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本とのつきあい

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本に埋もれて生きています。2900冊くらいは書評という形で記録に残しているので、ちびちびとご覧になれるように配備していきます。でもあまりに鮮度のなくなったものはご勘弁。
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2023年5月の記事一覧

『説教集 先立ちたもうキリスト』(小川治郎・日本基督教団 代田教会・1974年)

『説教集 先立ちたもうキリスト』(小川治郎・日本基督教団 代田教会・1974年)

受難週のことだった。リモートで、祈りの会が開かれ、信徒がリードして短くお話をしてくれた。そのとき、この本の中のある説教について触れることがあった。それで私は感心をもち、探してみると、ウェブサイトに見つかった。ひとつの教会が発行所となっている。珍しいと思うが、半世紀前には時折あったのだろうか。その時代の価格としては高価であるが、発行部数などの関係であろうか。信徒のための製本ということなのかもしれない

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『目的への抵抗』(國分功一郎・新潮新書)

『目的への抵抗』(國分功一郎・新潮新書)

中動態の話からこの著者の本に触れ、その見るアングルが楽しく、また説き聞かせる口調が読みやすいせいもあり、何冊か拝読してきた。その中動態が責任とつながるという切り口は、とてもフレッシュであり、かつ考えさせられた。この著者により、新たにまた新書という手軽に入手できる本が発行されたので、すぐに読みたいと思った。
 
よく見ると「シリーズ哲学講話」とあるので、また続きが出てくることを期待しているが、さしあ

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『評伝 大村はま』(苅谷夏子・小学館)

『評伝 大村はま』(苅谷夏子・小学館)

教育産業に属するからには、教育の理想や公教育の難点などに、口出しするような立場ではないと自覚している。おまけに国語は、以前担当していなかった。それでも、「大村はま」という人の国語教育についての本には、触れないではおれなかった。わずかなものしか読んだことはないが、その信念というものには、圧倒されるものを感じていた。
 
もしかするとキリスト者ではないか。そう感じつつも、ご本人があまりそうした発言をし

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『証し 日本のキリスト者』(最相葉月・KADOKAWA)

『証し 日本のキリスト者』(最相葉月・KADOKAWA)

よくぞ作ってくれた。よくぞ聞き出してくれた。日本中を歩き、しかもコロナ禍にさしかかる中で人の声を集めた。信仰とは何か。著者は知りたかった。理論でなく、人の口から直接聞きたいと思った。著者は、以前の言葉でいえばルポライターであろうか。ジャーナリストでもあるだろうが、政治的な方面ではなく、文化的精神的な問題に挑んでゆく。
 
ここでは、キリスト教信徒に的を絞った。「信仰」はいろいろな宗教があるだろう。

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