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関白宣言 / さだまさし

はじめまして。
株式会社テラスの吉田奏哉(よしだそうや)です。

会社のnoteを間借りして、ここでは皆さんがあまり聞き馴染みのないであろう【寺院コンサルティング】という仕事について、割とプライベートな思いなどを素直に綴ります。

いわゆる「Tips」「ノウハウ」をズバッと提供できたら良いんだけど、どうやらなかなか苦手な性格みたいなので、とてものんびりと、でも長く続けていけたら嬉しいです。


企業としてのオフィシャルな見解ではない部分もあると思います。
どうぞお手柔らかにお願いします。


1つ自己紹介するとすれば、映画と音楽が大好きです。
毎晩必ず映画を観て、ずっとヘッドホンで音楽聴いてるタイプの30歳です。



2023年8月15日(火)
お盆ですね。

今日は、つい先日お会いした"お父さん"のお話をしたいと思います。

と、その前に、僕がどんな仕事をしているのか?
それをお話ししておかないとですよね。

弊社テラスは、お墓(霊園)の開発・販売をメインに行なっていて、昨今経営難と言われるお寺と一緒にお墓を運営することで、「一般のお客様にも、お寺様にも喜んでいただく」取り組みをしています。


詳しい事業内容、もしご興味ございましたらホームページをご覧ください。
(正直この連載で企業PRはしたくないというのが本音なんだけど笑)


ただ、僕はというと、実はあまり霊園開発の仕事はしておらず、
こういったnoteだったり、YouTubeだったり、業界のメディア発信の部分を主に担当しています。


さて、そんな中で。

弊社の1つの商品として、お墓をご検討だったり「終活」をお考えの方に、いわゆる「終活ムービー」をご提案しています。

ざっくり言うと「思い出ビデオ」です。
遺言ってほどじゃないけど喋っておきたいことがあるとか、自分の歴史を遺しておきたいとか、そういった皆様にご依頼いただいています。


そこで(やっと話が戻ってきた)、今回の"お父さん"のお話です。


お察しの通り、終活ムービーのご依頼者ですね。
実の父ではありません。でも、たまたま、僕の父と年齢が近い男性でした。

僕に直接連絡があり、「検討段階ではあるんだけど話を聞いてみたい」と仰っていただいたので、喫茶店で1時間ほどお喋りしました。

noteを始めるにあたって何を書こうかと悩んでいたら、真っ先にその"お父さん"が頭に浮かんだので、許可をいただいて、そのときのことを少しお話ししていきます。


今回のようにご相談を頂いたとき、僕が必ず最初にする質問があります。

「なんでムービーを撮ろう、遺そうと思ったんですか?」


・・・


ほんの少し気まずい沈黙を挟んで、

「お母さんと、娘たちと、何を喋っていいかわからないんだよね」

と少し苦笑を含んだ答えが返ってきました。


びっくりしちゃって。


「これまで頑張ってきたことを記録しておきたい」
「子供や孫に言い遺したいことがある」

てっきり、そういう答えが返ってくるものだと思っていたんですが・・・。


詳しくご経歴をお伺いすると・・・

大学を卒業後に大手企業に就職して、20代後半で奥様とご結婚。
仕事も順調でどんどん出世するし、娘も2人授かって家庭も円満。
郊外に一軒家を建てて、ちょっと良い車にも乗って。
娘は2人とも私立の中学〜大学に行かせてあげられたし、家族にお腹をすかせる思いなんて一切させずに、この歳までやってこれた。
65歳で退職して、最後は部下たちも盛大に送ってくれた。
娘2人も結婚して幸せに暮らしている。
67歳になった今、仕事も家庭も、本当に充実した人生だった・・・


『と、思ってたんですけどね?』

おや?

『最近、家にいるとお母さんには鬱陶しがられるし、娘2人はLINEも返さない。』
『それで、今年のお正月についうっかり
〈お前たちは一体なんなんだ!誰のおかげで生活してこれたと思ってるんだ!!〉
って怒鳴っちゃったんですよね』


『そしたら、うちの女3人になんて言われたと思います?』

なんて?

『〈お父さんは家族のことなんかどうでもいい最低な人間なんだから、今さら家族仲良くしようなんて、こっちこそ一体なんなんだって感じよ〉だって。』


奥様、娘様2人の言い分は、皆さんご想像の通りです。

・家事なんて一切しない、全部お母さん任せ
・学生の頃、父兄参観に来てくれたこともない
・お母さんが盲腸で入院したときすら仕事に行ってた

・・・・あと他にもいっぱい。とにもかくにも、

父親らしいこと、何一つしてこなかった。


と、相当きつく言われてしまったようです。


こんな言葉でまとめてしまうと途端に殺風景な気がしますが、

令和です。

俺より先に寝てはいけない
俺より後に起きてもいけない
めしは上手く作れ
いつも綺麗でいろ

♪「関白宣言 / さだまさし」より一部抜粋

こんな宣言しちゃったら、それはまあ大変です(笑)

