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中国が不況になると中国人の暮らしはどう変わるのかを考えてみた

「中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル」という本を読みました 本書は中国人の大多数を占める中国農村の人々がどのような行動原理を持っているか、その行動原理が現在の中国の経済状況と政策の下でどんな結果をもたらしているかを解説したものです。 それでは、もし中国が不況になったら、彼らの行動原理はどのように作用して彼らの生活を変えるだろうか?と私は色々と想像をめぐらしました。 今回の記事では、私のそれらの予想を書き連ねたいと思います。 なお、本記事のタイトルにある中国人

    • 感想:〈怪奇的で不思議なもの〉の人類学の第1部:妖怪学の今までとこれからが展望できる良書

      本記事は「〈怪奇的で不思議なもの〉の人類学」の第1部を読んだ私の要約と感想です。 私の理解不足から著者様の意図とは異なる解釈をしている可能性が高いので、本記事を読んで誤った先入観を抱くのを避ける為に、なるべく書籍を読んでから本記事を読むようにしてください。 本書の構成本書は3部構成になっており、妖怪について論じたのは第1部です。第2部は民間伝承の幾つかを取り上げて分析し、第3部はネット怪談について論じています。 第1部は3章構成になっており、1章は明治から1970年代まで

      • 芸術家は自分の作品のテーマくらいは勉強してほしいと思ったことについて

        基本的に私は芸術家を尊敬しています。 人類の歴史の主役は芸術家であり、どんな優れた政治家、科学者、企業家も、軍人も、歴史の脇役に過ぎないと思っています。 芸術家以外は歴史の中で忘れ去られ、消えていくだけです。 もちろん芸術家自身も忘却の彼方に消えていくでしょうが、芸術家の作品だけは人類の歴史の最後まで残るでしょう。 人類史の目的は優れた芸術を生み出す為にあるとさえ私は信仰しています。 その芸術を生み出す主体である芸術家へ私が抱く尊敬は、とても深いものです。 その上で、言いま

        • PCR検査抑制論にみる、無知と政治的党派性の融合による愚かさについての考察と自戒

          問題提起:PCR検査抑制論とは何か「コロナ対策には、全ての人がいつでもPCR検査を受けられるようにすべき」という主張をする人達がいます。ですが、後述するようにこのような対策は百害あって一利なしの誤った対策です。 当然、多くの医師はそこのことを知っているので、PCR検査を徹底的に行うことに反対し、マスクの着用とワクチン接種の推進を優先すべきと主張しました。 日本政府、自民党は、医師達の主張の方を採用し、結果的に日本のコロナ対策は世界的にも優秀と称賛されることになりました。

        中国が不況になると中国人の暮らしはどう変わるのかを考えてみた

        • 感想:〈怪奇的で不思議なもの〉の人類学の第1部:妖怪学の今までとこれからが展望できる良書

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          清水俊史氏の学説をめぐる仏教学の論争を見て思ったこと

          先日、仏教学の世界で清水俊史氏の学説をめぐって論争が起きていることを知りました。 私の属する理系の分野においては、ある人物が今までの学説を覆す理論を提唱し、アカデミアの人々から猛批判を受けている場合、九割九分九厘その人物は単なるトンデモさんでしかありません。 この手のトンデモさんは「頭の固い学者は私の理論を封殺しようとしている」と主張して、旧弊なアカデミアの無理解と横暴を批難します。 しかし、実際には単に立証責任を放棄して、無根拠に自説の正しさを盲信しているだけで、そのこ

          清水俊史氏の学説をめぐる仏教学の論争を見て思ったこと

          感想:会社と私生活-オンとオフ(1):話に大きな動きがないので、今後の展開に期待

          本作は、会社では地味な事務職員の女性が私生活でパンクな格好をして、女性と同じ職場で働くイケメンでコミュニケーション能力の高い男性が私生活でロリータファッションの女装を楽しんでおり、そんな二人が正体を知らないまま私生活で知り合うという作品です。 面白そうな話ですが、本巻では上記で紹介したあらすじ以上のことは特に起きません。 主人公の両方とも、会社と私生活で外見は全く異なりますが、内面や行動はあまり変わらず、積極的に他人と関係を取りません。 女性は他人と距離を置くタイプ、男性は

          感想:会社と私生活-オンとオフ(1):話に大きな動きがないので、今後の展開に期待

          感想:京四郎 少年ヤクザ編(1):戦略的ヤンキー合戦マンガの名作が復活!

