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教育のはしくれ

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塾産業の中で教育などと偉そうには言いませんが、父親として息子たちと向き合ってきた一人としての体験と意見。時代的に早すぎた「イクメン」としての背景から、言葉を零してみます。
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#思考

思い込み

思い込み

今月8万円小遣いをもらった。気が大きくなってどんどん使ったら、最初よりも4万円減ってしまっていた。いくら使ったのだろうか。
 
もうすぐ五年生になる、勉強好きな面々。分からない。大きな声で4万円、などという。後にもうすぐ中三生となる生徒たちに同じ質問をしたが、これも4万円という返答。私は驚いた。
 
進学塾に勤め始めたころの勢いから、年々言語能力が落ちていることは分かっていた。だが、この数年、それ

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筋道を立てて

筋道を立てて

どだい、すべての人に同じ教育を施すという発想に、無理があるのかもしれない。勉強したくないという子は、なにもすべての勉強が嫌だというわけではないのだ。エリートを作ろうとするシステムに基づく教育制度の勉強が、自分のあり方とは違うというケースが多々あるのではないだろうか。
 
先月末の、日本経済新聞のコラム「春秋」の前半を引く。
 
「おじさん、大学へ行くのは何のためだ」。受験勉強中の満男が、ふと寅さん

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日本語の単語と聖書

日本語の単語と聖書

高校受験でも大学受験でも、英語について言及されるのが、単語はどのくらい憶える必要があるのか、ということだ。高校受験ならば、いまは小学英語があるために、2000語を下ることはないようだ。大学受験ならどうだろう。ざっと5000語くらいは標準となるのだろうか。高校生活で1日3個増やすノルマが課せられることになる。
 
ただ、日本語の単語の数はどのくらいか、という話が話題に上ることは、まずない。元々母語と

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「じっぷん」の一言からの連想

「じっぷん」の一言からの連想

「残り、じっぷん」。テスト監督のときに宣言すると、子どもたちの間で「じっぷん……」という声がいくつか重なって聞こえてきた。夏期講習は、初めて塾に来るような子がいる。ふだんから来ている子は、私がいつもそう言うので慣れているが、そうでないとどうやら変に聞こえるようなのだ。
 
言うまでもなく、「10分」は「じっぷん」と読む。日本語で「じゅっ」という漢字の読み方はない。「十戒」も「じっかい」である。
 

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