禁じられた “学び”
vol.59
スペイン・バルセロナにある私設美術館「禁断アート美術館」が話題になっています。
〈AFP BB News / 2023年12月17日〉
禁断アートとは、世界中で検閲、撤去、展示禁止といった処分の対象となった作品という意味です。
館内には、スペインの巨匠ゴヤや、米ポップアートを象徴するアンディ・ウォーホル、中国の反体制派アーティスト、艾未未といった著名な芸術家の作品もズラリ。
その数、42点。
こちらは、カタルーニャ自治州の実業家タチョ・ベネさんが所有する200点に上るコレクションの一部。
中でも宗教を扱った作品は多く、例えば、フィンランドのアーティスト、ヤニ・レイノネンさんの「マックジーザス」も、その1つ。
ファストフード大手マクドナルドのピエロのキャラクター「ドナルド」を十字架にはりつけにした彫刻で、イスラエルの美術館から撤去された作品です。
なぜ、ベネさんは禁断アート美術館を開催しようと思ったのか?
これは、決して
とのこと。
そして、次のような言葉を残されています。
「検閲」といえば、今年、宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』にも通ずる話。
こちらは吉野源三郎さんの小説が原作となっている作品です。
原作が出版されたのは1937年となります。
時は日中戦争に突き進んでいく時代。
そんな世界の中で吉野さんは
と思い、筆をとったのでした。
しかし、検閲が厳しい時代ということもあり、一般書籍として発売することは難しい…
そこで、直接的に戦争について言及せず、「コペル君」と「おじさん」をとりまく小さな世界に移し替えた児童書として出版したのです。
結果として、「人間にとって本質的なもの」が描き出され、時代を超えて読み継がれる作品に。
宮崎駿監督だけではなく、池上彰さんなど多くの人たちに影響を与えたのでした。
こちらも児童書というジャンルが、ベネさんの言うところの「居場所」となったわけです。
そして、後世の人々を救う希望の種となったのでした。
きっと今も、この世界には、社会正義のもとに失われている希望の種があるのでしょうね…
正義とは非常に難しく、危ういもの。
ひっそりとでも禁じられた作品にとっての居場所があるというのは救いなのかもしれませんね😊
そんなことを芸術から、文学から感じた今日この頃です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?