          東京卍リベンジャーズやキングダムのように、現代的な銃火器以外で武装した集団同士が戦略を駆使して戦うマンガを、私は「戦略的ヤンキー合戦」と呼んでいます。 近代的な武器がないゆえに、人間同士のぶつかり合いを堪能できるのが、この手のマンガの魅力です。 時にはカリスマ的な腕力で敵をねじ伏せ、時には戦略を駆使して圧倒的な不利を覆す。 そんな絶対的な力で敵を蹴散らす爽快さと、知略で敵を翻弄する楽しさの両方を味わえます。 そのような「戦略的ヤンキー合戦」マンガは人気のジャンルですが、その

          感想:京四郎 少年ヤクザ編(1):戦略的ヤンキー合戦マンガの名作が復活!

          感想:バカとテストと召喚獣:若いうちに読んでおくべき作品

          本作を読んで、私は面白くない作品と思いました。ギャグが少しも笑えなかったからです。 ですが、後日、本屋に立ち寄ると3人の女子がおり、彼女らの1人が「バカテス!これすごく面白いんだよ!」と言って、この作品を推していました。 「たとえば、ここのところ!」と言って、彼女は私が少しも面白くないと思った本の一節を読み上げました。 すると彼女らの友人は大爆笑です。「ほんと!すごい面白い!」と大喜びです。 「ほら、ここも面白いの」と更に彼女は別の一節を読み上げ、彼女の友人らは再び大爆笑です

          感想:バカとテストと召喚獣:若いうちに読んでおくべき作品

          感想:凛子ちゃんとひもすがら(1):ヒモと言うよりは家事手伝いのお兄さん

          この手の大人と少女の交流を描く作品は、物議をかもし、リベラルな思想の人に燃やされがちですが、本作は見かけの過激さに比べて中身は穏当です。 ヒモというのは基本的には自分の好きなことだけをして、家事も労働もしないものですが、本作のヒモは料理や家事を積極的にします。 (本人が家事をするのが好きという言い訳が用意されています) その為、実質的には、本作のヒモは育児放棄されて生活が破綻している少女の家事手伝いをしているだけです。 普通にフルタイムの家事手伝いを雇えば月に20万円以上は

          感想:凛子ちゃんとひもすがら(1):ヒモと言うよりは家事手伝いのお兄さん

          感想:へんなものみっけ!(7):博物学人情話

          本作は博物館に勤める人々の動物や鉱物の学術的なウンチクを交えながら、登場人物が持つ人生の葛藤や悩みを解決していく物語です。 蝶をめぐる少女との幼い日の冒険と意外な再会の話や花崗岩をヒントに未知の大陸を探す話、少ない予算でいかに面白い展示をするかの挑戦などは、とても面白くて素晴らしい話でした。 一方で、登場人物の悩みに無理に博物学の話を絡めようとして失敗していると思える話もありました。 幽霊を信じるかという話に、人間の五感では感じることのできない電気感覚を持つカモノハシを例

          感想:へんなものみっけ!(7):博物学人情話

          感想:悪役令嬢転生おじさん(1):マトモな大人がいる世界

          色々な作品にはマトモな大人が不在なことがよくあります。 それは作品に劇的な展開を与えるためにはマトモな人物がいると都合が悪かったり、主人公が立ち向かう存在として嫌な大人が必要だから、あえてそうしているところがあります。 ただ、マトモな大人が介入すれば解決する問題が、どこまでも混迷を極めて、主人公が理不尽な目に遭うのは、ストレスの貯まる展開でもあります。 例えば、乙女ゲームでいじめられる主人公なんてものも、大人がしっかりしていれば解決する問題です。 もちろんそういう「ゲーム

