感想:へんなものみっけ!(7):博物学人情話

本作は博物館に勤める人々の動物や鉱物の学術的なウンチクを交えながら、登場人物が持つ人生の葛藤や悩みを解決していく物語です。

蝶をめぐる少女との幼い日の冒険と意外な再会の話や花崗岩をヒントに未知の大陸を探す話、少ない予算でいかに面白い展示をするかの挑戦などは、とても面白くて素晴らしい話でした。

一方で、登場人物の悩みに無理に博物学の話を絡めようとして失敗していると思える話もありました。
幽霊を信じるかという話に、人間の五感では感じることのできない電気感覚を持つカモノハシを例に出して、人間に見れない物を見える動物がいるという話を持ち出すのは、全く関係ないだろうと思いました。

マルチ商法で身を持ち崩した友人に対して、動物の自切を持ち出して慰めるのも強引すぎる展開です。
自然法則を人間の問題に拡張するのは、一歩間違えれば、自然の法則を根拠に道徳を語る「自然主義の誤謬」に陥る危険があります。
本作はそこまで行っていませんが、少し気になりました。

批判めいたことを書いてしまいましたが、基本的には学術的な話を分かりやすく紹介してくれて、博物館の役割や身の回りの自然から学ぶことの素晴らしさを教えてくれる良作です。
登場人物達も好感の持てる人々ばかりで、彼らの成長物語としても楽しめます。
科学好きな人には是非とも読んでもらいたい作品です

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