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小3の私が書いた創作小説を読んだら、今の自分が見えてきた。


お久しぶりです。いとうです。
新年早々、箪笥の中をゴソゴソしていて、面白いものを見つけました。

それがこちら。

今から15年ほど前、私が小学校3年生の頃の「作文つづり」です。

ペーパーファイルが懐かしい。

中でも衝撃的だったのが、当時の私の創作小説、その名も「ドキドキドキの大ぼうけん」。山あり谷あり、冒険物のファンタジーでした。

国語の授業で「物語を書こう!」という課題があったのでしょう。
やたら分厚いなと思ったら、原稿用紙28枚にわたる超大作です。
(周りの子は平均4-6枚、多くても10枚ぐらいだった記憶があります…。)

超大作の1ページ目。

軽い気持ちで読み始めたら、予想をはるかに上回るクオリティで驚いたので文字起こしすることにしました。

誤字脱字には訂正を入れましたが、基本的に当時の表記そのままになっています。読みにくいかと思いますが、ほっこりとお楽しみいただけると嬉しいです。

それでは、どうぞ。

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『ドキドキドキの大ぼうけん』 

 海希(みずき)と天多(てんた)は、仲良しのおさななじみ。ふたりとも元気いっぱい。

 そんな二人の町には、海ぞくがのっていたと言われている、ぶきみな船がありました。海希と天多は、その船でたんけんしていました。すると、そこに、ロープでしばられたビンが、落ちていました。そのロープをほどき、中を見ると、そこには宝島の地図が入っていました。海希と天多はさっそく宝さがしの旅にでました。
 
 でも、どこの道を通っても、いろいろな物に道をふさがれています。海希と天多は考えました。そして、相談したけっか、大きな丸太があり、たぬきのような動物がいる、少し遠いけど、一番安全そうな道をえらびました。

 天多と海希がもっているのは、50cmくらいのロープだけ。それに気づき、天多は、
「あーあ。ぼくたちロープしかもってきてないよ!もうちょっと何かもってくるんだった!!」
と、さけぶように言いました。でも、海希は、
「大丈夫。なんとかなる!」
と、はげましました。天多は、はげまされたので元気をとりもどしました。

 二人は歩きだしました。すると、前方にけっこう太くて大きな丸太があらわれました。
「えっ!どうやってのぼろう?」
天多は海希に問いかけました。そこで、海希は、いい考えがうかびました。
「そのロープで、なんとかならないかなあ。」
すると、その言葉がこたえだったように、天多が声をあげました。
「そうだ!このロープを、えだにひっかければいいんだ!」
その考えには海希も大賛成。さっそくロープのさきを少し丸め、それを、そこらへんに生えている草でしばりました。そして、それをえだに、うまいことひっかけて・・・。
「よし、できた。」
海希と天多はこれで、1つめのさいなんを、のりこえました。

 そして、少し進むと、オレンジ色の実がなっている大きな木が、見えてきました。
「少し休んでいこう。この木の実おいしそう。」
天多が、今にもよだれをたらしそうな顔で言いました。それに対して海希は、
「しかたないなあ。」
と言い、オレンジの実を、二つ、もぎとりました。二人は、ハグッという音をたてて、オレンジの実に、かぶりつきました。そのしゅんかん、海希と天多は、どうじに、さけび声をあげました。
「おいしい!」
その実が、とてつもなく甘く、ジューシーだったので、二人は、3つ、よぶんに実をとっておきました。 

 そして、元気になった二人は、また進みだしました。すると、川が見えてきました。天多は、
「川が見えてきたよ。」
と言いました。海希は、
「でも、何か、キツネっぽい生き物がいるよ。」
海希はそれに気づきました。天多も言われてやっと気づきました。
「どうやって通りすぎようか。」
「よく見ると、あのキツネ、ずっと、あの木を見ているよ。あの実をあげてみたら?」
天多は、うまくいくかどうか、少し、しんぱいだったけど、
「そうだね。やってみよう。」
と、さんせいしました。
「じゃあ、いくよ。」
海希の声で、天多もキツネに近づいていきました。そして、そこから、さっきとった実を、キツネにむかって、ほうりなげました。すると、みごとにキツネの前に、
”ポトリ”
と、落ちました。海希と天多は、
(よし)
と思い、横の草の所を、そうっとそうっと通りすぎようとしました。でも、思うようにはいかず、キツネは、ペロリと、すぐに実を食べてしまったのです。海希と天多は、すごいいきおいで、走りだしました。でもキツネは、どんどんおいかけてきます。海希と天多は、橋に向かって走っています。そして、やっと橋に足を運ぼうとしたしゅんかん、
”ザバーン”
海希と天多は、ワナにかかって、川に落ちてしまったのです。

 でも、それもラッキーでした。キツネは、とつぜん川に落ちた海希と天多のことを、消えてしまったと思い、ひきかえしていったのです。海希と天多は、ラッキーだけど不幸(アンラッキー)だと思ってしまいました。
「アハハハハ。」
二人は、川から、はい上がりながら、わらいだしました。だって、二人とも、ベチョベチョです。
「じゃあ、進もうか。宝物は、もうすぐだよ。」