          感想:悪役令嬢転生おじさん(1):マトモな大人がいる世界

          感想:惰性67パーセント(9):モラトリアムは終わらない

          本作は、社会に出る前の何者でもない若者の怠惰で幸福な青春を描いた作品でありました。 このようなモラトリアムをテーマにした作品は近代以降、多く作られてきました。 例えば、このタイプの作品で有名なのは、うる星やつらの映画、終わらない文化祭を無限ループするビューティフルドリーマーがあります。 本作がそれらの作品と大きく異なる点は、有名な18禁作家である氏の画力を活かしながら、あけすけな下ネタを取り入れたところだと思います。 可愛い女子と愉快な友人に囲まれて猥談で盛り上がるモラトリ

          感想:惰性67パーセント(9):モラトリアムは終わらない

          感想:河畔の街のセリーヌ (1):19世紀パリ風俗描写が面白い作品。ただ、1日の職場体験という設定は無茶では?

          本作は田舎からパリに出てきた少女セリーヌが、ある有名作家の依頼で様々な職業を1日だけ体験して、その様子を報告して19世紀パリの風俗記録を作成するという話です。 冒頭で印象派の絵画の感想を言い合う紳士たちの会話があり、今では数十億円で売買される名画が1部のマニアだけが評価する売れない絵だった時代の空気感が感じられて良かったです 本作はセリーヌの様々な職場体験を通して、読者に当時のパリの文化風俗を分かりやすく伝えてくれます。 セリーヌは無愛想で動じない性格なので他人と簡単に

          感想:河畔の街のセリーヌ (1):19世紀パリ風俗描写が面白い作品。ただ、1日の職場体験という設定は無茶では?

          感想:新九郎、奔る!(13):金がないのは首がないのと一緒

          史実を知っていれば、今は嵐の前の静けさであることが分かりますが、本巻での新九郎はそんなことも露知らずに自分の家のことで精一杯です 金策に走り回り、徳政令を出し、弟を他家の養子に送り、姉と龍王丸を支援し、姉の娘に世話係としてぬいを紹介し、就職活動に奔走します。 新九郎は常に資金難で思うように行動できずに苦労しており、「金がないのは首がないのと一緒」という言葉が私の脳裏をよぎりました 本巻では、戦いもなければ、歴史的大事件もなく、マンガ的には地味で盛り上がらない展開が続きます

          感想:新九郎、奔る!(13):金がないのは首がないのと一緒

          感想:工務店の日報:物を作る人達の日常に触れて、働くことに思いを馳せるのが楽しい作品

          本作はタイトル通り、工務店の日常での些細な出来事を4コマ漫画で紹介する作品です 例えば、本書では以下のような話が掲載されています。 職人さんの服装の変遷についてのウンチク、 ホームセンターにいた面白い店員さんやお客さんの小話、 職人さんとの雑談、 近所の人に頼まれて小物を作った話、 大手の現場で理不尽な目にあった思い出、 建築用語の紹介 工務店の仕事に興味のない人には何が面白いか分からない内容かもしれません。 ですが、私は工務店という身近でありながら内実のよく分からない

          感想:工務店の日報:物を作る人達の日常に触れて、働くことに思いを馳せるのが楽しい作品

          感想:オリオリスープ(1):よく働き、よく作り、よく食べる。趣味は自分を助ける

          本作は装丁デザインなどを手掛ける小さな会社で働く織ヱさんが、凝ったスープ料理を作るマンガです 織ヱさんは化粧もせずに泊まり込みで働いたり、記憶をなくすほどに飲んだ挙句に 行きずりの男性と一晩を過ごすなど、雑な暮らしをしています。 ですが、彼女が仕事の合間などに作るスープ料理は実に凝っていて丁寧です。 どんな雑な生活をしていても、スープ料理という要があるため、彼女の生活には地に足の着いた安定感があります。 人は生活の中に何か1つでも「こだわり」があると、それを軸に生活を充実さ

          感想:オリオリスープ(1):よく働き、よく作り、よく食べる。趣味は自分を助ける