地方の公的機関に最新3D機器を整備する必要性

昨日の朝日新聞デジタルの記事
3Dプリンター使って! 企業・個人に供用始めた自治体
https://www.asahi.com/articles/ASM4C4547M4CUJUB00H.html

私の住む町、岩手県北上市に最新の3Dプリンタと3Dスキャナ、解析ソフトウェアが整備され、北上市産業支援センターに設置されました。2019年4月1日から一般供用が開始されました。技術的な支援は私の所属する、いわてデジタルエンジニア育成センターが行います。

利用料金・設備のスペックについて
https://3ddofactory.com/wp-content/uploads/2019/05/J750-CAE-SCAN.pdf

地元新聞ー岩手日日
最新3D機器を導入 市産業支援センター ものづくり後押し
https://www.iwanichi.co.jp/2019/04/12/310079/

機器類の整備費用は、北上市が国の補助を含め総額7,100万円。
そのうち3Dプリンタの費用が8割~9割。

今回導入された3Dプリンタは、世界シェアNo1の3Dプリンターメーカーであるストラタシス社の最新技術であるポリジェットテクノロジーが搭載されたフルカラー&マルチマテリアルの3Dプリンタ「Stratasys J750」です。

6種類の樹脂材料を一度に噴射、CMYKW(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ピュアホワイト)の樹脂を組み合わせて36万色以上の鮮やかなカラーを再現できます。カラー樹脂と透明材料やゴムライク樹脂をプラスすることで透明度や硬さの調整が可能となり完成品と同等の試作品の製作可能。

合わせて導入された3Dスキャナは、色情報を取得しながら現物を高速スキャンして3Dデータ化できます。人をスキャンしてフィギュアをつくることができたり、博物館などにある重要文化財をスキャンして複製物をつくるリバースエンジニアリングが可能です。

人体3Dスキャンからの3Dプリンタでのフィギュア製作の例
https://kitakami-shigotonin.com/news-event/radio-3d/

博物館の重要文化財の3Dスキャン・リバースエンジニアリング例
http://iwate3d.blog.jp/kitakami-museum-restore

他に解析ソフトウェアも整備され、強度解析や熱・流体、機構、トポロジー最適化などの解析も可能です。

このような高価な最新設備を地方の中小企業が導入することは難しいため、地方の公的機関が整備することは非常に重要であると考えます。

毎日使用するものであれば、1社での導入も効果的だが、年に数回しか使う必要がないものを1社で購入するのはランニングコストなど含め、中小企業には難しい。

地方が生き残っていくために、1社だけではなく、企業同士の連携、そして、大学、公的機関との連携が必要です。産官学連携と呼ばれるものです。

そして、導入した高機能な設備をきちんと活用できる人材の育成、確保などのサポートも重要です。企業の支援、人材の育成、これらを行える自治体の体制が必要であり、継続させることが難しいことですが、大切なことです。

最新の設備を地方に整備することで、都会に負けない新しい取り組みができます。今回の整備は製造業だけでなく、建築・建設土木や医療系、デザイナーとのコラボなども考えられます。農業や飲食とのコラボも出来たらと思っています。地方創生にもつながりますね。

地方には開発設計型の企業が少ないのが現状です。工場型・下請け型の企業が多いので、今回の最新3D機器が整備されたのを機に自社製品の開発設計に取り組む企業を全力でサポートして増やしていきたいです。

若い人も東京に行かずに地方でも自分のやりたいこと、最新の技術が学べると思えば地方に残ります。人口流出の問題も解消できるかもしれません。データをインターネットでやりとりできますから、どこに居ても仕事ができる時代です。地方にとってチャンスなのです。

私に出来ることは僅かですが、岩手県から日本の製造業を応援していく活動を今後も続けていきたいと思います。

3DdoFactory - 岩手県から日本の製造業を応援
ものづくり製造業の3次元CAD,CAM,CAE,3Dプリンタ,3Dスキャナについて学習・勉強できる情報サイト:https://3ddofactory.com

noteを最後まで読んで頂き有難うございます。 東北の岩手県北上市で3DCAD/CAM/CAE、3Dプリンタ、3Dスキャナ、リバースエンジニアリング等、ものづくりエンジニアの育成、企業のサポートをしています。地方創生・地域活性化に取り組んでいます。よろしくお願い致します。