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「取り残さない教育」という理想

column vol.1006

私の実家は鎌倉にあるですが、私が小学生の頃、3年生・4年生には「鎌倉」という授業がありました。

確か…、水曜日の3・4時間目…かな?

鎌倉という教科書をもって座学で学び、時に校舎を飛び出して鎌倉市内を見学をする。

この話を市外の人にすると、「えっ!!何それ??」と驚かれるのですが…、皆さんの街には地元を学ぶ時間ってなかったのでしょうか…?

…と、なんだか特別な時間を過ごしていたのかも…?と大人になってからも思うのですが、現在の鎌倉ではさらに面白い取り組みを行っています。

その中心にいるのが、鎌倉市教育長の岩岡寛人さん

例えば、「鎌倉スクールコラボファンド」というプロジェクトがあるのです。

〈東洋経済オンライン / 2023年5月7日〉

「多様な学び」を取り残さない

こちらは、社会に開かれた教育課程を実現するため、ふるさと納税の仕組みを活用して教育委員会の下に設立したガバメントクラウドファンディング

なぜこのようなファンドを立ち上げたのか?

岩岡さんはこのように仰っています。

今、学校にはプログラミングSDGsPBL(課題解決型学習)など社会要請に基づく教育テーマが大量に流れ込んできていますが、先生方はやりたいと思っても制度などの事情から実現が難しいことも多く、疲弊しています。

確かに、企業なら新たな取り組みに対して適宜必要な資金が投入されますが、公教育は無償なのでそうはいきません。

そこで、未来を見据えた教育の実現に向け、外部の人材や組織と連携するための資金市内全ての公立小中学校に提供しようというのが、このファンドの狙いなのです。

いや〜、非常に素晴らしいですね〜

学校が要望を出し、教育委員会で承認されればファンドの資金を活用できる。

実際、2020年~22年までに約1500万円の調達に成功しており、この資金をもとに、複数の学校が大学企業NPO法人などの外部組織とコラボレーションし、プログラミング授業STEAM教育キャリア教育などを実現してきたそうです。

例えば、慶應義塾大学などとSDGsをテーマにしたプロジェクト型探究学習をしたり、フードロスに取り組む地元のカフェの方に探究の伴走をしてもらったり。

子どもたちの興味・関心に合わせた学びができたとのこと。

このような探究学習を経て、児童たちには目に見える変化が。

授業実施の前後で「自分たちが動くことで、地域や社会が変わっていくと思う」という質問に対し、「とても思う」「思う」と回答した児童が38%から81%に増加

さらに、「SDGsは遠い世界の話ではなく、自分とつながりのあるものだと感じている」という質問も、「とても思う」「思う」と回答した児童が26%から93%に増えたのです。

ファンドによる素晴らしい成果がみられますね😊

「不登校児」を取り残さない

他にも個別最適な学びを届ける「株式会社SPACE」と連携した「かまくらULTLAプログラム」にも注目が集まっています。

ULTLAとは「Uniqueness Liberation Through Learning optimization and Assessment(学びの最適化とアセスメントを通じた個性の解放)」の頭文字をとった名称。

こちらは、不登校、あるいは学校を休みがち小4から中3までを対象とした3日間の探究プログラムで、児童生徒は親元から離れ、地域特性を生かしたアクティビティーに取り組みます。

こちらのプロジェクトを立ち上げた想いを岩岡さんはこのように仰っています。

私は学習の個性化が重要だと考えていますが、子どもたちは自分の個性や特性に合った学び方をして良いことも教えられていないし、その方法も知りません。また、そういった特性や興味・関心と学校特有の環境が合わない子は、どの場面でもきっと学校が辛いんですよね。適応指導教室やオンライン学習支援も大切ですが、学校特有の環境を取り出して渡されているだけと感じる子もいると思うので、個性や特性を発揮させてあげる働きかけも必要だと考えました。

具体的には、子どもの関心領域や認知・学習特性を見定め、その結果に応じて、一人ひとりに合った学び方で探究ワークショップを実施。

その後、学びの成果発表会を開催し、大人からフィードバックを受けることで子どもの自立の基礎づくりにつなげていくというもの。

参加者からは「不登校でも社会は受け入れてくれるんだということを感じた」などの声が寄せられており、中には学校に楽しく通えるようになった子もいるそうです。

岩岡さんの取り残さない取り組みにはますます期待が集まりそうです。

もちろん、鎌倉の他にも「取り残さない教育」は全国に広がっています。

例えば、大学の教育学部に在籍する学生が立ち上げた大阪のNPO法人ふらいおんは、経済的な理由による教育格差をなくそうと、子どもたちに無料で教育機会を提供する「無料塾」を展開。

〈大阪日日新聞 / 2023年5月7日〉

家計が苦しく取り残されている子どもたちの多さや教員不足を救うべく、「無料塾Sien」「寺子屋Teller」「無料塾あんだんて」という3つの塾が、学習の質にこだわり、一人ひとりの学習進度に合わせた授業を行っているのです。

「優秀な子ども」も取り残さない

ちなみに、経済的な理由による教育格差をなくそうと力を入れている自治体の中で、ユニークな取り組みを行っているのが東京足立区です。

同区では中学3年生向けに「はばたき塾」というプログラムがあるのですが、対象は「家庭の事情等で塾に通うことが難しい中、成績上位で学習意欲が高く、将来の夢の実現に向けて難関高校などへの進学を目指す」生徒たち。

学力診断テストを受けて合格した生徒が、外部講師による学習サポートを受けられるのです。

〈with class / 2023年4月25日〉

もともと足立区では2006年から外部人材を学校に入れていくという取り組みは行っており、学習が苦手な子の “つまずき” を補う努力は重ねてきておりました。

一方、はばたき塾は「学習は得意だけれど、家庭の事情等で塾に行く機会がない生徒」に目を向けたわけです。

これにより、その生徒は目指したい学校を目指すことができる。

実際、卒業生からのアンケートには、感謝の気持ち「頑張って良かった」という声が届いているそうです。

しかも感動するのが、このプログラムを受けた生徒が次は自分が同じ境遇の生徒を救いたいと大学進学後に、アルバイトとして運営に携わるというパターンも。

子どもたちに等しく学力を届けなければいけない

鎌倉でも大阪でも足立区でも、そしてここには書き入れない全国のさまざまなところでも、こうした想いで溢れています。

こうした記事を読むと、非常に心が熱くなってくるのです。

実は、きしゃこく先生が今日も「社会人先生にふさわしい人」として私を選んでくださいました。

きしゃこく先生に度々そう言っていただけることで、最近は本気で子どもたちにマーケティングなのか、コミュニケーションなのか、クリエイティブなのか、何かを教えたいという欲求が沸々と沸いてきているのです。

そんな日が来ることを叶えるためにも、今後はちょくちょく動いて参ります😊

今日はそんな自分の改めての決意表明でもありました。

きしゃこく先生、想いのきっかけをつくっていただき、誠にありがとうございました!

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