction・脳領域では主にvlPAG(腹側中脳水道周囲灰白質)で痛みと痒みの相反的な処理がなされている ・著者らは以前にPAGより上位のORX(オレキシン産生)ニューロンも相反する役割を示し、痛みは抑制するが痒みは促進することを見出した Results1. ORXニューロンの光阻害は痛みと痒みを相反的に調節した ORX-tTAマウスを用いてLH(視床下部外側野)にArchTを発現させると、chloroquine誘発性スクラッチは光照射で抑制され、capsa

          LH ORX neuron ⇒ PAG

          AICext ⇒ dBNST GABAergic

          Introduction・AIC(前島皮質)は線条体、扁桃体のような感情・動機に関わる領域と接続。 ・PIC(後島皮質)は感覚と運動のつながりに関連付けられる。 ・dBNST(分界条床核背側部)はICからの主要な下流の一つ。 Results1. ストレスにより急性掻痒の感受性?があがる Histamineまたはchloroquineは掻き動作およびCPAを誘発した。また、拘束ストレス後のhistamine投与は掻き動作をさらに増加させた。 2. 急性掻痒あるいはそれに

          AICext ⇒ dBNST GABAergic

          【研究紹介】糖尿病予防における睡眠の重要性

          久しぶりに他の研究室の紹介を勝手にしちゃおうのコーナーをしようと思います!(3年ぶり2回目???) 今回紹介するのは、同じ富山大学薬学部の病態制御薬理学研究室です。主に糖尿病と脳の関連について研究しています。 早速ですが、私の知識も交えながら解説していきます! 1. そもそもヒトは太りやすい宿命にある研究のお話に入る前に少し… 世の中の多くは「糖尿病」と聞くと「太っている人」と変換してしまいがちだと思います。必ずしもそうではありませんが、やはり太っていると「だらしない」

          【研究紹介】糖尿病予防における睡眠の重要性

          他人の痛みを軽減してあげたいと思うメカニズム

          動物は他者が怪我をしていると舐めてあげます。皆さんも容易に想像できますね。では、あれは何のための行動でしょうか? 自分で舐めろと思いませんか?笑 実はこのような行動は援助行動と呼ばれ、単なる慰めではなく、生存を高めるためのれっきとした本能的行動なのです。 人間だと他人の傷を舐めはしないですが(できないことはないが笑)、負傷した相手を手放しはせずに手当を行いますよね。これも援助行動の一種です。 一見当たり前のように感じる援助行動ですが、私たちはどのように相手のニーズ、助け

          他人の痛みを軽減してあげたいと思うメカニズム

          半年以上前からしておくべき国際学会の準備

          先日、人生初オンサイトの国際学会に参加した。フロリダ州マイアミ。 長距離移動に疲弊してアメリカでコロナになってしまったが、とても充実した5日間だった。 発表準備ももちろん大変だったが、何よりフライトの準備に苦戦した。 やること自体は特段多くはないが、何しろ慣れていない作業は非常にストレスだ。 ネットにあるしおり的なものは観光用であり、学会、つまり大学の枠組みで行くのに何を準備すればいいか全く手探りだった。今冷静に考えれば学務に聞けばいい話だったが、そこでは得られない情報も

          半年以上前からしておくべき国際学会の準備

          【初心者向け】痒みの研究を勉強するにあたり最初に知っておくべき知識9選

          1. 痒みの定義痒みとは、「引っ掻きたくなるような不快な感覚」と定義され、「痛みより耐え難い苦痛」と表現されます。大げさなと思うかもしれませんが、実際に、副作用である痒みが耐え切れずモルヒネによる疼痛治療を中断してしまう患者もいるほどです。 2. 慢性掻痒の定義臨床では、6週間以上痒みが続いた場合を慢性掻痒とします。代表的な慢性掻痒疾患にはアトピー性皮膚炎や乾癬などが挙げられます。 3. Itch scratch cycle慢性掻痒疾患は皮膚炎を伴う場合が多いです。なぜな

          【初心者向け】痒みの研究を勉強するにあたり最初に知っておくべき知識9選