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日本三大そばを食べてきた

 食欲の秋に食べたい新蕎麦。香りのよいそば。10~12月に食べられる秋の味覚。各地で個性あるそばが食べられてます。今回は、日本三大そばについてまとめました。日本三大そばは、岩手県のわんこそば、長野県の戸隠そば、島根県の出雲そば。各地、異なる食べ方ですが、おいしいことは変わりありません。

わんこそば(岩手県) 

 「わんこきょうだい」というゆるキャラも誕生しているほど、知名度の高い岩手県の郷土料理です。わんこそばのイメージといえば、お椀に盛られたそばをたいらげて、次々とお代わりしていうイメージがあります。しかし、岩手県内でも地域によって歴史や食べ方に特色があります。一方で、各地のわんこそばの共通点は、一口大に盛られたそば、豊富な薬味、てんぷら、とろろなど充実した一品料理が提供されたおもてなし料理であること。飽きさせない工夫が施されています。

歴史

花巻説
 1600年前後、豊臣時代から徳川時代へ変化する頃、南部家27代目当主南部利直が江戸に向かう途中に花巻城に立ち寄りました。そのときに、お城でおもてなしとして漆器のお椀にそばを一口分ずつ出して提供したところ、気に入って何度もお代わりをされました。これが、わんこそばの原型となりました。明治以降は一般客にも振る舞われるようになりました。当時は宴会や冠婚葬祭など大勢集まる場所でシメとして食べられてました。
 名前の由来は、お椀に盛ったそば+岩手県で語尾に「こ」をつけたこと。
 花巻市出身の斎藤市太郎さんが盛岡で始めた「わんこや」(閉店)が「わんこそば」を商標登録し、戦後から盛岡でもわんこそばが食べられるようになりました。

盛岡説
 盛岡出身の政治家・原敬元首相が帰省して大好物のそばを食べたときに、「そばはわんこに限る」と言ったことが広まった説。原首相夫婦で新しいそばの提供方法て考えて、さまざまな薬味を盛り付けできるように、中ぶた付きのお椀を提案しました。当時、頻繁に利用していた直利庵の店主が、そのアイデアを改良してわんこそばが誕生したと言われています。

特徴

盛岡、花巻(岩手県中部)
 岩手県中部では、「はい、じゃんじゃん。はい、どんどん。」という掛け声とともに、お椀に一口大の蕎麦が提供されます。満足するまでお代わり自由。ねぎ、のりなど定番からなめこおろし、マグロなど変わりものまで、さまざまな薬味を少しずつ入れて味の変化を楽しんだり、小鉢など一品料理で箸休めしながら食べるのがおすすめです。空のお椀をテーブルの上に重ねていくので、食べた杯数を数えることができます。ちなみに、15杯で約1杯のかけそばに相当します。お椀にフタをするとごちそうさまの合図になります。
 花巻、盛岡のわんこそばは「大食い、早食いの競争」ではなく、茹でたてのそばの風味を楽しむために考案された料理ですので自分のペースで食べましょう。

平泉、一関(岩手県南部)
 岩手県南部では、お椀に一口大の蕎麦が盛られた状態で1セット提供される「盛り出し式」。鮪の山かけ、なめこおろし、筋子、鰹節、のり、ねぎなどさまざまな薬味が用意され、お椀に薬味を入れて味わいます。シンプルかつ豪華なそばを味わうことができます。

そば処 義家

 今回は、平泉でわんこそばを堪能しました。世界遺産、中尊寺の道中にある蕎麦屋さん、「そば処 義家」。今回はノーマルの一重(1550円)をいただきました。リッチな義経(2550円)もおススメ。12杯のお椀に盛られたそばをとろろ、ねぎ、わさびの薬味とともに味わいます。地元で採れた山の幸を使用した小鉢もあり、平泉の食も体験できます。
 中尊寺を訪れるときに、立ち寄るのがおススメです。

cお椀に一口大に盛られた12杯のそばがズラリ


そば処 義家
営業時間 10:30〜15:30
定休日  不定休
アクセス JR平泉駅から徒歩25分

戸隠そば(長野県)

