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蔵出し映画レビュー『モガディシュ 脱出までの14日間』

ソマリアは薄っすら知ってるぐらいで、首都モガディシュにいたってはよく知らないぐらいで見た『モガディシュ 脱出までの14日間』。これ、見事に韓国の内乱、暴動ものの映画を応用して、アフリカの内戦での出来事に上手くアジャストしており、韓国の社会派ドラマ映画とアフリカの少年兵やテロリストが出てくるような映画をエンターテインメント映画として昇華させている!

まずは、モガディシュの内戦の荒れ模様や、銃を持った兵士や少年兵がうようよしているヤバさがよく出ている。アフリカを舞台にした『ジョニー・マッド・ドッグ』や『魔女と呼ばれた少女』等に出てきたギャングのような少年たちや、『ホテル・ルワンダ』に出てきたフツ族の過激派のような非常にヤバいシチュエーションを再現できている。この辺りは監督・脚本のリュ・スンワンのリサーチ力と言えよう。

これに韓国の大使館と北朝鮮の大使館の南北朝鮮の人たちの呉越同舟も見どころポイント。この感覚は『コンフィデンシャル/共助』と同じようでいて、1990年のそれとなるとシビアなものになっている。特に北朝鮮側の人たちのやむを得なさ加減にグッとくる。
圧巻は終盤の攻防。攻防というか“攻”はできないから、銃であり得ないほど撃たれまくる中での車複数台での逃亡劇。さながら『マッドマックス2』を彷彿させるスリルとアクションが詰まっている。

舞台は違えど、『タクシー運転手 約束は海を越えて』や『光州5・18』、『1987、ある闘いの真実』に並ぶ韓国社会派映画に並びつつ、これにエンターテインメント性も加わっている。韓国でNo1の成績だったのも頷ける傑作。韓国映画の底力を痛感した!

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