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「チームワーク」の天才

column vol.843

マーケティングコンサルタントという職業柄、経営者の方や、プロジェクトリーダーの方とお会いする機会が多いのですが、「チームワークづくりの天才だな」と思う方を時折お見かけします。

今日はそんな方々から学んだ点を最近の事例記事に絡めてご紹介したいと思います。

どのスケールでチームを見ているのか?

一人では何もできない。
一人の天才よりもチームの力

という話はよく聞きますが、昨日のジョブスさんの「顧客視点」ではないですが

この「周りの力があってこそ」という真実について、どれほど解像度が高いかが重要だと思います。

やはり、チームワークづくりの上手いリーダーはこの解像度が異常に高い。

さらに、どこまで広い範囲でチームを見ているかということもあります。

プロジェクトチームなのか?部署なのか?会社なのか?社会なのか?

人によっては地球規模宇宙規模でチームと捉えている方もいるでしょう。

そんな中、なるほどと納得させられたのが、幻冬舎ゴールドオンライン【必要なのは“一人の天才”ではない。イノベーションを生み出す「人材」とは】という記事です。

〈幻冬舎GOLDONLINE / 2022年11月16日〉

ここでは、歴史すらチームと見ています。

発明はさまざまな知恵の結集

イギリス産業革命の象徴である蒸気機関車ですが、ボイルの法則の解明に始まる一連の物理学の進歩やそれに基づいた技術的な工夫の積み重ねで生まれています。

ボイルらに端を発した科学分野の急速な進歩は17世紀「科学革命」と呼ばれました。

光は何らかの波動であると指摘したホイヘンス万有引力の発見者であるニュートン質量保存の法則を明らかにしたラヴォアジェ宇宙の原理を数学で解いたラプラスなどがいる。

こうした過去の知見が積み重なって、約100年後の産業革命で結実したというわけです。

それは科学でなくても、人間の営み全てがそうなわけで、私たちは当たり前のように火を使って料理をつくっていますが、太古の昔に火を起こすことに成功した人がいたからこそ、それができている。

チームのスケールを少し小さくして、現代の社会で考えても、喩え画期的な発明をしても、社会的・政治的な制度が確立していなければ、社会に定着することはありません

つまり、イノベーションを引き起こしたり、パフォーマンスをできる限り上げていくには、どれだけチームのスケールを広く持ち、登場人物を内包していけるかが大事な視点と言えるでしょう。

私はかつて、ある経営者の方から「最低でも社員の向こう側にいる家族のことは想像しろ」と言われたことがあります。

社員の家族が応援したくなる会社。

それは確かに私の1つの理想です。

一人一人の役割を明確にする

全てのチームメンバーがモチベーション高くプロジェクトを進行していくには、明確なビジョンが必要になりますが、もう1つ明確にしたいものを挙げるなら、それは一人一人の役割ではないでしょうか?

この役割についても解像度があると思います。

単に営業や企画という業務というスケールも大切ですが、できれば「そのメンバーがいなくてはならない理由」までフォーカスできると最強です。

人は「必要性を感じてもらうこと」に強い喜びを感じ、やる気が出ます

やる気が出るのは、何を自分がすれば皆が喜んでくれるか分かるからです。

これが「営業」という作業(業務内容)だけだと、喜んでくれるか分かりません。

人は喜んでくれるかどうか分からないものには腰が重くなってしまうものです。

一方、「キミの明るく前向きなトークはチームだけでなくクライアントのやる気も誘う。営業として期待しているよ」と言われると、単に「営業を任せた」と言われるよりもやる気が出そうです。

もしも、フットワークの悪いメンバーがいたとしたら、「チームに喜んでもらうために何を期待しているか」をリーダー自体が明確にし、伝えてあげると良いかもしれません。

「自分」への期待も明確にする

一方、リーダーもメンバーから当然ながら評価されています。

リーダーとは決断の連続

一つ一つの決断に全員が賛成であるなんて有り得ないわけで、決断する度に誰かに恨まれるなんて日常茶飯事です。

しかし、そんな中でもメンバーに信頼してもらわないといけません

では、「信頼されている」の基準とは何でしょう。

その1つの基準として、元厚生労働事務次官村木厚子さんは、「部下が情報を上げたくなる上司か」ということをポイントにされています。

〈NIKKEI STYLE / 2022年11月16日〉

重要な情報が耳に入らずに『自分は聞いていない』という上司がいます。私もそう言いたいときはありますが、自分が部下の立場だったら、本当に大事な人には相談しています。もっとはっきり言うと、役に立つ上司のところには情報を持っていきます。大事なことを聞かされないのはリーダーとして格好悪いことなのかもしれません。

そう村木さんは語っていらっしゃいますが、自分が「役に立つ上司」かということが、とても重要だと思います。

詰まるところメンバーから好かれているか嫌われているかは、表面的には分かりません。

だからこそ、リーダーはメンバー一人一人が何を自分に期待してくれているかを知る。

いや、簡単には知れないですが、考える必要はあります。

少なくとも「こういうところは頼りにしてくれているだろう」と仮説を立てる。

それが自分の中で想像できなければ、きっと相手から「役に立つ」とは思ってくれていないでしょう。

リーダーがメンバー一人一人への期待を明らかにするという話の逆パターンですね。

その1つのバロメーターに、メンバーが自発的に情報を上げてくれるかというのは非常に分かりやすいと思います。

ただ単に雑談を自分にしてくれるとは大違いなのです。

究極、信頼が無くても雑談はできますから(笑)

詰まるところ「視野の広さ」がカギ

チームのスケール、相手のへの理解、自分への期待。

そういったさまざまな観点において、やはりキーポイントは「視野の広さ」でしょう。

こういうものに優れている人はやはりいて、出会うたびに「チームづくりの天才だな」と羨ましく思います。

しかし、その才能の源泉「人への興味」「利他の精神」

矢印を自分に向けず、周りに、そしてその先のもっと外に向けること。

そんな努力を続ければ、天才ではなくても「チームづくりの秀才」にはきっとなれるはずです。

私は「チームづくりの天才」ではないので、そうを願っています。

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