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2023年「就活」の新トレンド

column vol.952

3月1日より2024年卒の就職活動が解禁されたこともあり、この半月は就活関連のニュースが多かったように思います。

今年も学生優位の「売り手市場」になりそうということもあり、初任配属先を確約したり、一律の初任給を見直したりするなど、魅力的な学生を招き入れようと、各企業でさまざまな知恵を絞っています。

〈日本経済新聞 / 2023年3月14日〉

そんな中、今年らしい傾向だなと感じる事例がいくつかありますので、今日はその一部を共有させていただければと思っております。

“顔を隠すこと”が前提の新しい面接

まず、“今年らしさの極み” といえば「マスクの自由化」ではないでしょうか?

3月13日からマスクの着用が個人の判断に委ねられるようになりましたが、それは就活にも影響を及ぼしているようです。

就職情報サービス会社の「学情」が実施したインターネット調査によると、学生の半数以上が「リアル実施のセミナーや面接では『マスクの着用』を望んでいる」とのこと。

〈マイナビニュース / 2023年3月14日〉

理由は、「就職活動の大切な時期に体調を崩したくないので、感染を予防したい」という意見の他、「これまでマスク生活だったので抵抗がある」といった声が寄せられています。

この「抵抗」の中には、素顔を見られることの恥ずかしさや緊張も含まれているようですよ。

多感な年代において、確かに3年間もマスクをして人とコミュニケーションをとっていたとしたら、そういう心理が芽生えてもおかしくはありませんね…

そんな風潮の中、新しい面接の在り方を示してくれているのが「バーチャル面接」です。

こちらは、素顔どころか、名前・年齢・性別も隠して行われるそうです。

〈ABEMA TIMES / 2023年3月9日〉

面接会場は「メタバース空間」

エントリーに必要な情報はメールアドレスニックネームのみ。

学歴や性別は一切不要にすることで、受験者の内面にバイアスなく迫ることを目的にしています。

応募者多数の企業はなかなか採用できないかもしれませんが、一次面接は徹底的に「人間性」に迫りたいと思う企業などは、条件をある程度儲けつつ、試してみる価値があるかもしれませんね。

脱「ガクチカ」採用という選択肢

そんな人間性を探る上で、これまでキーワードになってきたのが「ガクチカ」です。

ガクチカとは「 “学(ガク)” 生時代に、“力(チカ)” を入れた(頑張った)こと」です。

しかし、そのガクチカに関する質問を廃止する企業があるとのこと。

それが「日立製作所」です。

〈ITmedia ビジネスオンライン / 2023年3月10日〉

理由は2つあるようで、1つは「コロナ禍の就活生はガクチカのアピールが難しいのではないか」という疑問。

確かに同社の人財統括本部に所属する進藤武揚部長によると

今までは部活やサークル活動を中心にお話しいただくことが多かったですが、コロナ禍ではどうしてもガクチカが “画一化” している印象がありました。『みんなが会えるようにWebのシステムを作りました』という話が多かったですね。採用側も、深く話を聞いて人間性や人柄を読み解いていくのが難しく、面接内容が浅くなってしまっていた

という課題認識があったそうです。

そして2つ目の理由は、ジョブ型人材マネジメントを進める上で、より「職務遂行能力」「キャリア志向」を積極的に評価する選考にしていくため。

ジョブ型とは、会社が職務の内容必要なスキルを職務記述書に記載し、その職務内容に適した人材を割り当てる人事制度を指します。

当然のことながら、職務経験のない学生たち…

そこで、プレゼンテーションという手段を使って、「入社後、どんな職種で、どのように社会課題の解決に取り組みたいか、それはなぜか」ということを明確に示してもらうというわけです…

そのプレゼンの内容を見て、「どんな仕事をしたいと思っていて、その仕事に適しているかどうか」を見極める。

最近はジョブ型雇用が増えていますから、学生時代からやりたいことを明確にし、行動していかないと、取り残されてしまうというわけです…(汗)

さまざまなインターンに参加したり、気になる業界でアルバイトをする学生たちが多くなっているのも、そんな時代の表れですね…

SNSから読み解く「学生の視線」

そんなわけで、学生は情報収集に力を入れています

では、どんな企業に関心を示しているのか?

博報堂グループの「株式会社No Company」が、2021年10月1日~2022年9月30日の1年間行った調査(SNSデータを分析)によると、3つの傾向が見られるそうです。

〈ASCII / 2022年12月13日〉

1つ目は「Web3・メタバースなどの新しい技術・サービスへの注目」。

2つ目は「企業のカルチャーを反映した “ユニークな制度“ への注目」。

2022年2月に、YouTubeなどでコンテンツを展開する「株式会社ドズル」が発表した、「3ヵ月に1回5000円まで社員の食事代をサポートする制度(ドズル社イーツ)」が話題になったそうです。

そして、最後の1つが「働く社員の個人の想いへの共感」

サイボウズ20代の若手社員が企業の経営層に対して「協業」の交渉をするなど、裁量の大きな仕事に取り組む様子を紹介したインタビュー記事が、2021年12月頃に話題に。

社員個人のストーリーやキャリアにフォーカスした記事に注目が集まっているのです。

これは、若者が具体的にその会社で働くイメージを持ちやすいためとのこと。

入社後の転職が当たり前になった世の中といえど、学情が昨年12月に行った調査によると、新卒で入社した会社「定年まで働きたい」と思う人が32.7%で最多でした。

自分の社会人生活を決める大きな選択。

社員がリアルに活躍している様子を伝えることほど、惹きになるコンテンツはないということが改めて分かりますね。

とはいえ、そのために取り繕ってもネット上で溢れる口コミ情報などで、丸裸にされてしまう時代でもあります。

やはり、良い経営を行い、その様子を発信していく。

ごくごく当たり前のことをしっかりと行えることが、魅力的な人材を集める最良の手立てであることは言うまでもありません。

いずれにせよ、ミスマッチを無くすための採用方法は、今後もさまざま生み出されそうですね。

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