感想:悪役令嬢転生おじさん(1):マトモな大人がいる世界

色々な作品にはマトモな大人が不在なことがよくあります。
それは作品に劇的な展開を与えるためにはマトモな人物がいると都合が悪かったり、主人公が立ち向かう存在として嫌な大人が必要だから、あえてそうしているところがあります。

ただ、マトモな大人が介入すれば解決する問題が、どこまでも混迷を極めて、主人公が理不尽な目に遭うのは、ストレスの貯まる展開でもあります。

例えば、乙女ゲームでいじめられる主人公なんてものも、大人がしっかりしていれば解決する問題です。
もちろんそういう「ゲームのお約束」はゲームを盛り上げるために必要なものです。
そのお約束がなくなってはプレイヤーは困ってしまうのですが、この作品の悪役令嬢はそれらの問題を解決してしまいます。

本作は、54歳の常識的な公務員男性が悪役令嬢転生するという奇抜な設定で始まります。
そして彼が常識的な行動を取っているだけで、主人公を襲う理不尽な「ゲームのお約束」をどんどん解決してしまいます。
そのせいで主人公が王子とかとではなく、悪役令嬢とフラグを立てまくってしまうのですが、それらがギャグとして本作を楽しいものにしています。
何よりも、本作の世界にはマトモな大人がいるので、安心して読み進めることができます。

本来の恋愛物語をなくしてしまったので、この先の物語がどうなってしまうのか次巻を楽しみにしています

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