 二人は、また進みだしました。また少し歩くと、ゾウが見えてきました。海希は、けっこう動物好き。ゾウを見たしゅんかん、
「わあ♡ 白いゾウだあ♡」
と言って、ゾウの方に、かけよって行きました。天多が止めるまもなく。天多は、そのゾウを、てきだと思っていたのです。でも、海希はゾウと、楽しそうに遊んでいます。それに対してゾウも、とても楽しそうに相手をしています。それを見て、天多も、
(ま、大丈夫か)
と思い、海希とゾウのいる所に、かけよっていきました。そこで、ふしぎなことに、気がつきました。なんと、ゾウがしゃべっているのです。こういうふうに。
「ねえ。ゾウさん。私たちを、宝物の場所まで、運んでくれないかなあ。」
「いいよ。でもね。一つ、たのんでもいいかな。」
「いいよ。なあに?」
「実はね、あの火山がふんかして、こまっているんだ。火山を止めるには、ぼくのもっている、この石を、火山の下にあるどうくつから、のぼって、火山の穴に入れてこれば、火山のふん火は止まる。ぼく、石が上から落ちてくるのもこわいけど、火山の下のどうくつの中に、何があるかわからないし、その中に入るのもこわいんだ。あの火山のふんかを止めてくれるなら、あの宝物は、ぜーんぶあなたたちにあげるよ。」
ゾウが、悲しそうに言いました。海希は、それを聞いて、ゾウが、かわいそうになりました。だから、
「いいよ。」
と、こころよくひきうけました。ゾウは、感げきしたような顔で、
「ホント!?ありがとう!じゃあ、これから火山までつれていってあげるよ。」
「ありがとう。」
ゾウは、歩き出しました。ゾウのせなかにのっている間、二人は、もっていた、オレンジの実を一つずつ食べました。
「ついたよ。」
ゾウの声で、二人はゾウのせなかから、おりました。
「じゃあ、いってきます。」
二人は、ゾウから石をあずかって、どうくつに入っていきました。

 どうくつの中は、うすぐらくて少し気味わるかったけれど、ひきうけたものは、あともどりできません。
「よし。いこう。」
二人は、どうくつの、おくの方に入っていきました。
  バサバサバサ・・・
「ひえっ!」
海希と天多は二人同時にさけびました。でも、まわりに、こうもりがとんでいるのを見て、なあんだと思い、
「私は、こうもりだって、わかっていて、天多のために、『ひぇ!』って言ってあげたんだもんね。」
「うそつけ。本当はこわかったくせに。」
「ちっちがうもん!」
と。いいあいがはじまってしまいました。でも、天多は、ヤバいと気づきました。だから、
「いまは、そんなこと言ってる場合じゃないよ。早くふんかを止めなきゃ。」
「ほっほんとだ。」
天多は、言ってよかったと思いました。本当は、うまくいくか、ちょっと不安だったのです。
(よし。)
そう思って、どんどん進みはじめました。

 てっぺんについたころは、もう二人とも、ヘロヘロ。
「あう~」
「ほへー」
「づ、づがれ゛だあ゛」
「ちょっと、きゅうけいしよう。」
ということで、二人は、少しの間、かべにもたれ、休けいしていました。すると、どんどん回ふくしていき、ヘロヘロじゃあなくなってきました。元気になると、二人は、火山の穴の、石がとんでこないぎりぎりの所まで行き、二人同時に、
「せえの!」
とさけび、石を、穴の中に、なげこみました。

  パァァァァァァ

目もあけていられないほどの、まぶしい光が、二人のまわりをつつみこみました。
「わあ!」
「きゃあ!」
やっとまぶしい光がおさまって、二人が目を開けると、火山のふんかは止まっていました。そして、羽のはえた、水色のくつが二足、二人の前に、おかれていました。

「これは、なんだろう。はいてもいいのかなあ。」
「いいんじゃない?」
こういうことで、二人は、そのくつを、はいてみました。すると、二人とも、スッポリ足が、はまりました。すると、女神のように、きれいな声が、きこえてきました。その声は、こういいました。

”そのくつをはいて、ジャンプしてごらんなさい。あなたたちは、空をとべるでしょう。”

それを聞いた海希は、
「私たち、とべるの?」
「そう・・・みたいだね。」
二人とも、とても不安でしたが、とべるのなら、とびたいのです。

 二人は、おもいきって、ジャンプしました。すると、
   
   フワリ

二人の体が、ういたのです。
「わあ」
海希は、空中で、一歩、歩いてみました。歩けます。
「すごい!歩ける!ういてるよ。」
「本当だね。じゃあ、宝物の方に行こう。」
二人は、空中を、うまくりようしながら歩きだしました。

