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こころ

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ひとのこころ、見つめてみます。自分のこころから、誰かのこころへ。こころからこころへ伝わるものがあり、こころにあるものが、その人をつくり、世界をつくる。そんな素朴な思いに胸を躍らせ…
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2024年4月の記事一覧

『「死にたい」と言われたら』(末木新・ちくまプリマー新書)

『「死にたい」と言われたら』(末木新・ちくまプリマー新書)

これは、テーマが重い。サブタイトルが「自殺の心理学」である。いまは「自死」という言い方が広まっており、すでに「自殺」という語が刺激の強すぎる語だと認定されつつある。だが、中高生にこの言葉を突きつけることになる。ちくまプリマー新書は、本来そこをターゲットに据えているからである。恐らく出版社側でも議論があったことだろう。だが、出した。その気概と向き合いたい。
 
著者はもちろん心理学畑の人である。まだ

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熊本地震から8年

熊本地震から8年

熊本地震から8年が経つ。最初の揺れは、塾での授業中だった。生徒のスマホが一斉に警報音を鳴らしたため、机の下に頭を入れるように叫んだ。
 
今年の正月まさに元日に、能登半島に特に大きな被害を与える大地震が起きた。半島という地形が、人の動きを塞いだことは苦しかった。阪神淡路大震災でも、鉄道と高速道路のダメージが激しかったし、現地へ車で乗り入れるということも当面難しかった。熊本は、幹線道路は比較的走って

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「すずめの戸締まり」と「火の鳥」

「すずめの戸締まり」と「火の鳥」

「すずめの戸締まり」がテレビ放映された。地上波で初放送だった。「君の名は。」のヒットから、「天気の子」も、夫婦で映画館でまず観た。それまで地味な活動を続けていた新海誠監督は、これらの作品でメジャーになり、アニメ界でトップクラスの地位に就くこととなる。
 
いずれも、災害がモチーフになっている。その災害に向き合う方法の主軸として、神道色の強い作品である。神楽が重要な意味をもったり、稲荷神社や気象神社

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