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シン・映画日記『殺人美容師 頭の皮を剥ぎ取ります』

シネマート新宿で『殺人美容師 頭の皮を剥ぎ取ります』を見てきた。

美容師クレアが嫉妬や強迫観念から頭をセットしている相手の頭皮を剥ぎ取り、惨殺する。
いわゆるサイコパス・スリラー/サスペンス。

元はジル・ガヴァーギジアン監督の短編作品『The Stylist』で、これを自ら長編化させたもの。

序盤は客のドーンが、
中盤から近々チャーリーと結婚予定で近所のカフェで働く友人のオリビアがターゲットに。

ターゲット以外にも殺戮シーンがあり、わりと容赦無いし、肝心の頭皮剥ぎ取りシーンはグロくてバッチリ。

ただ、元々短編映画だったからか、
クレアの心理描写や奇行だけでは間が持たないのか、若干間延び気味な展開で、脚本が弱い。
あと、肝心の凶行のシーンもグロいけど…痛み苦しんではいないんだよね、やられた人が。あれ、どうなんだろ?あの演出ってちょっとリアルさを欠いていたんじゃないかな。
凶行に及んだ後、ある部分をコレクションするんだけど、臭くないのかな?
そういう部分がいい加減。

それにナジャラ・タウンゼントが演じる主人公・クレアが綺麗すぎて(筆者のかなり好みのタイプ)、
客や友人への嫉妬に説得力がない。
加えて友人のオリビアよりもクレアの方が綺麗だし、ドーンと比べてもどちらも美人だから、
まさしくドーンが言ってる「隣の家の芝生の方が青く見える」状態なんだよね。
オリビアの友人や同僚、近所の女のコと比べてもクレアは明らかに美人で、
だからこそ単に強迫観念と行動がおかしさが際立つとも言えるかな。

それでも主人公クレアの内気で鬱屈した感じは出ているし、
サイコパスな部分は『ジョーカー』のアーサー(ジョーカー)だったり、美容室での仕事の風景というか客と仕事人の関係は『ナイト・オン・ザ・プラネット』や『タクシー・ドライバー』の乗客と運転手の関係っぽくもあったり、クレアのアパートの地下にある部屋での様子は『オペラ座の怪人』とも『サイコ』のノーマン・ベイツみたいでもあり、いろんな映画の要素はまぶされているようにも感じられた。

加えて、クレアやオリビア、その友達の衣装が良かったり、当然ながらヘアスタイルもいいし、
暗めの店内や部屋の中の照明の使い方も良し、
チラシや小道具もいいし、
あとSEも良かったりなど、
美術、ファッション、ヘアスタイル、照明、小道具、音楽など、脚本以外でいい要素がいっぱいある映画だったりする。

しかしながら、脚本の詰めが甘い映画で、
それが全てかな。
ラストも予想通りのオチなのにふんわりとした終わり方だったし。色々残念でならない。
が、タイトル(邦題)そのまんまの映画なにしてはそこそこ楽しめたかも。


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