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シン・映画日記『ひみつのなっちゃん。』

丸の内TOEIで滝藤賢一主演映画『ひみつのなっちゃん。』を見てきた。

ドラァグクイーンたちのロードムービーで、亡くなったドラァグクイーン仲間・なっちゃんの生まれ故郷・岐阜県の郡上八幡での葬式に参列することになったバージンとモリリン、ズブ子。そこで3人はなっちゃんと参列する3人が「ドラァグクイーンであること」をなっちゃんの親族に隠しながら参列する、という悲喜劇。

主人公はバージンとモリリン、そして人気オネエ系タレントでもあるズブ子で、3人はドラァグクイーン。
基本的にはこの3人のドラァグクイーンの友人・なっちゃんが亡くなってしまった後の自分らの周りのエピソードから、岐阜県の郡上八幡までの珍道中、そして郡上八幡での葬儀とその周辺のドタバタ劇といった展開で、
いわゆる弥次喜多ものをベースにした現代ニッポンのドラァグクイーンロードムービー。

ドラァグクイーンというよりは、カミングアウトしてない相手に対していかにドラァグクイーンであることを隠し通すかであり、そこを隠したくてもポロポロと仕草等が隠し通せない3人の苦しさが面白くある。

ドラァグクイーンに対する扱いはあくまでも一般人目線なので、クラブやお店のシーンにしろ、テレビでオネエタレントとして取り上げられて道行く人たちにも声をかけられる様子、インターでのトラック野郎とのやり取りやスーパー店員のシーンなど、
どれもステレオタイプなイメージではあるが、
今のニッポンの弥次喜多もの✕ドラァグクイーンの映画としては無理なく、ナチュラル。
たしかに偏見的な部分が数多くあるかもしれないが、
それこそが今のニッポンのドラァグクイーン・多様性に対する包み隠さない現状ではないだろうかと思うし、ちょっと似たような弥次喜多もののコメディとしては『真夜中の弥次さん喜多さん』よりかは好感がもてた。

後半のダンスシーンは『シカゴ』のキャサリン・ゼタ・ジョーンズとレニー・ゼルウィガーっぽいな、って思ったらやはりそういう狙いらしい。

「ドラァグクイーン隠しのロードムービー」となってしまったことで、ドラァグクイーンの世界への踏込みがさわりだけのような感じであるのは残念だが、やむを得ないかな。そういう本格的なドラァグクイーン実態的なものは「クローズアップ現代」や「ザ・ノンフィクション」、あと東海テレビ制作のドキュメンタリー等で取り上げればいいかな、と。
むしろ、隠しきれずにギリギリまで普段の昼間の3人たちのままで旅をしたり、葬儀に参列する直前で完璧に隠そうとパリッとする3人の格好良さ、
そこからの葬儀での真実などじんわりとくるドラァグクイーンコメディ映画だったかな。

初主演の滝藤賢一も髪を伸ばして「こういう長髪イケオジ、いるねー」という感じで良かったし、
前野朋哉、渡部秀もインパクトがあった。

個人的にはドラァグクイーン弥次喜多珍道中としてそこそこ楽しめた。

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