新しいテレビ


 はーい、テツガク肯定です。

 新しいテレビ。
 それは18Sの解像度とか4600fpsとか9次元メガネ型テレビ。
 そういうものではない、かもしれない……だなんて。
 最近、愚かなことを思っています。

 もう形やスペックは重要ではない。
 ブラウン管でダイヤル式のチャンネル。
 そういう一見、遠い昔のテレビですが……。
 観たい物語を決めたら、自分がその人物になれるテレビ。

 それが新しいテレビ。
 不思議の国へ繋がる抜け穴。

 こんなことを思った、きっかけは映画です。
 『マトリックス』とか『インターステラー』、『メメント』に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。
 そして、重要なのが『ネバーエンディング・ストーリー』。

 私はこの映画のバスチアンさんに驚きました。


 本屋の主さんが言います。

 読んでいるうちに
 ロビンソン・クルーソーやターザンになっているんだろう?

 それにバスチアンさんは答えます。

 そうだよ。
 だから僕、本は好きなんだ


 私は本を読んでいて、一度もそう思ったことはありません。
 もちろん、今もそうですが。
 第三者視点として覗く。
 物語の世界にお邪魔している、という感じだったんです。

 ですが、バスチアンさんみたいな楽しみ方もできる……。
 というか、本来そうなんじゃないか、と思いました。
 マトリックスのエージェント・スミスみたいに誰にだってなれる。

 たしか、マトリックス4でスミスさんはこんなことを言ってましたね。

 誰でも君になれるが
 私は誰にでもなれる


 そういうスミスさんのような力を思い出せる。
 それが新しいテレビ。

 『ラスト・アクション・ヒーロー』って映画の金のチケットみたいなもの。
 ですが、ただの物語を経験するだけのチケットではありません。
 その中で、自分が結末を決めて、展開を歪められる。別の人物を連れて来たり。
 もちろん、何度だって見れますし、巻き戻しも早送りも自在。
 思った通りにすぐに変わる、想いのままの不思議の国。

 自分の理想の物語に改変して。
 それに慣れてきたら、一から自分の物語をつくれちゃう。
 そういうテレビ。



 だなんて、愚かな話には。

 ???


 と賢く疑問符が浮かぶかもしれません。
 今にして思いますが、日本人は未来から送り込まれたターミネーターなんだと思います。
 人の愚かさが全く理解できない、夢の破壊者ターミネーター。
 自分の名も記憶も忘れた無感情、無関心のターミネーター。
 この世って湯屋の見えない湯婆婆に名を奪われたジェイソン・ボーン。

 とはいえ、それすら欺瞞かもしれません。


 話を戻しますが……私がいう新しいテレビがハードではない。
 それが違和感に感じる理由かもしれません。

 ハード、ハードウェア、機械そのもの、目に見える外側。
 そして、今、私が言っている新しいテレビは。
 どちらかと言えば、ソフト、ソフトウェア、プログラム、目には見えない内側。

 ハードだソフトだと専門家を真似て。
 それらの単語を使いこなしますが。
 実は、自分でこの概念を考えることは少ない気がします。

 今の私からすれば……これらは逆にもなる。
 天動説から欺瞞の地動説に変わったように。
 再び、地動説から神聖な天動説に戻ることもある。
 この世界は本当は真っ平、スクリーンに映し出された光。



 例えば、ゲームです。

 ドラゴンクエスト。
 それがps4とswitchとアプリとsteamで発売された。

 この場合、ハードウェアは。
 ps4とかswitchとかスマートフォンとかパソコンなんでしょう。
 それらの機械が、目には見えないドラゴンクエストの世界へ繋げてくれる。
 形のあるハードウェアがその世界をつくっている。

 そう、昔は思っていましたが。
 今はこう思います、ドラゴンクエストが。
 機械を選ぶ機会を与えただけで、その機械はなんだってよかった。

 それが本だろうが、ゲーム機だろうが、スクリーンだろうが。
 もちろん、ブラウン管テレビだろうがなんでも。

 もっと言いますと。
 形のある何かなんかいらないのかもしれません。
 そんなものがなくても、ドラゴンクエストの世界はあった。
 問題はそれをどう伝え、どう感じてもらうか。

 その手段が今までは機械だった。形のあるものだった。
 でも、この先は機械じゃなくてもいいのかもしれない。
 もうターミネーターはいらないのかもしれない。
 ホラーとかフォースって伝染力を思い出せたら。