あ、この歌、ちゃんと続きがあります。
こうやって一部だけ切り取ると叩かれまくりそうですが、僕はとても素敵な歌だと思っています。

そういえば、僕の友人(男性)も最近まで育休を取っていたみたいです。
つかまり立ちできるようになった!!
って深夜3時に写真が20枚近く送られてきときは流石にちょっと迷惑でした(笑)


さて、目の前の"お父さん"。

もちろん育休なんて取っていないでしょう。
「男は外で働くもの」
そうやって毎日仕事に向かい続けてきたんだと思います。


ただ、その日僕がご一緒した喫茶店での1時間、
口を開けば

『お母さんがこの前ね、、、』『お姉ちゃんは昔、、』『妹は、、』

家族のため、家族のため

って言うんです。



育休の制度だとか、男女平等の問題だとか、そんなことをここで論じる気はさらさらありません。

僕は素直に、この"お父さん"のこと

かっこいいじゃん

って思いました。



そりゃ、現に"女3人"の言うことはその通りなんでしょうし、
流石に奥さん入院したときは病院行けよ・・・なんて僕なりに思うこともあります。

「家族のため」って口酸っぱく言うのも、
もちろん本音なんだろうけど、
半分は〈そう言ってないと…〉っていうのもあるんだろうなと察したりします。

もしかしたら、時には「家族のため」を言い訳に、家族から逃げていたこともあったのかもしれません。


それでも、
"お父さん"は精一杯やってきたんです。


妹様と同い年の僕が評価するのも烏滸がましいですが、素敵だなって思います。

そして、もっと素敵だなって思うのが、

これからの家族のことを考えて、「ムービー」の相談をしてくださったことです。


"女3人"に言われたあれこれはどうやら腑に落ちていないようですし、
お正月に怒鳴り合いになっちゃって以来、長女様にはLINEを無視されているらしく、

「お盆に顔合わせるの気まずい」
「そもそもあいつ帰ってくるんだろうか」

なんてブツブツ言いながら、

「おれの人生、おれと家族の人生って、どうだったのか振り返ってみたい」

と仰るんです。






・・・初回の投稿からこんなに長い文章になってしまってごめんなさい。


だけど僕は、

この"お父さん"に会って「この仕事を選んでよかった」と心から思えたので、ぜひ最初の記事に書いてみたかったんです。


「終活」に関わる仕事をしている身として、つい「終わる」ことばかりを考えがちです。

お葬式、お墓、相続・・・

そりゃもちろん「終わり」の話です。


なんだけど、

「終わり」を考えるからこそ「今」を考えることができる

なんて前々から綺麗事としてぼんやり思っていたことが、この"お父さん"とお会いして鮮明になった気がしました。



今度"お父さん"のインタビューを撮影します。

どんな話が出るか、まだ分かりません。

だけどきっと、明日から「お母さん」「お姉ちゃん」「妹」と向き合うためのお話を、カメラの前でしてくださると思います。


・・・実は僕、昨日娘様2人のアンケートをお母様経由で取ってきました。



先んじて回答を読んだ今、とっても嬉しい気持ちがしています。



撮影前なので"お父さん"には中身は内緒です。
ネタバレしちゃ大変なので、ここにも書けません。

だけど少しだけ。

家族4人(+お孫さん)の「明日」のお話が、A4用紙にびっしりと書いてありました。


俺より先に死んではいけない
例えばわずか1日でもいい
俺より早く逝ってはいけない
何もいらない 俺の手を握り
涙のしずく ふたつ以上こぼせ
お前のお陰でいい人生だったと
俺が言うから 必ず言うから

♪「関白宣言 / さだまさし」より一部抜粋



"お父さん"にこんな日が来るのは、まだずっと先のことです。

だけど、こんな素敵な日が、少しでも素敵な日が来るように、そのお手伝いが少しでもできるなら、僕がカメラを構えている意味があると思います。



お寺を中心に、お墓や終活、
いわゆる【エンディング産業】を考える会社、株式会社テラス。

正直言って、"イケてる"感じはありません(笑)

僕は前職がテレビ局のディレクターだったんですが、毎日芸能人と仕事をして、女子アナと六本木で飲み明かしている方が、そりゃ華やかです(笑)

周りの友達には「なんで辞めたんだ」と聞かれまくりです。



だけど、それ以上に、
ぼーっとしてて、マイペースでわがままで、そのくせ気が弱くてすぐ泣き出すような僕が、僕なりの発信・表現で誰かの役に立てるならと、
この業界を選びました。



僕のnoteを読んだからって今すぐに何かの役に立つ情報なんか書いてありません。(恥ずかしい)

それでも、こうして最後まで読んでくださったあなたが、そしてあなたのご家族が、お友達が、より素敵に「生きて」いくための

【息抜き】

になればと願います。




それでは、また。





p.s.

こんなお話しを書いておいて大変恥ずかしいんですが、
「仕事だから」
と実家に帰省せずにいるのが、まさに今の僕です。

姉から送られてきた父の写真が、前に見たときより痩せてて少し寂しい気分です。なのに僕のLINEの返事のそっけなさ・・・。

「僕自身のためにも、この連載を続けていこう」
なんて、今日もわがままに思っている親不孝者です。



おわり


#あの選択をしたから #転職 #吉田奏哉の堂々巡り

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