ラジオを買って、ふと思ったフーバーなこと。『トム・ゴードンに恋した少女』



 はーい、テツガク肯定です。

 どうでもいいことですが。
 最近、ラジオを買いました。
 ソーラーパネルつきのやつです。

 主に、その用途は携帯スピーカー。
 スマホの音楽を聴くために買いました。

 実は私、ラジオが嫌いなんです。
 ラジオが嫌いな人がこれからラジオの話をしようだなんて……。
 全く以て不可思議なことですが、それでこそ人生って怪談です。



 それで、本題ですが。
 私が買ったラジオはFM、AM、SWと三つの波が聞けます?
 (波という表現でいいのか……とにかく、FM、AM、SWが聞けます)

 それで、FMのラインの中でも。
 どの周波数に合わせるかで何が聞けるか変わります。

 きっと、多くの方はご存知のことだと思います。
 
 このラジオが届いてから、スイッチを入れチューナーを回しました。
 私にとって初めてのSWというやつで。
 英語だったり中国語、北朝鮮っぽいやつまで聞こえてきました。


 そして、ふと思ったんです。
 今の私には感じ取れませんが、このラジオから聞こえる声。
 それを届ける波がこの今に漂っているんだ、と。
 気づけないほどの波が。

 それは、今の私には解読不能な波ですが。
 ラジオってエニグマがあれば、それを傍受できる。
 FMって波でも、その周波数を調整すれば、全く違う世界を盗聴できる。

 しかも、このラジオはFMとAMだけじゃなくて、SWまで傍受できる。
 英語とか中国語の情報まで逃さない。
 クリス・チェンバーズみたいにバッチリと。


 たぶん、これも多くの方が。
 既に、ご存知な事実だと思います。

 ただ、この話はご存知でしょうか?

 私が読んでいる、『トム・ゴードンに恋した少女』という本の話です。
 パトリシアという少女が森で迷ってしまう話なのですが。
 幸運にもトリシアさんはウォークマンを持っていて。
 それでラジオを聞きます。

 自分以外の人がいない森。
 そこで独りぼっちのトリシアさんですが。
 ラジオから聞こえてくる、レッドソックス戦の中継が。
 彼女にとって大きな希望です。
 (トリシアさんはレッドソックスのファンで、トム・ゴードンさんの大ファンです)

 不思議な話です。
 レッドソックスファンのトリシアさんは。
 この物語では、独りアパラチア自然遊歩道付近の森の中。
 グリーンマイルの独房の中を彷徨っている。

 でも、その森、その独房にだって。
 シッカリとレッドソックス戦の熱気は伝わってくるんです。
 人には感知できない波が漂っていて。
 それを傍受するラジオってエニグマがあれば。


 そして、それは、どうも人にもあるようです。
 もちろん、ラジオの波やテレビの波とは違います。
 人ってエニグマが傍受するのは記憶や感情って波です。

 森から抜け出すことに必死なトリシアさん。
 ですが、ふとした時に何かを思い出します。
 母親のサバイバル知識や父親が信じる神様だったり。
 そういう記憶です。

 トリシアさんのお父さんは。
 一般的な神様はあまり信じていないようですが。
 環境音、見えない力を信じているようです。

 当たり前になって、慣れて気づけない。
 そういう忘れかけた何かが助けてくれる。

 まさに、私が読んでいる箇所がそうだと思います。
 トリシアさんにとって日常の一部で忘れかけた言葉。
 それが、森で迷った現状から助け出してくれる……。
 そういう目には見えないヒーロー。
 レッドソックスの背番号36、トム・ゴードンさん。

 ふいに傍受してしまう、辿り着きたくない未来。
 恐怖の感情を感じる未来とは違う。
 帰るべき故郷へ、送り届けてくれる。
 そういう環境音、人にしか傍受できない見えない力。



 もちろん、そんなことを思う私も。
 今は昔な未来、それを傍受しているような気がします。

 スティーヴン・キングさんが書いた他の作品。
 『シャイニング』や『ドクター・スリープ』。
 私が言うのは映画版の『ドクター・スリープ』の主人公。
 ダニーさんのことですが、彼も自分の力をラジオのように例えていた気がします。

 繋がりたい相手と周波数を合わせるような感じ?