 最近、そう愚かにも思ったんです。
 忘れてしまっているだけで、既に誰もが目には見えないソフトウェアの中。
 誰もがドン・キホーテ、騎士道物語ではなくてゲンジツ物語が愛読書。
 本当は形のない幻の中で、形があるように思える幻想を作り出している。
 人の邪悪な欺瞞で、このソイテーソイヤクな世界を信じている。

 青く醜いスターダスト、地球と言う名のデススターを。
 50憶の人を誘拐しても、なお飢え続けているオーバールック・ホテル。
 臆病者のか弱い独裁者、ただのピエロを。



 もし、そう思い出せたら……。
 もうテレビの性能とかは重要ではなくて。
 どの物語へ飛び、どう歪めて楽しむか。
 そして、新しい自分の物語を作るか。

 それを手伝う手段としてのテレビ。
 アナログ時代のSD画質でも、その世界へ飛び込めるのなら全く文句なしです。
 ほら、兎がいる、兎穴に入らずんば不思議の国知らず。



 逆に、どんなに性能が上がって。
 18Sの解像度とか4600fpsとか9次元メガネ型テレビ。
 それが今の金銭価値の5千円で買えても。
 今までと変わらず、向こう側は別世界って欺瞞が続くのなら。
 そんなテレビは嬉しくないです。

 人の欺瞞はかくも邪悪なり。
 されど、人の自信はかくも神聖なり。

 生きとし生けるものは信じた未知を進む……。
 だとしたら、フィクションだって線引きされた物語を見るより。
 そのフィクションだったはずの物語の中で、好き放題歪めたい。

 ……案外、既にそうな気がします。
 この世界はオール―・フィクション・ワールド。
 うんざりな誰かの茶番より、素直に正直に自分が信じたい。
 そういうルーニーでルーザーにフーバーな話を今に。

 それが誰かにはフィクションでも問題ない。
 自分にとって確かなフィクションであれば。
 そこへ帰る、その手伝いをしてくれるのが新しいテレビ。

 このソイテーソイヤクな悪霊。
 今にのさばるペニーワイズをもとのITに帰す。
 かつて、ファンタージェンを無に帰したように。
 この今を遠い昔まで吹っ飛ばしてくれる、不思議なアイディアこそ。

 新しいハードウェア。
 形はなく誰もが持っていて。
 誰だって無意識に使いこなしている。

 あえりないほど近くて、もの凄く速い。
 第六区を教えてくれたオスカーさんの物語が。
 忘れてしまった、故郷、第七区を思い出せてくれたように。



 いいですか?
 希望ってロンギヌスの槍を掴んだら。
 それを信じて、この最強の呪文を唱えて、解き放つんです。

 Beep-beep, motherfucker!


 I'm gonna have to kill this fucking earth.
 I'm gonna have to kill this fucking world.
 ウェルカム・トゥ・ザ・ルーザーズ・クラブ!
 asshole! earthhole!

 Just gotta get out!
 Just gotta get right outta here!

 穏やかな青さに身を任せるな
 いかれ、いかれ、奪い取る星に
 飛べ、飛べ、白い影に




 とっとと滅んでくれ、こんな世界……。
 と言っても、それが永遠に叶わないのは知っています。
 悪霊は死なない、リーランド・ゴーントは不死身。
 ですから、1秒でも速く、私を故郷へ。
 愛しの世界三大ウサギの一羽の隣こそ私のジワタネホ。


 これは絶対に叶うって知っています。
 ほんの少しだけ刑期が残っているのかもしれませんが。
 相方は脱獄脱兎、上手いこと抜け出せる穴を繋げられるかもしれません。

 太極拳を練習して、シスの暗黒卿になった。
 重力だって外せちゃうワガママ・クイーンならば。

 『インターステラー』のマーフィーさんみたいな能力はありませんが。
 それでも、今は見えない昔にある未来からだって。
 何かが伝わり、ITが今と繋がっているのは気づきました。

 今は馬鹿げたようにしか思えない直感も。
 遠い昔にある未来、そこにいる自分からのメッセージだったり……。
 感情だったり、アイディアだったり、夢だったり、空想だったり。

 呼び名はそれぞれのIT。
 何れペニーワイズになるIT。

 ハーイ、ジョージ!
 浮かぶ……帰る時間です。

 ding-dong帰る、ding-dong帰る。
 ding-dong帰ったら……パーリィータイム!



 それでは、また次の機会にお会いしましょう。

 















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