 長野駅からバスで70分。戸隠神社を中心にして集落のある長野市戸隠地区。そこで食べられているのが戸隠そば。長野県は、平均標高が高く、冷涼な気候と痩せた土壌の影響で稲作に向かない地域でした。そのため、そばを主食としており、県内各地で信州そばが食べられています。その信州そばの最高峰が戸隠そばです。
 平安時代から戸隠は戸隠神社を中心に霊場として栄えており、山岳修験者の携帯食としてそば粉が用いられそばかきとして食べられていました。
 江戸時代、寛永寺から当時の戸隠山・顕光寺に「そばきり」の技が伝えられ、現在の形になり、おもてなし料理として発展しました。
 戸隠そばは、ざるそばがおススメ。特徴はぼっち盛り。ぼっち盛り(法師盛り)とは、円状のざるに1口大に分けて1輪造り、それを5輪並べた盛り付け方。5輪の意味は、戸隠神社5社になぞらえており、一輪一輪が人魂の形を表しているなど、戸隠の山岳信仰に関係あるといわれています。また、戸隠山や飯縄山など、戸隠の山々の冷たい伏流水で麺をシメることによって、コシが生み出されます。11月1日、戸隠神社にその年にとれた蕎麦で打った新蕎麦が奉納され、戸隠の新蕎麦のシーズンが解禁。年内の2ヶ月間、新蕎麦を楽しむことができます。
 一本の長い麺棒で丸く延ばされる生地、麵切り工程をガラス越しで見られるお店もあり、職人芸を知ることができます。打ち立てのそばが29店舗食べられます。蕎麦屋さんの一覧は、戸隠観光協会のHPに記載されてますので、下の参照サイトからアクセスすると確認できます。

岩戸屋

 今回は「岩戸屋」でざるそばをいただきました。戸隠神社中社から徒歩5分のところにある蕎麦屋さんで、多くの著名人のサインもずらりと並んでいます。つゆにねぎ、八幡屋礒五郎の七味、わさびなど薬味を加えて一輪ずつ、蕎麦のコシや香りを味わいます。シメの蕎麦湯もおいしいです。
 戸隠観光のときに、戸隠神社へ参拝しつつ、そばも味わいましょう。

ざるそば 950円

岩戸屋
営業時間 8:30〜17:00
定休日  不定休
アクセス 戸隠バス停から

出雲そば(島根県)

 島根県東部の出雲地方で食べられているそば。出雲地方で蕎麦が食べられるようになった理由は、松江藩の初代トップ松平直政が信濃松本藩から赴任したときに、蕎麦職人を連れてきたからだと言われています。ソバの実を殻を向かずそのまま挽くため、見た目は黒いそばであり、香りも栄養素も豊かです。冷たいそばは、割子そば、温かいそばは、釜揚げそばがおすすめで、どちらもつゆをかけて食べます。今回は、割子そばをいただきました。

割子そば

 江戸時代、松江では、お弁当感覚で四角い重箱にそば、土瓶のような容器につゆを入れて持ち運ぶスタイル。食べるときに重箱を開け、つゆをかけてからいただきました。そばの容器の重箱のことを割子と呼んでおり、それが割子そばの始まりです。しかし、四角形の器は角が洗いにくく、不衛生との理由から、円形の漆器に変化しました。一方、つゆをかけて食べるスタイルは今も続いてます。
そばは、甘皮を挽いたそば粉につなぎとして少量の小麦粉を入れて打っています。黒みがあって短く太いのが特徴です。紅葉おろし、ネギ、海苔など、さまざまな薬味を載せて食べます。

八雲そば

 今回、出雲そばを食べたお店は、出雲大社近くの「八雲そば」。
 赤い丸い漆器に収められた3段のそばが割子そばの特徴。3段のそばには、それぞれ異なる薬味がのせられています。ねぎ、大根おろしorもみじおろし(唐辛子で和えて赤く染まった大根おろし)、のりがベース。上段には、とろろ、中段は、ウズラの卵、下段は天かすがメインのトッピングとして存在感を示します。
 本場の食べ方は、上段につゆをかけてから食べて、余ったつゆを中段へ移し、同様に食べ、さらに余ったつゆがあれば、下段のそばにかけて食べます。最後に、余ったそばつゆをそば湯で味の濃さを調整して飲んで栄養補給。そば湯はそばから溶け出した栄養がたっぷりあります。塩分の気になる方はストレートがオススメ。麺の茹で汁のため、そばの風味が味わえ、栄養もとれ、身体がポカポカと温まります。
 出雲大社の参拝帰りに立ち寄ることをおススメします。

 三段割子 1170円
上段はうずら、中段はとろろ、下段は天かす

八雲そば
営業時間 9:00〜17:00
定休日  木曜日
アクセス 一畑鉄道出雲大社前駅から徒歩15分

紅葉とともに味わうそばは格別です。

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参考文献



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