 ラジオやテレビみたいな番組を傍受できなくても。
 帰るべき、今は昔の未来を傍受して、そこへ辿り着けるなら。
 言うことなしのエニグマです。



 たぶん、それは人にとって当たり前のことで。
 既に、その力が環境音的に馴染んでしまって、このグリーンマイルに慣れてしまう。



 刑務所慣れ、施設慣れから目を覚まさせてくれる、清々しい声。
 愛車に跨り、下りの坂道で秘密の呪文を言うように。


 ハイヨー、シルバー! ウェーイ!
 ハイホー、ワガママ! ウェーイ!


 バルスとかパルスとかエロスとか。
 そんな上品に言ってはなりません。
 この世って悪霊を忘れ去るように、思い切り叫ぶのがコツです。


 この世をゲンジツだと思っていた。
 違った。
 お前もただのピエロだ。
 バッドチョイス。



 ココにいるみんな無罪無実だ。
 ゲンジツにはめられた。
 青く醜いスターダストって悪霊に誘拐された。



 この世が殺したイカロス。
 この世が殺したイカロス。
 臆病者のか弱い独裁者が焼いた、イカロスの翼。


 そんな『ラジオスターの悲劇』も。
 ビデオスターの悲劇、ネットスターの悲劇と、スターダストの悲劇と進めば。
 再び、ラジオスターの帰還……それでも私はラジオは聞かないと思いますが。

 私は、ラジオで人の話を聞くより。
 身近の人の話を聞きたい、それ以上に私が話したい。

 主に私の相方、慈悲深く無慈悲な冷酷冷徹のワガママ・クイーン。
 略して、慈無酷徹我娘(ジムコツテツガムスメ)。
 そんなアメリカ娘なワガママ娘とフーバーな話をしている。
 そういう今は昔の未来を傍受していて、不思議とそうなる気もしている……。



 届いたラジオのチューナーを回しながら。
 そんなことを思う、0時46分……。
 実に不可思議だからこそ、ルーニーでルーザーにフーバーな物語へ。
 切れない電球や難病の特効薬よりも頼りになる話。

 きっと、地球ってデス・スターを破壊しようと。
 今、頑張ってくれているダークサイドのジェダイもいるはずです。
 今は信じられないほど、遠い昔、遥か彼方の未来で。

 太極拳を練習して、シスの暗黒卿になって、重力だって外せちゃう。
 そういう新たなる希望、ダークサイドの帰還、シスの夜明け的な話。

 今の私にとって、この世界、この世はなんの得もない。
 そうハッキリと思えるような、不思議な話にうまいことチューナーがあった気がします。



 ……と、永々と描きましたが。
 つまり、ラジオの波とか普段意識もしなければ感じない。
 だけど、そのITはちゃんとあって、ITを傍受するエニグマがあれば。
 ITが本来の姿、ペニーワイズとして現れる。

 その環境音的な事実、その力は誰にだってある。
 人が持つエニグマは、今は昔……。
 つまり、今にないどこかの今と繋がることができる。

 それをフォースと呼んだり、シャイニングと呼んだり、妄想癖と呼んだり……。
 呼び名が様々なITは、姿かたちも様々なペニーワイズ。
 
 そして、エルム街の悪夢はこの世の悪夢。
 出逢った人や記憶、それから物語は信じる。
 だけど、お前は信じない、青く醜いスターダストよ。


 ルーザーズ・クラブへようこそ!



 そうやってパッカーンと。
 どっかへかっ飛ばしてしまえば、サヨナラ・ホームラン。
 帰るべき故郷へ帰れる、凄いスイングです。

 そういう今は昔な未来が。
 この今に漂っていても……全く不思議ではありません。



 それでは、また次の機会にお会いしましょう。






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