マガジンのカバー画像

教育のはしくれ

79
塾産業の中で教育などと偉そうには言いませんが、父親として息子たちと向き合ってきた一人としての体験と意見。時代的に早すぎた「イクメン」としての背景から、言葉を零してみます。
運営しているクリエイター

2024年6月の記事一覧

やってもいいんだよね

やってもいいんだよね

試験監督をする。模試である。中学生たちが並ぶ。雰囲気は悪くない。しばらくして、最後まで解答した生徒が、ぽつぽつ現れる。
 
その中で、終わったということで、もう見直しなどしない男子生徒がいた。実は、これまでも彼はそういうふうだった。様子を見ていたが、手近な文具で遊ぶ。それから、ジュースを飲む。暑さの中、水分補給を私は許可しておいたためだ。だが彼は、残り時間がずいぶんあるわけで、少々文具で遊んだくら

もっとみる
知らないことに気づくために

知らないことに気づくために

坂本真綾さんのラジオ番組で聞いた。お店で瓶ビールを注文したとき、店員に「おちょこはいくつお持ちしますか?」と尋ねられたという。偶々何か言い間違えたのかと思っていたが、もちろん届いたのはジョッキであった。当の店員は、別のテーブルでも同じように言っていたそうだ。無粋だろうから敢えて説明はしないが、ビールを飲むために「お猪口」を使う人は、まずいないだろうと思う。
 
毎月テーマを決めて話題を募る番組で、

もっとみる
暗い言葉

暗い言葉

「ひもじい」という言葉がある。「ひだるし」の「ひ」の一つの「文字」で表す「もじことば」である。「しゃもじ」(杓子から)はいまも知られるが、「お目もじ」(お目にかかる)すら、もう死語の部類だろうか。
 
この「ひもじい」の意味は、「おなかがすく」とは違う。ありきたりの辞典での説明としてはそれでよいのかもしれないが、学校から帰ってきて「ひもじい」と口にする子どもはいない。
 
それというのも、子どもた

もっとみる