 宝物の前に、つきました。そこではゾウが待っていました。
「ありがとう!本当に、ありがとう!」
ゾウは二人にだきつきました。
「宝物はやくそく通り、あなたたちにあげるよ。」
「よし、じゃあもって帰ろう。」
箱をかかえて、持っていこうとする天多を、海希は止めました。
「ちょっとまって。そのお金は、動物たちに半分あげて、この島を、人間とふれあえる島にしない?」
「・・・」
「きっとここの動物たちも、よろこぶよ。」
「・・・」
「そうすれば、私たちも、またここにこれるよ。」
「そう・・・だね。」
「ね。」
「ねえゾウさん、それでもいい?」
ゾウはうれしくてたまらないという顔で、
「うん!ぼく、なかまに、そのことをつたえてくるよ!」
「いってらっしゃい!」

 しばらくすると、ゾウは帰ってきました。とってもうれしそうなひょうじょうで。
「みんな、とってもうれしがってたよ。」
「ほんとう!?」
「やったあ」
「だから君たちは、そろそろ、そのくつで、帰った方がいいよ。一年ごくらいには、ここは、宝さがしをする場所になっているよ。あと、ここにきたい時は、君たちの、そのくつに、『行きたい』と言えば、まほうのくつは、ここに、いっしゅんで、はこんでくれるよ。」
「じゃあ、今日は、いったん帰ろう。ひまな時は、毎日でもこよう。ここの動物は、もうこわがることはない。」
「そうだね。今日は、いいぼうけんができたよ。」
「うん!またきてね。こちらこそありがとう!家に帰りたい時は、くる時と同じように、『帰りたい』といえばいい。」
「じゃあ、さようなら!」
そして、二人同時に言いました。

「帰りたい!」

 すると、いっしゅんで、いままでいた島のふうけいが、家の近くのふうけいに、かわっていました。
「・・・?」
「?・・・」
「もう、ついちゃったの?」
「はやかったね。」
「あれは、ゆめだったのかなあ。」
そう言い、海希は、自分のはいている、くつを見ました。
「・・・。」
「いつものスニーカーだ。」
「あの空とぶくつは?」
「やっぱりあれは、ゆめだったのかなあ。」

 すると、

  ドダダダダダ

 むこうから、ものすごい音が、聞こえてきました。二人がふりむくと、二人のお母さんが、もうダッシュで走ってきています。
「わあ!お母さんたち!」
「ヤバッ!かってに家出てきちゃったんだった!」
「こらあ!二人ともどこにいってたの!」
「ええっとお」
「えっとお・・・じゃないでしょ!二人ともどこいってたの!」
「ぼうけんしてたんだ。」
「ぼうけんもなにもないでしょ!」
「ハァー」
二人は、これで、ぜったいに、ゆめだったとかくしんしました。

 でも、1年ご、
「あれから1年たったね。」
海希が天多に話しかけました。
「あっそうそう!ビッグニュースなんだ!この新聞を見て!」
その新聞には、こう書いてありました。

『去年、海の向こうに発見された無人島が、今年から、子どもたちが、あそべる、宝さがしの島になっている!』

とね。

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以上、当時小学校3年生だった私が授業で書いたファンタジー小説「ドキドキドキの大ぼうけん」でした。

親がよくやっていたゲーム「ドラゴンクエスト」や、当時読み耽っていた児童書「マジック・ツリーハウス」の影響も随所に現れていますね。(空飛ぶ靴はそのままドラクエに出てきたアイテムのはず。)

当時は自分の中にある物の組み合わせしかアウトプットできなかったことが悔しくて「どこにでもありそうな、2番煎じの冒険物を書いてしまった…」と落ち込んでいた気がするのですが、
今の凝り固まった私の頭では、こんなにピュアな小説は書くことができないな。羨ましい。というのが15年経った今の私の率直な感想でした。ちゃんとオチまでついているし、お話として純粋に面白かった。

お話の内容ももちろんですが、言ってしまえば、ただの国語の課題。
数枚適当に書けば終えられるところを、休み時間を返上して取り組んだ当時の自分を素直に尊敬するし、私って楽しいことならいくらでも没頭できるタイプだったんだなぁと、改めて気づかされました。

書き出したらどんどん話が膨らんで止まらなくなって、「あ、どうしよう、これ終わらない!」と困っていた覚えがあるので、たぶん半分無理矢理終わらせたんじゃないかな(笑)。本当は何度も島に通ったり、ゾウや他の仲間たちとの交流も書きたかったはず。

大きな強制力もない中で、想像力とアイデアを詰め込んだ、のびのびとした文章。

ここ最近色々あって「自分はダメダメだなぁ…」と思うことも多かったけれど、
15年前の自分から、「なんでもいいじゃん。あんた楽しいことならいくらでも頑張れるんだから、無理せず自由に頑張れよ」と、そっとエールを貰ったような気持ちになりました。

ちょうど、新しい一年が始まったばかり。
このタイミングで掘り起こせて良かったです。
2024年、楽しむかどうかは私次第。

15年前の自分に負けないように、私も前を向いて、のびのび頑張ろうと思います。ありがとう小学校3年生の自分。

私にとっても、皆さんにとっても、良い一年になりますように。
一歩ずつ、ぼちぼちと、進んでいこう。

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