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シン映画日記『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』

TOHOシネマズ池袋にてヴィン・ディーゼル主演、『ワイルド・スピード』シリーズ最新作『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』を見てきた。

通算10作目で、元々はストリートレース、カーレース等レーシングバトルとカーマニア要素が主体のカーアクション映画だったのが、4作目『ワイルド・スピードMAX』から『オーシャンズ11』や『007』、『ミッション:インポッシブル』といったスパイアクションと『TAXi』や『トランスポーター』のようなカーアクションを融合させたスーパーカーアクション映画を毎回展開し、本作から新たなる三部作の始まりとなるが、
本作はこれまでのスーパーカーアクションからさらなる進化を遂げることになった。

5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』に出てきたリオを牛耳る悪徳事業者のエルナン・レイエスの息子ダンテが、亡き父の報復としてドミニクとそのファミリー並びに彼らの関係者らを復讐をしかける。

ストーリーはドミニク視点、ドミニクの弟ジェイコブの視点、ローマンとハン、ラムジー、テズらの別働隊となるテクニカルチームの視点、途中でイタリア憲兵隊に拘束されるレティの視点、そしてダンテの視点と群像的に展開。
ドミニクらファミリーへの復讐というか攻撃は7作目の『ワイルド・スピード SKY MISSION』においてジェイソン・ステイサムが演じるデッカード・ショウがドミニク・ファミリー対して行っていた攻撃にも近いが、
ジェイソン・モモアが演じるダンテ・レイサムによる攻撃は中性子爆弾を次々と使うことから、ソシオパスの傾向の強さも相まって悪役としてスケールが大きい。言動もそうだが、70〜80年代の人気プロレスラーだったブルーザー・ブロディに似たルックスのジェイソン・モモアのいかつい雰囲気もいい。
時おり、建物のてっぺんから両手を広げて下界を見下ろすショットがあるが、これがリオデジャネイロの象徴でもあるコルコバードのキリスト像にそっくりで、あたかもダンテの攻撃が天罰を示すかのようでもある。

本作は従来の『ワイルド・スピード』シリーズで見せてきたスーパーカーアクション要素にMCU作品のような街を破壊するヴィランが出てくるアクション映画の要素を取り入れている。
つまり、本作はスーパーヒーローを『ワイルド・スピード』シリーズのドミニク・ファミリーに置き換えた映画とも言える。

そしてタイトルに「ファイヤー・ブースト」とあるように本作の爆破による爆風と猛火が襲うアクションがガツンとあり、こうしたアクションが3、4つありテンションが上がる。
そのレベルがあきらかに『ワイルド・スピード』シリーズにおいても屈指のレベルで、これを見るだけでも見た甲斐がある。

後半は最後の三部作とあってかなり思い切った展開もあるが、ラストがね………え?そこで終わり?と思っちゃう終わり方。
『ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス』と『ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション』の終わり方ぐらいのぶった切り方で、
次回作の原題が「Fast X Part 2」だもんね。
最近、邦画でも『鋼の錬金術師』や『東京リベンジャーズ』でも前後編に分ける作りにしてたけど、あれだと作品単体の評価は微妙だよね。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』と『アベンジャーズ/エンドゲーム』も前後編の作り方だけど、これは前者の場合はラストの指パッチンによる悲劇と後者の大集結バトルでそれぞれ味がある。
本作のぶった切り感は「ちびまる子ちゃん」の前後編になってる作品で前編が終わる時に入るキートン山田による「後半へつづく」というナレーションが聞こえてきそうな終わり方なんだよね。

まあ、それでも次々と繰り出される危険極まりないアクションの連続で満足度は高い『ワイルド・スピード』シリーズの最新作である。


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